燈子の部屋

さまざまなことをシリアスかつコミカルかつエッセイ風に(?)綴る独り言的日記サイトです

ヘンなオークション番組

2004-09-13 00:00:00 | テレビ
オークションの番組で「ミニッツ・リピーター」という懐中時計を見た。
蛍光塗料がまだない時代だったのか、暗闇でも時を知ることができるようにと、
知りたい時にはいつでも音を鳴らさせることができる優れものだ。
その音の鳴り方がおもしろい。
例えば、「1時49分」だとすると、まず「1時」を示すのに「リン」と1回鳴る。
次に「49分」を「45分」と「4分」に分けて、
「45分」を示すのに15分を1つとして「リン・リン・リン」と3回鳴る。
最期に「4分」を示すのに「リンリンリンリン」と4回鳴るのだ。
「時」と「分」では音色が異なり、15分単位のときには2つの音色が同時に鳴るので、
間違いなく聞き分けることができる。
こういう涼やかな音色を聴くと、やはり合成音声よりも素敵だなあと思う。

さて、この番組は、最低希望売却価格を伏せたまま、
スタジオに集まった一般の購入希望者たちが競りを行い、
値がついた段階で初めて最低希望売却価格を明かし、同じか上回れば落札できる、
という甚だ変わった形式のオークションだった。
したがって、どうしても売りたい人はかなり安値をつけざるをえない。

で、この懐中時計。
ディオールだし、きちんと動いていて意匠も素敵に見えたので、
いくらなんでもきっと500万は下らないだろうな、と見ていたら、
出品者の最低希望売却価格は、

なんとたったの70万円!

思わず「ええーっ?!」と叫んでしまった。

あまり驚いたので、落札価格を忘れてしまった。
たぶん、280万円か、そのくらいだったように思う。
鑑定士は最低300万と言っていた。見ていて泣けてきたんじゃないかと思う。
出品者は、諸々の事情で行けなかった新婚旅行に行くために競りに出したそうで、
70万円というのはその新婚旅行代なんだそうだ。
その理由は微笑ましいが、私は、その時計を丹精込めて作った職人さんに同情する。
いくらなんでもあんまりだ。

結果として、これは実に不当なオークションだなあ、と思う。
売る側は儲かってよかったが、買う側は不必要な出費を強いられたのだ。
いや、それだけではない。
売る側も、適正な市場価値を知らずに最低希望売却価格をつけたことで、
相当な大損をしたことになるのだ。
もちろん、それを承知の上で出演しているに違いないのだが、
それでもやはり珍妙な番組だと思わざるをえない。
途中からしばらく見ていたのだが、そのことが頭にひっかかって仕方がなかった。

そんなにいやなら見なければいいんだけど、
次はどんな品物が出てくるのかな?と期待しちゃう我が身が口惜しい。


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