新聞記事より ～元自衛官 泥さんの演説～

　２０１４年７月２８日付の東京新聞朝刊に載った記事を紹介します。見出しと概要は次の通りです：　

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　　「集団的自衛権は他人のけんか買うこと
　　　　　　元自衛官　平和を説く」

　「集団的自衛権は他人のけんかを買うこと。逆恨みされますよ」。神戸市の街頭での泥 憲和（どろのりかず）さん（６０）＝兵庫県姫路市＝の「叫び」がインターネット上で広がっている。４月にがんで余命１年と宣告された元自衛官。集団的自衛権の行使容認が閣議決定される前日の６月３０日、マイクを握った。
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　泥さんのプロフィールを記事から抜粋します：
　１９６９年自衛隊入隊。６年間働き、故郷姫路市に戻って皮革加工の仕事を始めた。
　被差別部落出身の仕事仲間とつき合いを深める中で、両親や親類と縁遠くなった。差別感情が強く残っている現実に直面し、被差別部落の解放運動に関わり始め、その延長で平和運動にも携わる。
　自衛隊を違憲と考える仲間たちに、合憲という自分の意見を納得してもらうため、勉強を続けてきた。自衛隊は「専守防衛」。
　ヘイトスピーチにも憤り、２００９年からカウンター活動を始める。

 

　余命を宣告された元自衛官が、自分の体験や勉強したことに基づいて発した言葉には説得力があり、ネット上で広がっているという事実に私も納得しました。
　６月３０日の演説の全文がご本人のフェイスブックに掲載されているそうなので、可能な方はそちらでご覧ください。フェイスブックも東京新聞もご覧になれない方のために、ここでは新聞に掲載された要旨を転載します

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　飛び入りでマイクを貸してもらいました。集団的自衛権に反対なので、その話をします。私は元自衛官で、防空ミサイル部隊に所属していました。北朝鮮のミサイルとか不安じゃないですか。そういったものには自衛隊が対処します。自衛官は命をかけて国民をしっかり守ります。安心してください。

　集団的自衛権とはそういうものではありません。日本を守る話ではないんです。売られてもいない他人のけんかに、飛び込んでいこうというんですよ。
　なんでそんなことに自衛隊が使われなければならないんですか。縁もゆかりもない国に行って、恨みもない人たちを殺してこい、安倍さんは自衛官に言うわけです。自衛官も殺されてこいというのす。冗談じゃありません。
　なんでそんなこと言われなあかんのですか。なんでそんな汚れ仕事を自衛隊が引き受けなければならないんですか。自衛隊の仕事は日本を守ることですよ。見も知らぬ国に行って殺し殺されるのが仕事なわけないじゃないですか。

　みなさん、集団的自衛権は他人のけんかを買いに行くことです。逆恨みされますよね。当然ですよ。
　だから、アメリカと一緒に戦争をした国は、かたっぱしからテロに逢ってるじゃないですか。イギリスも、スペインも、ドイツも、フランスも、テロ事件が起きて市民が何人も殺害されてるじゃないですか。みなさん、軍隊はテロを防げないんです。世界最強の米軍がテロを防げないんですよ。
　自衛隊が海外の戦争に参加して、日本が狙われたらどうしますか。自衛隊はテロから市民を守れないんです。その時に、自衛隊が戦争に行ってるからだと逆恨みされたんではたまりません。だから集団的自衛権には絶対に反対なんです。

　安倍総理はね、外国で戦争が起きて、避難してくる日本人を載せたアメリカ軍の船を自衛隊が守らなければならないのに、それができないからおかしいといいました。これ、まったくのデタラメですからね。
　日本人を米軍が守って避難させるなんてことは、絶対にありません。アメリカ国防省のホームページにもちゃんと書いてあります。アメリカ市民でさえ、軍隊に余力があるときだけ救助すると書いてますよ*。
　ベトナム戦争の時、米軍は自分だけさっさと逃げ出しました。どこの国の軍隊も、いざとなったら友軍でさえ見捨てますよ。自分の命の方が大事、当たり前じゃないですか。
　その時、逃げられなかった外国の軍隊がありました。どうしたと思いますか。赤十字に守られて脱出したんです。そういうものなんですよ、戦争は。安倍さんは実際の戦争のことなんかまったく分かってません。私は自衛隊で、「兵は凶器である」と習いました。使い方を間違ったら取り返しがつきません。

　ろくすっぽ議論もしないで、してもうそとごまかし 。国会を乗り切ることはできるでしょう。でもね、戦場は違うんです。命のやりとりをする場所なんです。そのことを、どうか真剣に、真剣に考えてください。
　みなさん、閣議決定で集団的自衛権を認めてもですよ、この国の主人公は内閣と違いますよ。国民ですよ。みなさんですよ。
　憲法をねじ曲げる権限が、たかが内閣にあるはずないじゃないですか。安倍さんは１回目の時、病気で辞めましたよね。体調不良や病気という個人のアクシデントでつぶれるのが内閣ですよ。そんなところで勝手に決めたら日本の国ががらりと変わる、そんなことできません。

　これからが正念場です。だから一緒に考えてください。一緒に反対してください。選挙の時は、集団的自衛権に反対している政党に投票してください。
　まだまだ勝負はこれからです。戦後６９年も続いた平和を崩されてたまるもんですか。

　（※ 段落のブロック分けと太字化は、ブログ管理人によります。
　　* 原文の当該箇所をリンクしたいのですが、まだ見つけられません。見つけ次第リンクします。）

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　次の衆議院選挙までの月日を、権力者の暴走を食い止めるためにどのように過ごしたらよいのか、途方に暮れる日々ですが、一人の人間が人の心に響く言葉を発すれば、きちんと届くし、こうして大勢の人に広がるということを、泥さんが示してくださいました。泥さんに大きな勇気をもらいました。
　人の心に響く言葉...地道な活動や着実な勉強を通して培われるものなのでしょう。やはり、諦めずに自分なりの活動を続ける、学習する、周りの人と対話する...この繰り返ししかないですよね

　 日にちが前後しますが、２６日付朝刊の一面では、私の地元の保育園の園長が集団的自衛権の行使容認について手作りした小冊子についても報じています。「平和憲法の根幹を閣議決定だけで変えたことへの危機感をわかりやすく、詩のような言葉で表現した」もので、全文が掲載されました。これについても近々記事にするつもりです。ぜひ読んでください。