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ハードバピッシュ&アレグロな日々

CD(主にジャズ・クラシック)の感想を書き留めます

アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ/キューバップ

2025-04-28 19:02:42 | ジャズ(ハードバップ)

アート・ブレイキーのキャリアを振り返った時、核となるのはジャズ・メッセンジャーズでの活動であることは間違いのないところですが、その一方でドラムやパーカッション等打楽器アンサンブルを生かした音楽への探求も忘れてはいけないところです。ディスコグラフィー的には1957年の「オージー・イン・リズム」、翌1958年の「ホリデイ・フォー・スキンズ」、1962年の「ジ・アフリカン・ビート」といずれもブルーノートから発売された3作品がそれに当たり、どの作品もコンガ、ボンゴ、ティンパニ等8~9人もの打楽器奏者が参加し、打楽器アンサンブルを生かした新たなジャズの可能性にチャレンジしています。

ただ、それらの試みは当時としては(今でも?)かなり野心的なもので、正直言って一般的なジャズファンにとって取っ付きやすい作品とは言い難いですよね。上記3作品もアルフレッド・ライオンのブルーノートだから理解を示してくれたのであって、他のレーベルだと発売は難しかったでしょう。ただ、そんな中でブレイキーは他レーベルにも通常のハードバップ路線とパーカッション路線の折衷案的なアルバムを残しており、それが本日ご紹介する1957年発表のジュビリー盤「キューバップ」です。

タイトル通りキューバ音楽とハードバップを融合させたジャズで、コンガ奏者のサブー・マルティネスが大々的にフィーチャーされています。彼自身はキューバではなくプエルトリコ系だったらしいですがアフロキューバン・ジャズの旗手として同年にブルーノートにリーダー作「パロ・コンゴ」を残しています。それ以外のメンバーはビル・ハードマン(トランペット)、ジョニー・グリフィン(テナー)、サム・ドッカリー(ピアノ)、スパンキー・デブレスト(ベース)、ブレイキーといわゆる”暗黒期”のジャズ・メッセンジャーズで、時系列的には「チュニジアの夜」(1960年のブルーノート盤ではなくヴィック盤の方)とアトランティック盤「ウィズ・セロニアス・モンク」の間です。

全4曲。アルバムはまずディジー・ガレスピーの名曲"Woody 'N' You"で始まります。冒頭からコンガとドラムが賑やかにリズムを刻みますが、演奏自体は普通のハードバップで、ハードマン→ドッカリー→グリフィンと熱いソロを繰り広げます。後半にサブーとブレイキーのソロもありますが30秒くらいで終わります。2曲目はブレイキーの自作曲で愛娘の名を冠した"Sakeena"。ブレイキーはよほど娘を溺愛していたのか同年の「ハード・ドライヴ」に"Sweet Sakeena"、1960年の「ザ・ビッグ・ビート」に"Sakeena's Vision"とそれぞれ違う曲を残しています。12分弱にも及ぶ長尺の曲で前半はラテン調のリズムに乗ってグリフィン→ドッカリー→ハードマンとソロをリレーします。特に前年にシカゴから出てきて絶賛売り出し中のグリフィンのソロが熱いですね。ただ、後半6分過ぎからコンガとドラムによる打楽器乱舞が始まり、何と5分以上にわたって延々とチャカポコズンドコが続きます。この部分をどう聴くかですが、個人的には2分続いたあたりからちょっとしんどくなってきます。

3曲目はジョニー・グリフィン書き下ろしの"Shortly"でこちらは4分半ほどのコンパクトな曲。ドッカリー→ハードマン→グリフィンと切れ味鋭いソロを繋いでビシッと終わり。もちろんドラムとコンガもバックで鳴り響いていますが、曲自体は普通のハードバップで、やっぱりこう言った演奏の方が安心しますね。ただ、ラストの"Dawn On The Desert"は再び12分を超える長尺の曲。中間派の名トランペッター、チャーリー・シェイヴァースの曲で、エキゾチックな旋律をハードマンのミュート→ドッカリー→グリフィンの順でソロを取っていきます。7分あたりから3分半にわたる打楽器ソロが始まりますが、"Sakeena"に比べるとまだ許容範囲かな?以上、打楽器ソロパートがもう少し控え目だったらもっと聴きやすいハードバップ作品だったかもしれません。

