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杉ちゃんのWEB日記

国際山岳ガイド 杉坂 勉のブログ

2016-9-3~4 前穂北尾根

2016-09-05 09:46:05 | ガイド山行記録

台風12号の影響が出るのか出ないのか⁉ 微妙な状況でしたが前穂の北尾根に行ってきました。

まずはまだ影響の感じられない上高地から涸沢へ向け入山。毎回思う事ですが、朝の上高地は空気が澄んでいてとても気持ちいい!

4日の朝はガスの中。昨夜確認した天気予報では、何とか午前中は曇りで済みそう。時折小雨もぱらつく嫌な明け方でしたが、5・6のコルまでは行ってみようという事で4時涸沢を出発。

 

5・6のコル手前で夜が明けてきました。天気は?そんなに悪くなさそうな感じ!

 

身支度を整えていると、晴れ間も見えてくるではありませんか!モルゲンロートもまずまず。予報外れたか!

 

まずは5峰を軽快に通過。まだ日の当たらない部分は湿っていてちょっとスリッピー。

 

常念方面はすっかり雲海。この山域だけが良い天気なのか? 目の前にはこれからたどる4峰~3峰の核心部が!

 

ここからはスタカットクライミングも交え、慎重に通過していきます。

 

そしていよいよ3峰、今ルート中の核心部に突入。一部Ⅲ級程度のクライミングも交えての登攀!

 

3峰上部、登山靴では少し厳しいか⁉ スタンス、ホールドをうまく拾い、豪快に超えていく楽しいクライミング!

 

無事に3峰を越えて一服。続く2峰は難なく通過し、1・2のコルへロワーダウン。

5・6のコルから取り付いて3時間、前穂の山頂に到着。とてもいいペースで登ってきました。

 

懸案だった天気も予想以上に良く、今日はとてもラッキー!

 

後は悪い重太郎新道を慎重に下り岳沢へ。今まで以上に時間をかけ安全第一での下り。上高地へ着くころには空模様が少し変わってきたのか、大分雲が多くなってきました。穂高の稜線もすっかりガスの中。とてもいいタイミングで降りてこれました。

何といっても今回は天気に恵まれました。北尾根の登攀も最高、良い1日でした!!

 

 

 

 


2016-8-23~24 前穂北尾根

2016-08-25 10:12:28 | ガイド山行記録

台風一過の8月後半、この夏初めての穂高に行ってきました。安曇野に引っ越してから穂高はホーム中のホーム。ぜひ力を入れていきたいエリアの一つです!

朝もやの上高地は少し湿気が多い感じもしましたが、幻想的な風景を堪能しながらの入山。

 

翌日は3時起床、4時発で涸沢ヒュッテを出発。あたりは時折ガスに包まれている中のアプローチ。しかも5・6のコル付近にはたちの悪いサルの群れがおり、私たちがコルに近づくのを威嚇して吠えたり大きな岩雪崩を起こしたりと、とても凶暴・・・。コルでは4~5匹の群れに囲まれて歯をむき出しにして威嚇。最後はストックで叩いて追い払いましたが、今後このバカサルの群れには要注意ですね。上からかなり大きな岩も落として来ます!!

 

まあ余計なひと悶着はあったものの5峰の上で準備を整え、気を取り直して登攀開始。

あたりは濃いガスに包まれ視界はありませんでしたが、それはそれで幻想的なロケーションの中を登攀。

この日の北尾根はガスのせいか昨夜の雨のせいか、」岩がうっすらと湿っておりちょっとスリッピーな感じ。スタカットクライミングを多用し、岩場を慎重に通過していきました。そしていよいよお待ちかねの核心部、3峰の登攀。傾斜はそこそこあるがホールド、スタンス共に豊富なので、豪快に超えていきます!

 

その後も続く小岩壁を次々に通過。

 

あたりは相変わらずの濃いガスの中。そしてここを越えれば3峰のピーク。

 

2峰は難なく通過し、1・2のコルへロワーダウン。

8時30分、前穂の山頂に無事到着。まだ人もまばらな山頂で記念撮影。今日は天気のせいか登山者少なかった・・・。

 

あとはひたすら険しい重太郎新道を慎重に下るのみ。しかしここは過去に重大事故が多発している危険地帯。最後まで気は抜けません!休憩を挟みながらゆっくりと岳沢へ下っていきました。

まあ展望は全くと言ってもいいほどありませんでしたが、雨に降られなかっただけでも御の字か!穂高を代表するクラシックな名ルートを堪能してきました!!

