高橋克典の“法律 だいすきになーれ+ひとり言α”・・・・・ まずは“宅建資格”から

法律系資格を取得しようとする場合、まず民法の勉強はかかせませんね。さらに、好きになって得点源にぜひしたいものです。

意外に解ける”問22・契約の成立・R2年司法試験の民法をうまく分析“よーくわかる・・・。

2021-07-26 06:11:21 | 司法試験・司法書士・行政書士問題
成立時期は、本当は大事ですね。成立しないと、争っている権利自体がそもそも生じていないのですから・・・。

一度このような問題を解いて、土台を作っておくと良いでしょう。

・・・・・
問22 契約の成立に関する次のアからオまでの各記述のうち,契約が成立していないものの組合せとして正しいものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.AがBに対し,承諾の期間を申込みから1週間と定めて撤回の権利の留保なく契約の申込みをし,その2日後に申込みを撤回したが,Bは申込みから5日後に承諾した。

イ.Aが対話中にその終了後も契約の申込みが効力を失わない旨を表示せずに対話者であるBに対して契約の申込みをしたところ,Bは対話終了後の翌日に承諾した。

ウ.Bは,Aによる契約の申込みに対し,承諾の通知を発した後に死亡したが,Aは,その承諾の通知の到達前にB死亡の事実を知っていた。

エ.AがBに対して契約の申込みの通知を発した後に死亡したが,Aは自らが死亡したとすればその申込みは効力を有しない旨の意思を表示しておらず,BはA死亡の事実を知らずに承諾した。

オ.AがBに対して承諾の期間を申込みから1週間と定めて契約の申込みをしたところ,Bは申込みから10日後に承諾した。
1.ア ウ 2.ア オ 3.イ エ 4.イ オ 5.ウ エ
・・・・・

肢アですが、「成立」しているでしょう。
条文を素直に読むといいです。「承諾の期間を定めてした申込みは、撤回することができない。ただし、申込者が撤回をする権利を留保したときは、この限りでない。」としています。

Aは撤回ができず、しかもBが承諾期間内に承諾をしているため、契約が成立していまかす(523条①)。

肢イは、感覚的にも「成立していない」でしょう。
「対話者に対してした申込みに対して対話が継続している間に申込者が承諾の通知を受けなかったときは、その申込みは、その効力を失う。ただし、申込者が対話の終了後もその申込みが効力を失わない旨を表示したときは、この限りでない。」(525条③)としています。

本肢は、対話が終了した時点で申込みの効力が失われているために、Bが翌日に承諾をしても契約は成立しません。Aはすでに別に動いているかもしれません。

肢ウは、「成立」しています。
申込者が死亡しているか(肢エ)、承諾者が死亡しているのか(肢ウ)、違います。

承諾者が承諾通知を発した後に死亡した場合、承諾通知を発した後の事情は意思表示の効力に影響を与えません。本肢は、契約が成立します。

改正により契約成立時期が承諾通知の到達時となったのですが、承諾者が承諾通知を発した後の死亡は、たとえ申込者がこの事実を知っていたとしても考慮されないのです。

ここでアとエで、正解は肢4となります。

肢エは、「成立」しています。
「申込者が申込みの通知を発した後に死亡し、意思能力を有しない常況にある者となり、又は行為能力の制限を受けた場合において、申込者がその事実が生じたとすればその申込みは効力を有しない旨の意思を表示していたとき、又はその相手方が承諾の通知を発するまでにその事実が生じたことを知ったときは、その申込みは、その効力を有しない。」(526条)としています。

本肢は、Aは自らが死亡したとすれば申込みが効力を有しない旨の意思を表示してませんし、かつ、相手方Bは承諾の通知を発するまでに死亡の事実を知らなかったのですから、契約は成立しますね。

肢オは、「成立していない」ですね。
「申込者が承諾の期間を定めて申込みをした場合、当該期間内に申込者が承諾の通知を受けなかったときは、その申込みは効力を失う。」(523条②)ことになります。

Aの承諾は申込みの効力自体が失われており、契約は成立しないのですが、新たな申込みと扱うことができることになっています(524条)。

では、また。



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