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ソニー・スティット・シッツ・イン・ウィズ・ジ・オスカー・ピーターソン・トリオ

2025-04-25 18:47:28 | ジャズ(ハードバップ)

本日はソニー・スティットとオスカー・ピーターソンと言うヴァーヴ・レコードのスタープレイヤー同士の共演盤をご紹介します。スティットについては本ブログでも何度も取り上げている通り、50年代から60年代にかけて驚異的なペースでリーダー作を発表しており、うちヴァーヴ・レコードにも10枚を超える作品を残しています。ただ、それを上回るペースで活動していたのがオスカー・ピーターソン。50年代から60年代にかけてはヴァーヴの専属で同レーベルに吹き込んだリーダー作は何と50枚(!)近く。さらに、同レーベルのハウスピアニストとしてレスター・ヤング、ロイ・エルドリッジ、ハリー・エディソン、エラ・フィッツジェラルド、ルイ・アームストロング、アニタ・オデイ、ベン・ウェブスター、コールマン・ホーキンス、バディ・デフランコ、スタン・ゲッツら大物たちの作品にピアニストとして参加しています。

となるとスティットとピーターソン・トリオの共演作がない方がむしろ不自然と言うもの。最初に共演したのは1957年7月のニューポート・ジャズ・フェスティヴァルで、この時はロイ・エルドリッジやドラムのジョー・ジョーンズ(フィリーではなくパパの方)も一緒に演奏しています。同年10月には再びエルドリッジ、白人ドラマーのスタン・リーヴィも加えた「オンリー・ザ・ブルース」を発表します。なお、この時のトリオはピーターソン、レイ・ブラウン(ベース)、ハーブ・エリス(ギター)から成るトリオでした。その後、1959年にハーブ・エリスの代わりにエド・シグペン(ドラム)が加入。同年5月18日に「フランク・シナトラの肖像」で新生トリオのスタートを切りますが、その同日に録音されたのが本作です。時間的にどっちが先だったのかまではわかりませんが、アルバム1枚分の収録を終えた後に、もう1枚レコーディングするわけですから、当時のピーターソン・トリオがいかに心身ともに充実していたのかがわかります。

全8曲。スタンダード、ビバップ、スイング、自作曲が程よくブレンドされた構成です。演奏についてはあえて多くを語るまでもないですね。音数の多い独特のテロテロフレーズで吹きまくるスティットに、抜群のテクニックとドライブ感で弾きまくるピーターソン。この2人の組み合わせで退屈な演奏になるはずがありません。特に素晴らしいのがオープニングトラックの"I Can't Give You Anything But Love"。ジミー・マクヒュー作の魅力的なスタンダード曲をスティットが歌心たっぷりにアルトで歌い上げ、ピーターソン→レイ・ブラウンのソロが続きます。2曲目のチャーリー・パーカー”Au Privave"も素晴らしいです。ノリノリで吹きまくるスティットも最高ですが、驚異的な速弾きでそれに応えるピーターソンが圧巻です。パーカーの曲は他にも5曲目”Scrapple From The Apple”もありますが、こちらも同じようなハードドライビングな演奏。スティットは後年に「スティット・プレイズ・バード」でも両曲を取り上げていますが、そこでのジョン・ルイスの演奏と比べるとピーターソンのテクニックがいかに凄いかがわかります。他では定番スタンダード"I'll Remember April"もスティット→ピーターソンと華麗なソロをリレーします。

もちろん全てノリ一辺倒と言う訳ではなく”The Gypsy”ではロマンチックなバラードをムードたっぷりに料理。後半3曲ではスティットは楽器をテナーに持ち替え、ややブルージーに迫ります。6曲目"Moten Swing"と8曲目"Easy Does It"はどちらもベイシー楽団のレパートリーで、これらの曲ではピーターソンも派手な速弾きは見せず、スティットのブルージーなテナーをうまく引き立てます。唯一のオリジナルである7曲目”Blues For Pres, Sweets, Ben And All The Other Funky Ones”はタイトルの通りPres=レスター・ヤング、Sweets=ハリー・エディソン、Ben=ベン・ウェブスターとスティットが偉大な先人達に敬意を表したブルースで、スティットはもちろんピーターソンもブルースフィーリングたっぷりのソロを聴かせます。