 

 


2016-8-19~21 剱岳・別山尾根

2016-08-22 09:58:04 | ガイド山行記録

台風の影響が出る直前の剱岳に行ってきました。

19日、剱の山頂はガスに包まれなかなか望むことはできませんでしたが、明日の好天に期待しての入山でした。

 

翌20日は満点の星空!ヘットランプを着けての行動開始。

 

一服剱でご来光。空気は少し湿った感じ・・・。

富山平野は低い雲に覆われ、雲海の様を呈していました。

 

前剱からは次々に現れる鎖場など、難所の連続!精神を集中して慎重に通過します。前剱を越えると、いよいよ目の前には剱岳本峰が!

 

その後も次々と現れる難所の連続。岩登りの経験が生きてきましたか!?

 

そして登りのハイライト、カニのタテバイ。ロープを付けて慎重に登ります!

ここを過ぎればあとはやさしい岩稜をひたすら登るのみ。

ほぼコースタイム通りで剱岳に登頂!皆さん頑張りました!!

まだ雲も少なく、展望のよい山頂でひと心地。でも下りも油断はできません・・・。

下り始め、のっけから現れるカニのヨコバイ。ここもロープを付け、細心の注意を払って通過します。

いよいよ雲が厚くなり始め、剣山荘寸前でにわか雨にたたられるものの、たいして濡れずに無事下山。

剱沢の小屋で今回の労をみんなでねぎらいました。

これで剱岳にも登頂、さて次回はどこに行きましょうか?そろそろバリエーションルートへの挑戦も見えてきましたか!

 

 

 


2016-8-10~13 剱岳・チンネ左稜線

2016-08-14 16:12:12 | ガイド山行記録

帰国後のガイド第一弾は剱岳を代表するクラシカルな名ルート、チンネ左稜線に行ってきました!

去年の冬の雪不足はこの夏にまで影響を残し、なんと剱沢をはじめ平蔵谷、長次郎谷の雪渓は壊滅状態・・・。そのため三ノ窓へのアプローチは本峰経由という悪条件。八ツ峰のⅥ峰フェースも登るため、熊の岩ベースでの計画で、雷鳥坂の上りは久々の重荷を背負っての入山となりました。

あけて11日登山の日。別山尾根での混雑を避け、3時起床の4時出発で剱沢小屋を出ました。薄明るくなる5時過ぎまでヘッドランプを付けての行動開始。

 

剱岳山頂からは北方稜線経由で長次郎のコルをめざし、長次郎左股から熊の岩へ。

 

10時熊の岩着。大休止ののち足慣らしに八ツ峰Ⅵ峰Aフェースを登攀。3ピッチと短い登攀でしたが良い足慣らしになりました。

 

12日の早朝は2時に起床。3時過ぎには熊の岩を出発。暗い中、長次郎の右股を昨日下から偵察した通り、雪渓の厚い所をうまく繋ぎながら池ノ谷乗越へ。ちょうど乗越あたりで明るくなり始め、ガリーを下っている途中でご来光。とても素晴らしい光景に立ち会うことが出来ました。

 

池ノ谷ガリーを慎重に下り、三ノ窓へ。いよいよ目の前にチンネの勇姿が!

 

三ノ窓からは残雪をトラバースしたりシュルンドの中を歩いたりしながら左稜線の取り付きへ。1ピッチ目上のテラスから準備を整え、いざ登攀開始!

 

2ピッチ目、3ピッチ目と順調にロープを伸ばし、緩傾斜帯へ。

 

その後もⅢ級程度の快適なクライミングが続きます。

そしていよいよ目の前にT5から上の核心のリッジが迫ってきました!

 

ここはリッジ右のカンテを絡ませながらⅤ級のシビアなフェースクライミング!傾斜も垂直なので、か・な・り・楽しめました!!

核心を過ぎてからも上部のピナクルが林立するリッジがまた長い・・・。

 

いよいよチンネの頭が見えてきました!終了点まであとわずか!途中クライムダウンも交え、慎重にトラバースをこなして行きます!

 

ついに念願のチンネ左稜線を登り切り、チンネの頭に立つことが出来ました。天気も最高で後立山や穂高、遠く八ヶ岳や富士山までが遠望出来ました。

後はひたすら下山のみ。池ノ谷ガリーを登り返し、熊の岩でテントを撤収。薄くなった長次郎雪渓を慎重に見極めながらの下山は神経がすり減った・・・。

県警の山岳警備隊から情報をいただき、何とか長次郎の出合も突破。剱沢の夏道へ這い上がり、最後はヘッドランプを灯しての登り返しで剱沢小屋へ帰投。長い長い1日がようやく終わったのでした。あー、疲れたー!

