「日本海」の名称を「東海」に変えよという韓国の無理押しに、アメリカ地名委員会の決定が待ったをかけた。とりあえず韓国の横ヤリは排除される流れだが、なぜ、彼らはそこまで無理押しを進めようとするのか。その根底にあるものは何なのか。産経新聞ソウル支局長の黒田勝弘氏が指摘する。
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韓国の「日本海」憎しと「東海」論は、いつものジコチュウ史観に基づく対日無理押しナショナリズムである。
まず、韓国は西の方の海を「西海」といい南の方の海を「南海」といっているが、国際的表記になっている「黄海」や「東シナ海」はそのまま受け入れ、何も文句を言っていないのだ。
「黄海」を「西海」に変えろとか、両論併記にしろなどとは要求していない。ひたすら東側の「日本海」だけがケシカランという。つまり「日本」という名称がついているのが気に食わないのだ。同じく沿岸国であるロシアは「日本海」でも気にしないのに。
歴史的に「日本海」は日本が付けた名前ではない。19世紀以降、日本の国際的存在感の高まりで、英国やロシアをはじめ国際社会が命名した国際名称である。しかし韓国は対日特殊感情のため、それを認めたくないというのだ。
だからといって「東海」というのは実に困る。韓国にとっては東だが、ロシアからは南であり、日本からは西ではないか。「東海」は韓国の沿岸名称に過ぎない。それを国際名称にしろというのは、相当な無理押しだ。一部の東アジア古地図にある「コリアの海」ならまだしも。
韓国での「日本海」憎しの盛り上がりは近年のことである。「独島ナショナリズム」の延長線にある。昔、韓国を支配した日本帝国主義が「独島」を奪ったように、日本は「東海」を奪い「日本海」を押し付けたというのだ。
こうした反日歴史観のマインド・コントロールからくる思い込みが、「独島」をめぐる反日愛国主義を呼び、それが「日本海」にも及んでいるのだ。
沿岸国で名称が対立した場合、国際的には両論併記というのはありうる。しかし日本としては歴史認識“歪曲”はとうてい受け入れがたい。
※SAPIO 2011年9月14日号