外科医(9年目)日記

自分さえ我慢すればいいと思って頑張ってきた。そんな僕には家族が出来た。患者も大切、家族も大切。わがままだろうか?

大腸癌、肝転移

2007年05月29日 21時25分19秒 | 大腸癌

今週、来週と手術患者が目白押しになってきた。。。

 ヒマだヒマだと思っていると、神様はきちんとみている。。。

 

 大腸癌。。。消化器の癌のなかでは一番予後のよいほうのだろう。。。

 手術をきちんとして、必要があれば抗がん剤を再発予防にする。。。

 これで進行がんでも6~7割の人が助かる。

 

 しかし、肝臓に転移をしていると話は別だ。

 大腸癌は血流に乗ってまずは肝臓に転移を起こす。

 肝臓は、栄養を代謝し、毒を解毒する臓器だ。。。

 これが大腸癌の転移によって、圧迫され、機能をうしなっていく。

 

 以前は肝転移があると、余命は6ヶ月といわれていた。

 しかし最近はいろいろな抗がん剤を組み合わせ、更に取れるのであれば、

 手術をしてとってしまい、治してしまうという試みが盛んになされている。。。

 

 転移のある大腸癌でも抗がん剤がきけば、20ヶ月生きることが出来る。

 手術でとりきることが出来れば50%の確立で3年は再発しない。。。

 転移をした癌でも、治る可能性もあるのだ。。。

 

 来週手術の人たちは残念ながら、転移が肝臓全体に散らばっている方だ。

 手術で全てをとることは出来ない。とったら、死んでしまう可能性がある。

 しかし、大腸癌をほっておくと、つまりそうなほどに進んでいる。だから手術を

 する。

 

 これから手術をするこれらの患者に頑張ったら平均22ヶ月生きることができ

 ますと、いうことはできない。。。

 しかし、今の医療ではそれが限界だろうか。。。

 

 週2回抗がん剤をし続けて、病院中心に人生を過ごして。。。

 はじめから、この現実を知っていたら、それにかかるお金を、時間を

 僕はどう使うだろうか?やっぱ、なるべく長生きして、家族と一緒に平凡な

 生活をしたいと思う。。。だろう。


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