土曜日(2005年4月16日)の反日デモは、やはり抑えられなかった。今日一日、中国各地で起ったさまざまな出来事がこれからどう進展し、そして終息に向っていくのか、まだまったくわからない。だからとりあえず、今夜の共同通信の最終配信だけを選んでコピーしておくことにしようと思う。
報道各社のウェブサイトにアップされる記事は、時間を追うごとにどんどん書き換えられていく。これはこれで時々刻々の動きが見えて面白い。だが、後日のための記録用には量が多過ぎて大変だ。やはり、現地の動きが収まってから書かれた記事のほうが、記者たちの視野が拡がっているので記録に値するように思われる。
産経新聞 (共同通信配信)
上海の反日デモ、最大被害 2万人参加、一部が暴徒化
2005年4月16日 21時:54分
中国・上海市での反日デモは16日午後も続き、参加者は約2万人に達したもようだ。一部が反日スローガンを叫びながら石やペットボトルなどを総領事館に向かって投げ付けるなど暴徒化、窓ガラス13枚が割れ、ペンキで外壁などが汚された。市中心部では日本料理店やコンビニなど10軒以上の日系店舗が壊され、日本人を追い掛け回すなど9日に起きた北京の反日デモを上回る最大規模の被害となった。原田親仁駐中国公使は16日、中国外務省の崔天凱アジア局長に電話で抗議した。
町村信孝外相の訪中を17日に控え、当局の禁止にもかかわらず日系施設が再び被害を受けたことで、日中関係のさらなる冷却化は避けられない情勢だ。
北京でも天安門広場などでのデモの呼び掛けが事前にあったが、当局が厳しい警備態勢を敷いたため16日、反日デモは起きず、平穏だった。
しかしウェブサイト上では外相訪中に合わせて四川省成都や河南省海口、遼寧省瀋陽、福建省アモイなど14都市でのデモの呼び掛けが書き込まれた。当局は北京を中心に警戒を強めているが、17日に再びデモが行われる可能性もある。
上海の総領事館によると、デモ隊は四方から総領事館を囲み、約5時間にわたり投石などを続け、日の丸を燃やし、気勢を上げた。日本人職員十数人が建物内で身動きが取れない状態となった。警備の警官は動かなかった。市内のあちこちでは日系メーカーの車がひっくり返されたが、夕方にはほぼ収束した。日系店舗が放火されたとの情報もある。
中国国営通信、新華社は上海のデモ報道に続き、浙江省杭州や天津で行われた反日集会なども英文で報じた。杭州で約1万人がデモ、天津では2000人以上が集まり反日集会を行ったという。
広東省広州や深圳でも反日デモが行われたが、直ちに解散させられた。同省東莞では約1000人が署名集会を開いた。(共同)
「日本の侵略者は死ね」「打倒日本」。中国上海で16日に起きた反日デモ。約二万人が反日スローガンを口々に叫び、暴徒化した若者らが日本料理店など10軒以上を襲った。一部は日本総領事館に向け、5時間にわたり投石。十数枚もの窓ガラスが砕け散ったが、警備の警官は動かない。日本との関係も深く、他都市と比べ友好的とされた上海で吹き荒れた「愛国主義」。中国最大の日本人社会に激震が走った。
四方を数百人に囲まれた総領事館。十数人の日本人職員は館内で身動きが取れない。一部のデモ参加者が近くの広場から運んできた石を次々と投げ始めた。中には若い女性の姿もあり、壁に当たって大きな音が立つと笑いながら一斉に拍手、歓声を上げた。
総領事館の壁は赤や青のペンキがべったり。参加した学生は「上海でこんなに大規模デモができてうれしい。日本が教科書や釣魚島(尖閣諸島)の問題で中国を困らせたから、こんなデモが起きた」と興奮した様子だ。
総領事館に近づけなかった一部は暴徒化。お好み焼き屋の窓ガラスを割って店内にまで侵入し、棒切れなどで店を破壊し尽くした。しかし、多くの市民は店内を興味深そうにのぞき込むだけ。日系メーカー車をひっくり返したり、付近にいた日本人を殴ろうと追い掛け回し、この日本人を保護した警察車両が包囲される場面も。
日本人が多数集まって住む一角のスーパーも襲撃された。上海在住の日本人会社員は「怖い。上海でこんなことが起きるなんて信じられない」と警戒心をあらわにした。
一方、北京市中心部の天安門広場では16日朝から、制服姿の警察官ら数百人が警戒したが、好天に恵まれたこともあり、終日観光客が押し寄せにぎわった。(共同)