Takahiko Shirai Blog

記録「白井喬彦」

核拡散防止条約再検討会議

2005-05-22 06:03:15 | 国際
核拡散防止条約(NPT)再検討会議が終ろうとしている。再検討会議は5年に1度開催されることになっているので、次回は2010年ということになる。今回の会議では北朝鮮の条約脱退・核保有宣言への非難は盛り込まれるが、現在纏められつつある最終文書の中では、それがトーンダウンしそうだという。

会議が最終段階に来たところで、北朝鮮とアメリカ政府との不規則接触がおこなわれた。そのため、他の諸国がアメリカと北朝鮮の交渉の行方を見守ろうという姿勢に転じた。

ここへきてアメリカが突然「ニューヨーク・チャンネル」を活用して北朝鮮と接触したことは、6ヶ国協議の主催国であった中国を愕然とさせたに違いない。だが、その中国は会議期間ブッシュ大統領が金正日をえげつない言葉で個人攻撃したことを理由に、「6カ国協議の再開は中国一国の努力だけでは手に余る」と啖呵を切った。

一方、「限定核戦争は現実化しつつある」でも触れたように、今回の再検討会議の課題には「限定核兵器の制限」という重要問題があったはずだ。この限定核兵器制限は、現在のところは兵器のハイテク化を勧めるアメリカを主たる対象と考えていたのであるが、最終文書ではいったいどういう扱いになったのか。

今後、北朝鮮が核実験に踏み切り、弾道ミサイルに核弾頭を搭載するようになれば、アメリカは北朝鮮への攻撃に踏み切る可能性がある。そのとき使われるのは、ピンポイントで地下施設を狙ったりする限定核兵器であろうと考えられている。

こういう事態がやってくる時期はいつ頃なのだろうか。2010年に開催が予定される次回の再検討会議で間に合うのだろうか。


毎日新聞
NPT会議: 最終文書ではトーンダウン? 北朝鮮非難
2005年5月21日 21時10分

 【ニューヨーク会川晴之】 核拡散防止条約(NPT)再検討会議で27日の閉幕時に採択を目指す最終文書について、北朝鮮のNPT脱退や核保有宣言などを非難する文言のトーンが薄まる可能性が出てきた。中国が19日に「6カ国協議の再開は中国一国の努力だけでは手に余る」と明言、金正日総書記の個人批判に踏み込んだブッシュ米政権に柔軟姿勢を求めたからだ。「強い懸念」を表明する文言の明記を求めてきた日本代表団も「中国の立場にも配慮する必要がある」との見解を示した。

 中国は19日の核不拡散委員会での演説で、6カ国協議で中国が果たした役割を強調するとともに、対話による解決を目指す同協議の重要性を改めて強調した。その上で、同協議再開には「特に北朝鮮と米国双方の努力が必要」と指摘した。

 北朝鮮の核保有宣言をめぐっては、国際原子力機関(IAEA)が3月の理事会で、「すべての核開発を検証可能な形で完全廃棄し、できるだけ早期に無条件で6カ国協議に復帰する」ことを求める議長総括を全会一致で採択している。

 日本は、北朝鮮が寧辺の実験用減速炉から使用済み核燃料棒を取り出したうえ、核実験を示唆する発言を繰り返すことを重視。今回のNPT再検討会議でも「強い懸念」を表明し、非難色の濃い文言の採択を参加国に働きかけていた。

 しかし、6カ国協議再開に向けて米国も北朝鮮と接触するなど政治的に微妙な段階にあり、北朝鮮非難を強めることへの各国の支持が得られるかどうか微妙だ。

 高須幸雄・在ウィーン国連代表部大使は「まったく非難色のない文書採択は容認できない」と語り、文言を巡る調整を活発化させる意向だ。

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