剱岳はやっぱりスケール、ロケーション、どれをとっても日本を代表する岩と雪の殿堂ですね。日本の山もなかなか良いものだと再認識した山行でした。

でもお客さんにとっても念願のチンネ、厳しい状況ではありましたが完登することが出来、剱岳に感謝ですね。

 


2016-8-2~3 モンブラン

2016-08-04 15:27:24 | ガイド山行記録

 

最後のモンブラン、無事に下山しました!今回は予定通り8月2日に入山。トラムでニードエーグルまで行き、一路テートルースへ。

 

2日の入山日は天気はいまいち。本当に明日は晴れるのか?と、不安を抱えての入山でした。グーテまでの難路には先日降った雪が!

翌朝は3時にグーテ小屋を出発。天気は予報通りのいい天気!

 

ドーム・ド・グーテまでの上りは真っ暗闇の中、3時間ヘンドランップを付けての行動。精神的にも一番つらいところ・・・。

バロの避難小屋を過ぎたあたりから、ようやくあたりが薄明るくなってきます。明るくなってくると元気も出てくる!

 

わずかに漂っていたガスも切れはじめ、視界も良くなってきました。頂上へ向かう稜線はご覧の通りの長蛇の列!

今回も山頂からのながめは最高でした!!

バロの避難小屋まで帰ってきてから振り返るモンブラン。んー、大変な山だな!!

でも全員無事に下山出来て今はホットしてます。今回もいろいろあったけど、いい勉強になりました。来年の夏に乞うご期待!!

 

 


2016-7-18~21 マッターホルン

2016-07-21 14:27:18 | ガイド山行記録

いよいよ今ヨーロッパガイドの山場、マッターホルン2連チャン!

 

これ以上ないという絶好の天気の中、雲一つないシュワルツェゼーを出発。一路ヘルンリ小屋へ。

山はこのところの好天で雪もだいぶ解けた様子!

4時少し前に小屋を一斉にスタート!地元ガイドはさすが早い!へっとランプがもうあんな高いところに!!

旧ビバーク小屋跡のあたりでようやく夜が明けてきた。そしてここからは雪も多くなってきました。早朝はまだ残雪も凍っているので緊張の一歩一歩。

 

ソルベイ小屋でライジングサン!ヘルンリの肩からはアイゼンを装着しての雪壁登攀。傾斜も急です!

上部のフィックス帯は、すでに登頂した下山組パーティーやら下から追い越しをかけるガイドパーティで長蛇の列!

ここはほんと、お人よしでは登れませんな・・・。

 

最後の山頂稜線。山頂はあとすこし!スイス側の山頂からイタリア側の山頂を望む。

2回目のアタックももちろん早朝にスタート。

 

こちらも申し分のない天気の中での登攀!

 

上部フィックス帯の下には高度感抜群のヘルンリ稜が!そして今日も山頂直下で聖人の像が、私たちを温かく迎えてくれました。

今回は2回とも全員無事登頂!お客さん方も大満足の登山でした!ありがとうマッターホルン!

 


2016-6-5 戸隠・西岳P1尾根

2016-06-05 19:38:20 | ガイド山行記録

関東はいよいよ梅雨入りした模様ですね。そんな梅雨入りマジ間近の戸隠に行ってきました。

ルートは戸隠神社奥の院から蟻の戸渡を経て八方睨、そして本院岳からの西岳、P1尾根下降と言った感じ。

 

少しひんやりとした空気の中、早朝の戸隠神社奥の院を目指して入山。

パワースポットを感じる巨大なスキの並木を進んでいきます。

 

蟻の戸渡下からクサリ場が出てくるので、ロープを付けての登高。振り返ると百長屋はガスに包まれとても神秘的。

 

蟻の戸渡はこんな感じで慎重に通過。一般ルートにしてはなかなかしびれますね。

八方睨にて。前半戦なのでまだまだ元気です!

 

そこから本院岳までは、標高差で200mくだり、300mの登り返し。

 

途クサリあり、スッパリと切れ落ちているところあり、なかなか気の抜けない個所が続きます。

本院岳への300mの登りはなかなかでした・・・。

 

本院岳で大休止し、キレットを通過して西岳へ。西岳を過ぎると、いよいよ目の前にP1尾根が!あれを下るのかと思うと緊張します!!

 

P1からの出だしはのっけからクサリ。そしてこちらも蟻の戸渡。しかし朝もっとハードな戸渡してきているので、鼻歌交じりで通過?!

 

その後も1300m付近まではクサリと急な下りの連続。なかなかハードな工程でした!

これで梅雨前のトレーニングは無事終了!次はいよいよ夏本番ですか!!!

