マイクロ・ナノデバイス 

デバイス・プロセス技術のコラボレーション 参考資料:S.M.Sze半導体デバイス

エッチング技術

2007-07-30 00:10:10 | プロセス -Process-
エッチングは堆積した膜をレジスト等をマスクにして彫って加工する工程である。大きく分けて溶液を用いた湿式(Wet)の化学的エッチングとプラズマを用いた乾式(Dry)エッチングに分類される。

Wet エッチング

Wetエッチングは等方的に進行するので微細化の進む半導体ではメジャーではなくなってきているが反応速度という面ではまだまだ分があり前面でエッチングをする際等に用いられている。
Wetエッチングでは反応液がウエハー表面に拡散で到達して表面で化学反応が起こり生成物が拡散で持ち去られる。液の攪拌スピードや液温によってエッチ速度が変化する。
ウエハーを直接、液に浸すか吹き付ける(スプレー)。吹き付けエッチ新しいエッチング液を常に供給することが出来て高いエッチ速度と均一性が得られるので広く用いられている。
エッチングの均一性というのは非常に重要なパラメータであり次のように定義される
エッチ速度平均度(%)=(最大エッチ速度-最小エッチ速度)/(最大エッチ速度+最小エッチ速度)×100

Siエッチング
硝酸(HNO3)とフッ酸(HF)の混合液を水、酢酸(CH3COOH)で薄めたものが用いられる。硝酸がSiを酸化してSiO2が出来、それをHFで溶かすことによって取り除く。Siの結晶面 結晶面(111)面は(110)面と比べて結合手が多いためエッチ速度は遅い。 

SiO2エッチング
HFもしくはNH4Fを加えたものが用いられる。
これは緩衝フッ酸(Buffred HF)と呼ばれる・この添加によりpHの調整が行われてエッチ液の性能がより長期保たれる。
一般的に熱酸化で作った緻密な膜はCVD等で作った粗な膜と比べてエッチ速度が遅い。またSi内のP濃度が高いほどエッチ速度も速い。
Poly-Siもこれに準ずる。

Si3N4 のエッチング
SiNは室温の濃縮HF、BHF、加熱したH3PO4でエッチされる。
180℃に加熱したH3PO4はSiNとSiO2の選択エッチングに用いられる。
エッチ速度は窒化膜:酸化膜=10:1以下(nm/min)である。
ただレジストも剥離されるので注意する必要がある。

Alのエッチング
リン酸、硝酸、酢酸、純粋の加熱混合液が用いられる。
メカニズムとしては硝酸で酸化した酸化物をリン酸で溶かすというのが流れである。

Dryエッチング
エッチング用のプラズマ源については学生時代に研究をしていたのでプラズマ諸特性についてはこちら

Dryエッチの特徴はその異方性である。Wetでは等方的にエッチングが進むためレジスト下のえぐれが問題になる。エッチングの異方度Afは
Af=1-1/hf=1-Rl/Rv
hfは膜厚、lはレジスト下で横にエッチングされる距離、Rl、Rvは横および厚み方向のエッチ速度である。




等方性エッチの場合、膜厚を解像度の1/3以下にしなくてはいけない。
Afは1に近いほど望ましい。

エッチングではプラズマによって気相で活性化したラジカルが表面に到達して、吸着、化学反応をして揮発物質を生成して脱着すると言う流れである。
ラジカルによる反応を促進するために基板をバイアスしてイオンの引き込んで物理的反応を起こさせることが普通である。これをRIE(ReactiveIonEtching)という。

終点制御はプラズマからの発光分析によりエッチ生成物を検出したり、表面、界面の干渉による反射率を測定することによって行われる。
Δd=λ/2n
dは膜厚の変化、λは波長、nはエッチ層の屈折率である

Alエッチング
Al-Alの結合エネルギー:54eV
 -Cl        :122eV
 -Br        :106eV
とのことでCl2、HBrが用いられる。

Siエッチング
Si-Siの結合エネルギー:54eV
Si-F         :132eV
Si-Cl        :96eV
Si-Br        :88eV
とのことでSF6、Cl2、HBr等が用いられる。
Fは反応性が高いためにH2等で希釈することがある。
F+H⇒HF

SiO2のエッチング

Si-Oの結合エネルギー:111eV
Si-F        :132eV
Si-N        :105eV
よって反応は主にイオンの衝撃により促進される。
フロロカーボンであるCF4、C4F8などはCがOと結合して出て行くことや大気中で安定ということもあり広く用いられている。ただ温室効果ガスであるので廃棄に注視する必要がある。

アッシング
レジストの剥離に用いられるのがO2プラスマを用いたアッシャーである
Resist+O⇒CO2+CO+H2O
アッシングレートの関係からF系とH系のガスを添加することがある。
F系のガスは高分子骨格を不安定にしてレートを上げる。
H系のガスは活性化エネルギーを下げる効果があるといわれているが定かではない。

最新の画像もっと見る