ハードバピッシュ&アレグロな日々

CD(主にジャズ・クラシック)の感想を書き留めます

キャノンボール・アダレイ/ポートレイト・オヴ・キャノンボール

2017-10-24 12:19:37 | ジャズ(ハードバップ)
前回に引き続き東京出張でゲットした輸入盤の紹介です。今日ご紹介するのはキャノンボール・アダレイのリヴァーサイド盤「ポートレイト・オヴ・キャノンボール」。リーダーのキャノンボール(アルト)に加え、ブルー・ミッチェル(トランペット)、ビル・エヴァンス(ピアノ)、サム・ジョーンズ(ベース)、フィリー・ジョー・ジョーンズ(ドラム)と言うリヴァーサイドが誇る豪華メンバーによるクインテット作品です。録音は1958年7月。キャノンボールにとってはリヴァーサイド移籍第1作に当たります。この頃はまだ無名に近かったエヴァンスを起用したのは、当時マイルス・デイヴィスのバンドの同僚だった関係でしょうね。キャノンボールとエヴァンスの共演作と言えば、1961年の「ノウ・ホワット・アイ・ミーン」が名盤の誉れが高く、CDによる再発売もしょっちゅうされていますが、本作はあまりメジャーとは言えません。内容的にはこのメンバーなので悪かろうはずがないのですが、キャノンボール、エヴァンスともに他に名作が山ほどあるので、その中で埋没してしまっているのでしょうね。もったいない話です。



アルバムはまずジジ・グライスの名曲“Minority”で始まります。エヴァンスはこの後に発表する「エヴリバディ・ディグズ・ビル・エヴァンス」でも取り上げていますので、彼のお気に入りだったのでしょうね。本作はクインテットによる演奏ですので、キャノンボールの情熱的なアルト、ミッチェルのブリリアントなトランペットをフィーチャーした熱血ハードバップに仕上がっています。続く“Straight Life”はキャノンボール自作のバラード。どことなくスタンダードの“Easy Living”を思わせる美しいバラードです。“Blue Funk”はベースのサム・ジョーンズの作曲。文字通りのファンキー・チューンでキャノンボールはじめ楽しそうに演奏しています。“A Little Taste”はキャノンボールのオリジナルで、彼のテーマ曲と言ってもいいぐらい何度も演奏していますが、本作のバージョンももちろん素晴らしいです。“People Will Say We're In Love”はロジャース&ハマースタインが作曲したミュージカル「オクラホマ!」からのナンバー。ここではアップテンポに料理されており、メンバー全員が軽やかにスイングする陽気なハードバップに仕上がっています。ラストの“Nardis”はマイルス・デイヴィスの作曲だそうですが、マイルス自身の録音はなく、まるでエヴァンスの代表曲のようになっています。本作のヴァージョンはその初演だそうですが、正直やや辛気臭いかな?他の楽曲とはテイストが違うのでやや浮いています。全体的に見るとやはりキャノンボールらしいファンキーな曲が多く、エヴァンスも時折キラリと光るソロを見せるものの、まだまだサイドマンの域は出ていませんね。あくまでキャノンボールの作品として聴くのが正解だと思います。

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