 

 


2016-6-3 谷川岳・一ノ倉南稜

2016-06-04 11:21:02 | ガイド山行記録

梅雨入りまじかを感じるの6月第一週、滑り込みセーフと言った感じで谷川岳へ行って行きました。

ルートは一ノ倉の定番、南稜。

朝5時20分、一ノ倉の出合を出発。

 

今年は冬の雪不足で、一ノ倉もこんな感じ。かなり上まで行かないと雪渓が無い・・・。しかもヒョングリの下は今にも落ちそうなスノーブリッジ。案の定、下りではブリッジはこの日の昇温で崩落。高巻きでの下山でした・・・。

 

テールリッジは昨日の降雨が心配でしたが、おりしも強風と明け方からの好天ですっかり乾いており、快適にアプローチ。

 

南稜にはすでに数パーティーが取り付いていましたが、我々が到着する頃にはすっかり空いて順番待ちもなく登攀開始。というか、平日のこの日に先行がいることが驚きでしたが。まあ、皆さん今日の天気予報を見て殺到したのでしょうかね。

 

という事で、各ピッチ一人旅の状態で快適な本チャンクライミング!岩も快適!!

 

最終ピッチ、5級のフェースも快適にクライミング。

終了点には11時。まずまずのタイム。カラットした気持ちの良い天気の中、テラスで一休み。

下降は6ルンゼの懸垂下降。各ピッチラッペルステーションが整備されているので、楽々の下降でした。

そろそろ梅雨に入りますが、そんな感じさえしないとても気持ちの良いクライミングでした。

 

 

 


2016-5-8~9 裏妙義・表妙義縦走

2016-05-08 18:17:45 | ガイド山行記録

 

GWもいよいよ大詰め。ちょっと暑めの気温でしたが、8日~9日の2日間、新緑の気持ちよい妙義山を満喫してきました!

 

8日は裏妙義縦走。惜しくも3月31日をもって閉館となった国民宿舎裏妙義から入山。篭沢からの入山。

 

そのまま稜線に突き上げ、丁須の頭へ。頭への最後のクサリはなかなかハード!頭からは360度の大パノラマを堪能!

 

その後チムニーの20mの長い鎖や、赤岩のトラーバースと着々と通過。明日の表妙義に向け、いいウォーミングアップになりました。

 

9日はいよいよ表妙義の縦走にチャレンジ。朝5:00に妙義神社から入山。

 

大の字で軽くアップしたのち、いよいよ奥の院へ。

 

長い登りのクサリ場を慎重に超えていきます。

 

その後もクサリ場の連続するハードな縦走路をいくつもこなし、順調に相馬岳へ。神社からここまで3時間、なかなかいい調子。

 

だらだらと続く長いバラ尾根を通過すると、いよいよ鷹戻しの大岩壁が!ここもクサリを頼りに通過。

鷹戻しの頭から東岳へ向かう途中、振り返れば朝越えてきた峰々が。いや、良く超えてきたものだと感心させられます。

 

東岳からは垂直の長いクサリ場の下りが待っています!疲れてきた体にはちょっときつい!?

 

それでも続く中岳の下りクサリ場も慎重に通過し、核心部は突破!今日も頑張りました!!

さあ、来る夏本番に向け、いいスタートが切れました!

これで今年のGWも無事に終了。穂高の神様、立山の神様、そして妙義の神様、本当にありがとうございました。

 


2016-5-3~4 室堂スキー

2016-05-05 10:07:36 | ガイド山行記録

GW後半は、わずかなチャンスをつかんで室堂へBCスキーに行ってきまいた。

3日は早朝の便で立山駅を出発。室堂はまだ混雑は見られませんでしたが、すでに周辺は強風が吹き荒れ、悪天の兆しが…。

早速準備を整え、風裏にあたる浄土へ。

 

稜線はすでに暴風警報!なので尾根には上がらず谷間からドロップ。緩斜面でアップしたのち山崎カールへトラバース。

 

1時間ほどハイクアップしたのち、カールのど真ん中からドロップ。

 

積雪表面は4月30日~5月1日に降った雪が10cm~15cmほど溜まっていたのですが、まだザラメにはなり切っておらず、ところどころストップのかかる足掴み雪!何回か板をとられながらの難しいスキーでした。

予報では午後3時頃から雨予報でしたが、なんとか天気ももち、1日遊べました。

 

4日は明け方3時頃から暴風雨。のんびりと起床しのんびりと朝食。9時ごろから雲が切れ始め日が差してきました。うん、予報通り!

明け方の雨で雪も昨夜よりはいい感じ。

 

風はこの日も暴風警報!!そこで南西からの風を除け、去年いい思いをした国見岳へ。

山頂直下でガスられちょっと心配しましたが、すぐに晴れ間が。

 

昨日のスキーで体も慣れてきたので、今日はいい感じでスキー出来ました。

んー、今回もいいチャンスに恵まれ満足満足!次回は雄山神社にたんまりとお賽銭を持っていかなければなりませんね!