黒猫 tabby の本読み日記

日々読み飛ばしている本と、その日の思いを、きまぐれネコがつづります。
猫と女の子と、本の世界に癒しを求めて。

失敗学のすすめ(畑村洋太郎)

2019-03-03 | Weblog
推薦図書にあったので手に取ってみたが、タイトルから凡その内容を想像して、あまり期待していなかった。
その分、おもしろくて考えさせられる結果になった。

例により、気になったところを抜粋していくが、内容が濃いので抜粋すると薄っぺらでわからなくなる。
キーワードだけ

人の成功に興味はない。人は、人の失敗に興味がある。だから失敗からは学ぶことができる。

創造力の欠如は、思考の停止を招く仕組み(正解を学び、失敗を嫌う)から

失敗:「人が関わっている」+「望ましくない結果」

失敗による挫折から、真の知識の必要性を体感・実感している者ほど、応用の利く真の知識を身につけることができる

社会3大事故から学ぶ
 1)タコマ橋の崩壊(横風による自励振動)
 2)コメット機の墜落(金属疲労による疲労破壊)
 3)リバティ船の破壊(低温脆性による強度低下)


記憶に残る失敗談が成長を促す

失敗の階層
 A:未知への遭遇 ⇒ 新しい知見を得る意味のある失敗
 B:社会システム不適合
 C:行政・政治の怠慢
 D:企業経営不良
 E:組織経営不良
 F:個人に責任ある失敗

失敗原因の分類
 ①無知(本人の勉強不足)、②不注意(体調不良、疲労、平常心を失う、集中力欠如)、③手順の不順守(本人の身勝手な行動)、
 ④誤判断(考え足らず、考え落とし)、⑤調査・検討の不足(間違えた時を想定していない)、⑥制約条件の変化(経過による変化の見落とし)、
 ⑦企画不良(そもそもの問題)、⑧価値観不良(組織内のルール・価値観に捕らわれる)、
 ⑨組織運営不良(組織長の対策能力不足、バブル後の破綻、雪印の集団食中毒)、⑩未知(まだ原因も減少も知らないもの)

失敗は成長する ハインリッヒの法則
 1件の重大災害の陰に、29件のかすり傷程度の軽生涯
 その陰には、300件のケガはないがひやりとした体験


「貸家」と唐様で書く三代目 :3代目は無駄な知識はあるが、真の知識は受け継いでいないので、身代を潰してしまう


失敗情報は伝わりにくく、時間の軽化とともに衰退する

失敗の記録は、第三者の冷静な記述より、当事者の感情や判断を含めた記述の方が役に立つ

客観的な失敗情報は役に立たない ⇒ 知りたいのは、その時に当事者がどう考え、感じ、どんなプロセスで失敗を起こしてしまったかの主観的な情報

失敗情報の記述:
 タイトル、①事象、②経過、③原因(推定原因)、④対処、⑤総括、⑥知識化

全体を理解することの大切さ
本当のベテランと偽ベテランの違い

致命的な失敗を起こす原因
 ①大増産、コストダウン、リストラが行われている
 ②技術が成熟している :偽ベテランばかりになり、全体を知る真のベテランがいなくなる(わからないなら、変えないこと。封印技術)

TQC ⇒ 正しい管理の徹底 ⇒ 考えることの拒否 ⇒ 異常の発生時に対応できない


まとめ
考えなくなる仕組みが、創造性や対応力を奪う
失敗の痛みを感じる知識の伝達方法が、必要である


・・・もう一度読まないと無理だな、まとめきれない。