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[映画] ゴジラ-1.0

2023-11-03 | 映画

「ゴジラ-1.0(マイナスワン)」を鹿児島ミッテ10にて観賞しました

「シン・ゴジラ」から7年、遂に本家日本版ゴジラの最新作が公開となりましたが、脚本も手がけた山崎貴監督についてはハリウッドにも比肩しうる卓越した映像の技術やセンスには疑う余地はないけど(大変失礼ながら)監督作としての打率は四割くらいかな…というのが正直な感想なので、丁度一年前に製作が発表された際は期待と不安が半々という所でした

ところがいざ特報が公開され、”初代ゴジラよりも前の時代”、”戦後の打ちひしがれていた日本に更なる追い打ちとしてのゴジラ”、”凄まじい破壊描写”といった有無を言わせぬ説得力しかない表現を見せつけられて、僅か30秒の映像に日本中のありとあらゆる筋の濃いマニアたちが一斉に考察やら展開予想やらを始めた勢いが激アツでしたねえ( ̄▽ ̄)=3

山崎監督自身がコメントしてますが、斬新な設定と演出で新機軸のゴジラ像を打ち出し、空前の大ヒットを記録した「シン・ゴジラ」の後で新作を作ることの怖さやプレッシャーみたいなのを想像するだけでも震えますが、更に公開された予告編(90秒)によって期待値が一気に最大値にまで引き上げられ、不安感みたいなのはほぼなくなりましたね

…最悪、お話としては例えお粗末だったとしても、映像だけでも一生モノの体験が出来そうで絶対に劇場で見て損はしないだろうという確信が持てたと言いますか(^_^;)

 

で、実際に見た上でのネタバレ無しの感想としては、初代「ゴジラ」が目指した ”理不尽” の象徴としてのゴジラ像と、オールジャパンでその ”理不尽” を乗り越えようぜという「シン・ゴジラ」の精神性が見事に融合されている作品になっていたと思います

怪獣映画ではありますが、例えどんなファン層にとっても ”全方位を楽しませようという” 抜かりない映画体験が出来ることは間違いありませんので是非ともオススメしたいです

 

 

 

以下ネタバレ感想:


山崎監督の出世作である「ALWAYS 三丁目の夕日」の第二作目、「続・三丁目の夕日(2007年)」の冒頭にて(当時の世相ネタとして)フルCGによるゴジラを大暴れさせるシーンがありましたが、前作の大ヒットによる予算の大幅な増加に乗っかった悪ノリでありw、技術的な検証でもあった(当初の想定よりも大幅に手間も時間もかかったそうです)ネタが実は本気も本気だったことを改めて証明したのが今作と言えるのではないでしょうか

おそらくこの時に「マイナスワン」の大枠みたいなのは構想されていたのではないか、(愛すべき)鈴木オートの面々がゴジラの襲来を受けるとしたらという発想をガチで膨らませて設定やらを作り込んでいった結果が、当時はネタとしてのシーンが限界だったけど、16年の時と「永遠のゼロ(2013年)」や「アルキメデスの大戦(2019年)」と共にCG技術の蓄積を経てついに本家「ゴジラ」作品として結実したのだと思うと実に感慨深いですなヽ( ̄▽ ̄)ノ


庵野秀明監督がトークで ”山崎貴の集大成” と評していた際に、”ツッコミどころ満載” とも表現してたのは、そういう意味でも ”集大成” なんだなという感も確かにありましたσ(^◇^;)

元々、ハリウッド志向が異様に高いことでも知られている山崎監督ですが、海外の映画やドラマで話題になっている技術を臆面も無くパクってくるのが(まあ向こうは向こうで日本のアニメからパクりまくってるのでお互い様ではありますが)、どうしても賛否の分かれてしまうところではありますw

予算が10倍以上違う(クリエイターの報酬格差で見たら20倍違ってたりもするとか)日本のエンタメ業界の限定された環境で、いかに向こうと遜色ない表現が出来るかに飽くなき挑戦を続けてる側面は無条件で応援したいです、もちろん


そういった意味で「マイナスワン」で際立って印象的だった元ネタが「ジョーズ(1975年)」でしょうか

直接対決から倒し方に至るまでがオマージュというかそのまんまなので、ここは批判されそうなポイントではあるかもしれません……でも50年も前の映画なんて(映画そのものの130年の歴史から)ほとんど古典みたいな扱いでしょうから、そこからアイディアを何段階か進めてもいますし、文句を付ける筋合いではないと思います

