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ポルトガルのえんとつブログ

画家の夫と1990年からポルトガルに住み続け、見たり聞いたり感じたことや旅などのエッセイです。

015. 焼き栗、恐い!

2018-10-31 | エッセイ

おお~、恐い!
栗(カスターニャ)の季節がまたやってきたのです!

街を歩くとどこからともなく焼き栗の香ばしい煙が漂ってくる。
秋の香り、食欲をそそる匂いです。

荷車に炭火のカマドを積んで、町角でパチパチと火を起こし、栗を入れた素焼き(セトゥーバルではブリキ)の壷をその上にかけて焼く。
栗のひとつひとつにナイフで切り目を入れて、粗塩と一緒に入れて、時々ガラガラと音を立てて壷を揺さぶっている。

この音と、もうもうと立ち込める煙の匂いをかぐと、もうたまらない!
いつのまにか足がそそくさと焼き栗屋の方向へ引き寄せられてしまう。
一ダース、つまり12個単位で売っている。
焼き立ての熱々を古い電話帳をちぎった紙でクルクルと包んでくれる。

冬のどんより曇った寒い日などに買うと、たまらない!
熱々の焼き栗を両手にしっかり握って、公園のベンチに腰掛けて食べる。
ホコホコと身体の芯に灯がともる。

切り目の入った焼き栗は渋皮ごとパリッと割れるからとても食べやすい。
でも気をつけないと時々虫の入ったのもある。
時々というより毎回のように、虫やカビの生えた悪い栗が混じっている。
12個中の2個か3個も入っていることがある。

焼き栗の値段もずいぶん高くなった。
このごろは栗の季節になるとメルカドで一キロ買って、我家で焼くことが多い。

買ってきてすぐはまだ生栗なので、焼いても甘味が少ない。
そこで日当たりのいい窓辺に並べて2~3日、日光浴をさせる。
すると身が引き締まって、甘味がぐんと増す。
ここで焼き栗屋を見習って、栗のひとつずつに切り目を入れる。
それからいよいよ焼くことになるが、我家はマンションなので炭火焼きはこのごろ自粛している。
なにしろ今年は特にポルトガル全土で山火事が猛威を奮った。そんな時にベランダで炭火を起こすわけにはいかない。
ガス火で焼き栗! 
ちょっと味は落ちるけど仕方がない。

ここで登場するのがシャッパス。
表面が波状のぶ厚い鉄板で、取っ手が付いている。
これがすごい優れもの。
朝のトーストや焼きピーマン、そして焼き栗。
我家で使うのはこんなものだが、魚やステーキなどもきれいに焼けるという。

熱したシャッパスの上に切り目を入れた栗を並べて、その上に素焼きのどんぶり鉢を被せる。
これが我家のくふうですね。
どんぶり鉢に覆われて、熱は満遍なく栗に降りそそぐ。
4分経ったら栗をひっくり返して、さらに4分。
するとホックホクの甘い焼き栗のでき上がりです。

お茶と一緒に、はたまたビールのおつまみに、美味い!

でもご用心!
焼き栗の季節になるとわたしの肥満度がグンと上るのです。
こ、恐い!

MUZ

©2003,Mutsuko Takemoto
本ホームページ内に掲載の記事・画像・アニメ・イラスト・写真などは全てオリジナル作品です。一切の無断転載はご遠慮下さい。

 

(この文は2003年11月号『ポルトガルのえんとつ』に載せた文ですが2019年3月末日で、ジオシティーズが閉鎖になり、サイト『ポルトガルのえんとつ』も見られなくなるとの事ですので、このブログに少しずつ移して行こうと思っています。)

 

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K.029. 黒豚絵柄オリーヴ入れ Azeitoneira

2018-10-31 | 飾り棚

直径14cm

 このオリーヴ入れを見つけた時はおもわず笑ってしまった。
 黒豚の絵柄も珍しいけど、灼熱の太陽にさらされながら野原をさまよう黒豚の姿。
 それを見て思い出した。

 アルフレッドの農場に行った時のこと、その年に生まれた子羊ばかりが入っている畜舎を見学した。
 その畜舎の隅で二頭の黒豚の子供が戯れていた。
 たぶん親豚の目を盗んで出歩き、ふらふらとここへ迷いこんできたのだろう。
 それを見つけた牧羊犬が突然血相をかえてその子豚に突進を開始した。
 2頭の子豚はびっくり仰天して、凄まじい悲鳴と共に表にすっ飛んで行った。
 牧羊犬は子豚を親豚の所に戻そうと使命感に燃えて、その後をどこまでも追っかけて行った。
 アルフレッドと奥さんのアンナ、私たちは大笑い。
 牧羊犬の恐怖はあるとは言えこの農場の黒豚たちは実に自由に暮らしている。

 アレンテージョ地方のバランコス一帯は黒豚の産地として有名だ。
 その辺りをクルマでドライブすると時たま黒豚の遊牧に出会う。
 まるで羊飼いの様に一人の老人が一匹の犬を連れて4~50頭の黒豚を遊牧している。
 餌はコルク樫のどんぐりやオリーヴの落ちた実などなのだろう。MUZ

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