マイクロ・ナノデバイス 

デバイス・プロセス技術のコラボレーション 参考資料:S.M.Sze半導体デバイス

金属・半導体接触(ショットキー障壁とオーミック接触)

2007-04-29 23:22:04 | デバイス -Device-
最初の実用的な半導体デバイスというのは金属を半導体に点接触させたダイオードだった。ショットキーはダイオードの整流作用が半導体の表面電荷によるポテンシャル障壁が出来ているためだと提案した。この由来から金属と半導体との間に出来る障壁のことをショットキー障壁という。一方、この障壁が無視できる場合もありその場合はオーミック接触と呼ばれる。コンタクトを基板に取る際にはオーミック接触を作ることが求められる。

金属半導体接触をプレーナ技術で作成するには酸化膜にエッチング等で穴を開け金属を真空蒸着もしくはスパッタなどで生成する。

ショットキー障壁

金属とn型半導体のエンルギーバンド図を下に示している。



仕事関数:フェルミ準位と真空準位との差 は金属と半導体で異なるために接触させた場合にはフェルミ準位が一致するように半導体界面のバンドが曲げられる。
図には電気親和力qχも示している。χは伝導帯の底から真空準位までの差である。

障壁の高さは
  qΦbn=qΦm-qχ(n型の場合)
  qΦbp=Eg-(qΦm-qχ)(p型の場合)
となる。Egはバンドギャップエネルギー。この2式から
  Eg=q(Φbn+Φbp)
電子が移動しようとする際に見える内蔵電位Vbiは
  Vbi=Φbn-Vnである
qVnは伝導体の底とフェルミ準位の差である。

異なるqΦmに対してqΦbnを測定してみると式で予測されたほど障壁があがらない。
これは実際には界面で結晶が不連続で多くの表面準位ができバンドギャップ中に分布し、ドナー・アクセプタとして働くためである。
n型については障壁は少なめに、p型については障壁は大きめに働く。




バイアス条件を変えたときのバンド図の変化を示している。
順方向バイアスでは障壁がVfだけ減少するので電子が容易に半導体から金属に流れやすくなる。
金属は完全な導体であり半導体から乗り移った電荷は表面の非常に狭い領域に存在する。これはp+-n接合に同じになる。
最大電界は界面に生じていて
Em=qNdW/εs
空乏層幅W
W=√{2εs(Vbi-V)/qNd}
からC=qNdWであるので
1/C^2=2(Vbi-V)/qεsNd
これよりCを印加電荷の関数として測定すると不純物濃度Ndが分かる。
また左辺が0になるx切片からVbi→Φbnが求まる。

ショットキー障壁は伝導体価電子帯の密度よりも不純物濃度が小さく障壁高さもkT より十分大きい金属ー半導体接触のことである。p-n接合では電流が少数キャリアの移動によっておこなわれるのに対してショットキー障壁では多数キャリアで熱電子放出が起こり電流が生じる。このため高い周波数まで応答性がある。」表面での電子密度は順方向電圧Vfがかかっている場合 半導体→金属
nth=Ncexp(-q(Φbn-Vf)/kT)
実質の電流密度はこれから金属→半導体の分
nth=Ncexp(-q(Φbn)/kT)
を引けばよい。
電流電圧特性は
J=Js(exp(qV/kT)-1)となる。
Js=A*T^2exp(-qΦbn/kT)
Jsは飽和電流密度。A*はリチャードソン定数。

オーミック接触

オーミック接触はバルクの抵抗に比べて無視できるほどに低い接触抵抗を持つ半導体-金属接触と定義される。
オーミック接触を作るためには不純物濃度をうんと高くして障壁の幅Wを狭くしてトンネル電流を生じさせるのが良い。

オーミック抵抗の性能は
Rc=(dJ/dV)^-1Ω・cm^2
で表され
高濃度にドープされている場合には
Rc=exp[(4√mεs×Φbn)/(√Nd×h)]
よって抵抗はΦbn/√Ndに対して指数関数的に依存しており不純物の濃度を上げること、障壁の高さを低くすること抵抗を下げることにつながる。
下図に1/√Ndを関数としたRcの値が示されている。


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