なお、CDにはボーナストラックとして"I Didn't Know What Time It Was""I Remember You""I Know That You Know"とスタンダードが3曲収録されていますが、こちらは1957年に録音されたもので、上述の「オンリー・ザ・ブルース」セッションの余り曲。なのでドラムはエド・シグペンではなくスタン・リーヴィで、さらにギターのハーブ・エリスが加わっています。内容は正直言って可もなく不可もなくといったところで、オリジナルLPの8曲だけ聴けば良いかもしれません。

 

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オリヴァー・ネルソン/メイン・ステム

2025-04-24 18:13:10 | ジャズ(ハードバップ)

オリヴァー・ネルソンについては当ブログでもたびたび取り上げて来ました。彼にはアレンジャーとしての顔とテナー奏者としての顔があり、前者ではヴァーヴ盤「フル・ネルソン」、後者ではプレスティッジ盤「ミート・オリヴァー・ネルソン」「テイキング・ケア・オヴ・ビジネス」等が代表作として挙げられます。アレンジャー及びテナー奏者として両方の魅力を味わえるインパルス盤「ブルースの真実」もよく知られていますね。今日ご紹介する「メイン・ステム」はテナー奏者としてのネルソンにスポットライトを当てた作品で1961年8月25日にプレスティッジに吹き込まれたものです。

メンバーですが、トランペットのジョー・ニューマンがコ・リーダーとして大きくフィーチャーされています。ご承知のとおりニューマンはサド・ジョーンズとともにカウント・ベイシー楽団のトランペット・セクションをリードした名手。前年の1960年にベイシー楽団を脱退し、フリーランスとして活動を始めた頃です。リズムセクションはハンク・ジョーンズ(ピアノ)、ジョージ・デュヴィヴィエ(ベース)、チャーリー・パーシップ(ドラム)、レイ・バレト(コンガ)と各楽器の名手が顔を揃えています。

全6曲。アルバムはまずタイトルトラック”Main Stem”で幕を開けます。この曲はデューク・エリントン楽団の1940年代のヒット曲らしいですが、あまり他では聞いたことがない曲ですね。通常のエリントン・ナンバーのような親しみやすいメロディではなく、わりと野性的な感じで、ジョー・ニューマンがエリントン楽団のクーティ・ウィリアムズを彷彿とさせるワーワー・トランペットを吹き鳴らします。2曲目から5曲目までは全てネルソンの自作曲で、まず”J&B"はいかにもネルソンっぽいブルース。名手ハンク・ジョーンズの素晴らしいイントロに続きまずネルソンがアルトでソロを取り、ニューマン→再びハンクのソロとリレーします。3曲目"Ho!"は何だかとらえどころのない曲。正直スキップしても良いでしょう。

続いて後半(B面)。4曲目”Latino”は本作のハイライトと言って良い名曲。名前からしてラテン調の曲かと思いますが意外とそうでもなく(レイ・バレトのコンガは効いていますが)良質のハードバップです。ソロはニューマン→ネルソン→ハンク・ジョーンズの順でとりわけハンクのピアノソロが素晴らしいですね。"Tipsy"もノリの良いスインギーな佳曲でハンク・ジョーンズ→ニューマンのカップミュート→ネルソン→デュヴィヴィエのベースソロと軽快にソロを繋ぎます。ラストは唯一の歌モノスタンダードである”Tangerine”。ミディアムテンポの演奏でニューマンのカップミュート→ネルソン→ハンクと歌心溢れるプレイを披露します。以上、ネルソンとニューマンのリーダー2人に加え、ハンク・ジョーンズの名手ぶりにもスポットライトを当てても良い作品だと思います。

 

 

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ソニー・ロリンズ/ムーヴィング・アウト

2025-04-18 18:46:26 | ジャズ(ハードバップ)

