Takahiko Shirai Blog

記録「白井喬彦」

中国の愛国観光

2005-04-26 08:19:06 | 国際
次に掲げるのは、中国の全国観光協会とおぼしき団体がこのほど発表した、「ゴールデンウゥーク観光情報」に関する記事である。例年だと、こういう記事はたぶん見過ごしていただろう。

けれども、共産党中央公布の「愛国主義教育実施綱要」を熟読した後では、中国では観光すら単なる「観光(sightseeing)」ではなく、「愛国観光」として「愛国主義教育」の一環としての位置づけがなされていることを知り、改めてその異常さに驚かされるのである。

中国人のいうところの「観光」とは、もはや「愛国主義教育実施基地」を見て廻ることと同意義なのだろうか。風光妙美を愛でる普通の観光は好ましくないという雰囲気に、中国社会は満ち満ちているということなのだろうか。

なお、「愛国主義教育基地」については、 原田博康氏の「愛国主義教育基地の研究」に詳しい。


中国情報局
GW予報:全国で「愛国観光」の注目度アップ
発信:2005/04/25(月) 15:26:00

全国休日観光協調会議事務室が24日、「2005年『五一』連休第1号観光情報予報」を発表した。中国は2005年を共産主義観光年としており、全国各地で革命や共産主義に関する観光活動が行われる。新浪網が伝えた。

予報の対象となるのは、全国39の重点観光都市と29の重点観光地だ。各地の政府機関では安全性に重点を置いて、大型連休に備えている。観光地やレストランの消防設備、安全性、衛生環境の大規模な検査を実施しているほか、ロープウェーやガードレール、主要道路への検査や、突発事件防止に向けた商業施設や露店商の秩序整理とサービス教育も行っている。

天津市では、「人民の勝利で翻す国旗」をテーマとし、周恩来などの革命の軌跡や中国共産党革命初期の遺跡を巡る「国旗きらめく天津ツアー」が企画されている。また、「自然への回帰」、「青空と海原の漁業風情」、「繁栄するきらびやかな都市」などをテーマとするイベントも行われる。

遼寧省・瀋陽市では、「抗美援朝烈士陵園」、「劉少奇旧居記念館」等のほか、日中戦争の発端となった柳条湖事件(満州事変)を展示する「九・一八歴史博物館」を観光する「瀋陽1日ツアー」が行われる。

また、重慶市では、連休期間中のイベントの主催者に対し、公安や衛生部門、消防部門との連携を強化し、安全責任の所在を明確にすることを要求。旅行会社に対しては、全ての観光客に保険への加入を促している。

全国各地の交通機関ではすでに混雑し始めており、一部ではチケットの売り切れが出ている。航空会社や鉄道局では、臨時販売窓口の増設や予約可能時間の延長、重点地域での増便などで対応をしている。(編集担当:齋藤浩一)

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