お昼時、チャンネルをなんとなく放送大学にしたところ、
ショパンについての講義だったので、最後の15分間ほどを見た。
(講義のタイトルは『西洋音楽の諸問題('05)』)
私は、ショパンはもとより音楽家についてろくに知識もなく、
絵画を楽しむのと同様に、ただその一曲一曲に対して、
好き嫌いを言いながら楽しんで聴いているだけなのだが、
その講義でちょっと面白いことを知った。
(ピアノに詳しい方ならすでにご存知のことばかりだと思うので、
退屈させてしまったら申し訳ありません。。。)
ピアノは時代とともにその構造を変えながら今日に至っている、
と、その昔学校で習ったけれど、ショパンが何を使っていたかは知らなかった。
ショパンは、エラールとプレイエルという2つのピアノを使っていて、
親友のカミュ・プレイエルから譲り受けた後者のピアノを特に愛用していたそうだ。
プレイエルピアノは「シングルアクション」という構造で作られており、
現在の「ダブルアクション」と違い、鍵盤のタッチが軽く、弾きやすいらしい。
そのプレイエルの音色を当時の運指法を用いた演奏で聴くことができた。
曲目は、親友の妻のために書いたという夜想曲第2番変ホ長調 Op.9-2である。
(番組での演奏者は小倉貴久子さんという方で、試聴盤とは関係ありません。)
率直な感想を言うと、現在のピアノの音に馴染んでいるせいか、
プレイエルの音色は銀線のような響きで、どことなく堅く感じられたが、
軽やかといえばそうかもしれない。
その軽やかなプレイエルでショパンはいつも作曲していたので、
難しい演奏がしばしば登場したらしい。
面白いと思ったのは、そこからだ。
ショパンは、せっかく自分が作った曲の演奏が難しくて弟子の手に余ると、
その小節を省いて弾いても構わない、と考えていたようなのだ。
テレビには、弟子が持っていた楽譜が映し出され、
難しいとされたところが何小節にも渡って大きくバッテンされていたり、
音符のいくつかに小さなX印がつけられたりしていた。
これは私には驚きだった。
私は筝と三弦を弾くのだけど、難しくて弾けなかったら飛ばしていい、
などと教わったことは一度もない。
最初はゆっくり、慣れてきたら譜面通りに弾けるように、
ただひたすら練習するのみ、だった。(そして結局弾けなかったものも……。)
いや、何の楽器であっても、これが普通なのではないか?
それが作曲者に対する敬意ではないのか?
だが、ショパンは、難しい小節でつまづいて、愛好家が減ることを嫌った。
自分の曲より、ピアノそのものを愛してもらいたかったのだ。
「難しいことは抜きにしよう♪」
と、ショパン先生が言われたかどうかはともかく、
なんだかショパンっていい人だなあ~と思ってしまった。
上達するには、まず好きになることが先だ。
好きになれば、上達しようと頑張る気持ちが沸いてくる。
ショパンのこの融通の利かせ方は、
後進の指導者として素晴らしいものであるように思う。
「ショパン先生に続け!」
と情熱を燃やしているプロ志向のお弟子さんの楽譜には、
それとはまた別のバッテンがつけられたかもしれないが。
(次を読む)
ショパンについての講義だったので、最後の15分間ほどを見た。
(講義のタイトルは『西洋音楽の諸問題('05)』)
私は、ショパンはもとより音楽家についてろくに知識もなく、
絵画を楽しむのと同様に、ただその一曲一曲に対して、
好き嫌いを言いながら楽しんで聴いているだけなのだが、
その講義でちょっと面白いことを知った。
(ピアノに詳しい方ならすでにご存知のことばかりだと思うので、
退屈させてしまったら申し訳ありません。。。)
ピアノは時代とともにその構造を変えながら今日に至っている、
と、その昔学校で習ったけれど、ショパンが何を使っていたかは知らなかった。
ショパンは、エラールとプレイエルという2つのピアノを使っていて、
親友のカミュ・プレイエルから譲り受けた後者のピアノを特に愛用していたそうだ。
プレイエルピアノは「シングルアクション」という構造で作られており、
現在の「ダブルアクション」と違い、鍵盤のタッチが軽く、弾きやすいらしい。
そのプレイエルの音色を当時の運指法を用いた演奏で聴くことができた。
曲目は、親友の妻のために書いたという夜想曲第2番変ホ長調 Op.9-2である。
(番組での演奏者は小倉貴久子さんという方で、試聴盤とは関係ありません。)
率直な感想を言うと、現在のピアノの音に馴染んでいるせいか、
プレイエルの音色は銀線のような響きで、どことなく堅く感じられたが、
軽やかといえばそうかもしれない。
その軽やかなプレイエルでショパンはいつも作曲していたので、
難しい演奏がしばしば登場したらしい。
面白いと思ったのは、そこからだ。
ショパンは、せっかく自分が作った曲の演奏が難しくて弟子の手に余ると、
その小節を省いて弾いても構わない、と考えていたようなのだ。
テレビには、弟子が持っていた楽譜が映し出され、
難しいとされたところが何小節にも渡って大きくバッテンされていたり、
音符のいくつかに小さなX印がつけられたりしていた。
これは私には驚きだった。
私は筝と三弦を弾くのだけど、難しくて弾けなかったら飛ばしていい、
などと教わったことは一度もない。
最初はゆっくり、慣れてきたら譜面通りに弾けるように、
ただひたすら練習するのみ、だった。(そして結局弾けなかったものも……。)
いや、何の楽器であっても、これが普通なのではないか?
それが作曲者に対する敬意ではないのか?
だが、ショパンは、難しい小節でつまづいて、愛好家が減ることを嫌った。
自分の曲より、ピアノそのものを愛してもらいたかったのだ。
「難しいことは抜きにしよう♪」
と、ショパン先生が言われたかどうかはともかく、
なんだかショパンっていい人だなあ~と思ってしまった。
上達するには、まず好きになることが先だ。
好きになれば、上達しようと頑張る気持ちが沸いてくる。
ショパンのこの融通の利かせ方は、
後進の指導者として素晴らしいものであるように思う。
「ショパン先生に続け!」
と情熱を燃やしているプロ志向のお弟子さんの楽譜には、
それとはまた別のバッテンがつけられたかもしれないが。
(次を読む)
音楽室に並んだ風体からは、想像もつきません。
ベートーベンは、ふけが飛んできそうな頭かきむしりながら作曲するイメージです(笑)。
省略など、とても許してくれそうにないですね。
もともと弾けもしないですけど。
私はこどもの頃、同じ師匠にピアノを習ったことがあるのですが、
練習曲はなかなか弾けないし面白くないしで、一年と続きませんでした。
今時は、基礎を習ったら、早々に好きな曲を習うというところもあるらしいですが、
それなら続いたのかなあ……(基礎ができなきゃ同じかな?)
ベートーベンのイメージ、私もおんなじです(笑)
でも、あの強面からはとても想像できないような、
切ないノクターンを作っちゃうんですよねぇ……(溜息)
省略したらしばかれるかと思いきや、案外涙ぐまれたりして。。。