先日マイルス・デイヴィス「ディグ」のところでビバップからハードバップへの移り変わりについて書きましたが、マイルスやアート・ブレイキー、ホレス・シルヴァーと並んでソニー・ロリンズもハードバップ誕生に寄与したことは間違いのないところです。1949年に19歳でレコーディング・デビューしたロリンズですが、その後マイルスの「ディグ」や「バグス・グルーヴ」等ハードバップ黎明期の代表的セッションにサイドマンとして参加します。自身のリーダー作としては1953年に発表したプレスティッジ盤「ソニー・ロリンズ・ウィズ・ザ・モダン・ジャズ・カルテット」はまだビバップ色が強く、収録曲も2~3分程度だったのに対し、翌1954年に同じくプレスティッジに吹き込んだ本作「ムーヴィング・アウト」は全曲4分以上、各人のアドリブも格段に充実しておりまさに”ハードバップ”と呼んで良い内容です。(まあ、「ディグ」のところでも述べたようにビバップとハードバップの区別は多分に感覚的なものではあるのですが・・・)

メンバーはセッション毎に分かれており、1曲目から4曲目が1954年8月18日のセッションでロリンズ(テナー)、ケニー・ドーハム(トランペット)、エルモ・ホープ(ピアノ)、パーシー・ヒース(ベース)、アート・ブレイキー(ドラム)から成るクインテット。5曲目の1曲のみが同年10月25日のセッションでセロニアス・モンク(ピアノ)、トミー・ポッター(ベース)、アート・テイラー(ドラム)から成るカルテットです。後者は「セロニアス・モンク・アンド・ソニー・ロリンズ」と言う別のアルバムのために録音されたセッションからなぜか1曲だけ切り離されたものです。(この当時のプレステティッジではよくこのような継ぎはぎが行われています)

アルバムはまずタイトルトラックの"Moving Out"で始まります。これぞハードバップ!と言いたくなる力強いバップチューンで、ロリンズ→ドーハム→エルモ・ホープの順でドライブ感溢れるソロをリレーします。続く"Swingin' For Bumsy"も同じような曲調ですね。ロリンズのパワフルなテナーは期待通りですが、ケニー・ドーハムが意外とブリリアントなトランペットを聴かせてくれます。一般的には”いぶし銀”的なイメージの強いドーハムですが、録音時点ではギリギリ20代(29歳11ヶ月)。まだまだ血気盛んだったのでしょう。個人的に好きなピアニストであるエルモ・ホープの溌剌としたピアノソロも素晴らしいですね。

3曲目"Silk 'N' Satin"は一転してロマンチックなバラード。まるで歌モノスタンダードのような美しいメロディを持った曲でロリンズの作曲センスが光ります。この曲はドーハムは伴奏のみでロリンズのダンディズム溢れるバラードプレイが全面的にフィーチャーされます。4曲目”Solid"は後にグラント・グリーンらもカバーしたファンキーなバップ曲。何かの曲に似ていると思うのですが思い出せません。これもロリンズ→ドーハム→エルモの順で力強いソロを取ります。ラストはピアノがセロニアス・モンクに代わりスタンダードのバラード"More Than You Know"を演奏します。モンクと言えば個性的な演奏が持ち味で聴く方も身構えますが、意外とオーソドックスな演奏で拍子抜けします。前半のロリンズのソロの伴奏のあたりはモンクらしい音数の少ない独特のピアノですが、自身のソロの出番になるとトツトツとした弾き方ながらも普通にメロディを弾いています。実はこの曲と同じセッションの「セロニアス・モンク・アンド・ソニー・ロリンズ」でも”The Way You Look Tonight”ではメロディアスなピアノを弾いており、スタンダード曲だと意外と普通なのかも?ロリンズは翌年に「ワーク・タイム」、続く1956年には「ソニー・ロリンズ・プラス4」「テナー・マッドネス」そして「サキソフォン・コロッサス」と歴史に残る名盤を立て続けに発表。黄金期を迎えます。

 

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マイルス・デイヴィス/ディグ

2025-04-06 17:43:50 | ジャズ(ハードバップ)