それに技術の長足の進歩ってやつをこれでもかと実感させてくれる表現だったのも素晴らしかったです( ゚∀゚)o彡゚……ハリウッドでも「タイタニック」を契機に海洋CGの表現が大幅に進化したものですが、ついに日本映画でもここまでの領域に達したのかと嬉しかったりもしましたね

あと物語的なテンポを早める為、とにかく人間側の事情や心情はセリフでとっとと説明しちゃったり、シーンに登場する(または退場する)背景事情なんかも非常にご都合主義的なんですよね……でもこれは ”観客が見たいシーン” を最優先させるハリウッドの典型的な脚本構造に忠実に則ってるとも言えますので、一般的に大ヒットする作品を目指すならこれ以上無い ”正解” の演出でもあったのではないでしょうか(人間ドラマを徹底的に排除していた「シン・ゴジラ」は庵野監督以外ではできない手法でしたし、例外みたいな扱いにするしかないかと)


補足として、庵野監督の世代に特に顕著なんですが ”ツッコミどころ” というのは、愛情故の裏返しの揶揄みたいな部分が大きくて、決してバカにしてるのではなく ”ツッコミし甲斐がある” と言いますか、非常に面白がっている前提がある上でのそういう抜けや設定の穴みたいなのに ”ツッコミ” を入れるという感覚が、今の若い人たちには ”セリフで説明” しないと伝わらないカンジなのは(昭和生まれのおっさんとして)どうしても書き残しておきたかった部分ですw

 

「シン・ゴジラ」では徹底的に排除されていた人間ドラマ、この要素については(神格化されてる)初代「ゴジラ」もいまいち微妙で、主人公もヒロインもぶっちゃけ要らない扱いだったようにしかオレには見えなかったんですが(詳しくは2014年に書いたこちらの感想を)、そこは「三丁目の夕日」や「永遠のゼロ」で培った終戦後の人々への目線を忠実に再現し、そこにゴジラという未曾有の災厄をぶつけるという仕掛けが見事にハマっていたと思います

しかも予告でも目立っていた銀座のシーンで、まさかのヒロイン退場があったのは全く予想もしてない展開でしたし、主人公たち(というか当時の全ての日本人)の ”自分の戦争は終わってなんかいない” という想いへの落とし前として終盤の全ての要素に繋がっていく流れは美しくて見事としか言いようがありませんでした(ノД`)

…あれだけ絶望的な戦争だったんだ、ヒロイン生存くらいの奇跡はあったっていいじゃないか(T△T)

 

特報が公開されて以降、戦後すぐの状況で人類がゴジラへの対抗手段として持ちうる戦力は何があるのか、軍事やら戦史のマニアが中心になっての予想合戦が繰り広げられていたようですが、オレはかなり浅い方のオタクなので細かい部分は全然わかりません

それでも重巡高雄や駆逐艦雪風、そして震電といったあの頃に確かに ”実在” していた戦力の登場には涙が止まらないくらいシビれまくりでしたね(T∀T)

庵野監督は ”ぬるい” と評していましたが、あの人は世界でもトップクラスのマニアなので意見を鵜呑みにしてはいけないと思いますw

「ジョーズ」感を存分に堪能させてくれた海上追いかけっこ、撃沈される寸前に零距離射撃を敢行していた高雄の砲撃手たち、驚愕と絶望の銀座(なぜか一瞬だけ橋爪功がいたようなw)、奇想天外ながら理に適った作戦立案の茶川先生(←違うw)、一本釣りに集結する船団、死ぬ覚悟と生きる覚悟を決める主人公、そしてあらゆるシーンで死と絶望を振りまく圧倒的存在感なゴジラ…

強いて不満を挙げればゴジラの登場シーンをもっと見たかったというくらいで、これこそ予算の壁というやつで言っても仕方ないことですし、”こんなのが見てみたかった” シーンは沢山ありましたし、結局のところ、めちゃめちゃ面白かったとしか言えません


折角だからとIMAXで見たんですが、画面が大きすぎて膨大な情報量を処理できなかった心残り感が尋常ではないので、また普通の劇場に見に行きたいと思います

 

 

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