このブログはタイトルに"ハードバピッシュ"と歌っているように、モダンジャズ黄金期である50年代半ばから60年代前半にかけてのハードバップを重点的に取り上げています。では、そのハードバップはいつ始まったのか?一般的にはクリフォード・ブラウンらを擁した1954年のアート・ブレイキー・クインテット「バードランドの夜」が"ハードバップの夜明け"と呼ばれることが多いようです。ただ、私が以前愛読していたジャズ批評ブックスの「ハードバップ入門」によると、それよりも3年前の1951年10月に吹き込まれたマイルス・デイヴィスのプレスティッジ盤「ディグ」が最初のハードバップ作品となっていました。

もっともビバップとハードバップの間に明確な線引などなく、実際に演奏しているマイルスらも「今日から新しい音楽をやるぞ」など思っていなかったでしょうから、あくまで後から評論家が勝手にジャンル付けしているだけの話ではあります。とは言え、本作が従来のビバップと異なる点は明確にありまして、まず何といっても演奏時間が長い。それまでのビバップがだいたい2~3分の演奏が主だったのに対し、このアルバムは一番短い演奏でも5分、長いので10分近くもあります。これには当時の録音技術の進化もあり、長時間再生が可能なLPレコードが普及し始め、プレスティッジ・レコードにとっても本作が初のLPだったそうです。マイルスらも思う存分アドリブを取れることに意気込みを感じていたとか。

また、メンバーの面でも新しさがあり、当時21歳でまだ駆け出しだったソニー・ロリンズや20歳になったばかりで本作が初レコーディングのジャッキー・マクリーンら後にジャズ・ジャイアントと呼ばれる面々の初々しい演奏を聴くことができます。なお、その他のメンバーはウォルター・ビショップ・ジュニア(ピアノ)、トミー・ポッター(ベース)、アート・ブレイキー(ドラム)です。

アルバムはまずタイトルトラックの"Dig"で始まります。スタンダードの"Sweet Georgia Brown"をもとにマイルスが書いた曲で、ソロ先発はロリンズ、この頃の彼はまだリーダー作も発表していない駆け出しの若手でしたがなかなか勢いのあるテナーを聴かせてくれます。続いてはマイルス。後にミュート演奏を多用するマイルスですがこの頃はオープン奏法がメインで乾いた感じのトランペットですね。続くマクリーンはまだ後年の独特のマクリーン節ではなく純粋なパーカー風のアルトです。他ではウォルター・ビショップはこの曲含めてほぼソロはなく伴奏要員ですが、アート・ブレイキーは派手なドラムソロこそないものの終始煽り続けるドラミングで存在感を示しています。2曲目は唯一のスタンダードである"It's Only A Paper Moon"。この曲はマクリーンはお休みでマイルス→ロリンズと軽快にソロをリレーします。3曲目"Denial"はチャーリー・パーカーの"Confirmation"をアップテンポに改変したもので序盤の3管のリフが印象的です。この曲もブレイキーの疾走感溢れるドラムをバックにマイルス→ロリンズ→マクリーンとソロを繋ぎ、後半にはマイルスとブレイキーの掛け合いも聴けます。なお、この曲は後にエルモ・ホープの名盤「インフォーマル・ジャズ」で"Weeja"のタイトルで演奏されています。

後半(B面)1曲目はマイルス作のブルース"Bluing"。本作でも一番長くて10分近くあり、マイルス→ロリンズ→マクリーンとたっぷりソロを受け回します。ただ、正直地味な曲ではあります。ラストトラック"Out Of The Blue"は典型的なバップ曲で再びマイルス→ロリンズ→マクリーンと軽快にソロをリレーします。この曲はレッド・ミッチェルが「プレゼンティング・レッド・ミッチェル」で取り上げていました。なお、CDにはボーナストラックとして同日のセッションで収録された"Conception"と"My Old Flame"が収録されています。前者は盲目のピアニスト、ジョージ・シアリングの曲でマイルスは「クールの誕生」で"Deception"のタイトルで演奏しています。後者はスタンダードのバラードですが内容は平凡かな?。以上、全体的な完成度と言う点では数年後に発表する一連の"マラソン・セッション"や「ラウンド・アバウト・ミッドナイト」等の名作群と比べるとどうしても粗削りで洗練されていない印象は拭えませんが、ジャズの歴史を知る上でも一聴の価値はある作品と思います。

 

 

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