杉ちゃんのWEB日記

国際山岳ガイド 杉坂 勉のブログ

2016-8-23~24 前穂北尾根

2016-08-25 10:12:28 | ガイド山行記録

台風一過の8月後半、この夏初めての穂高に行ってきました。安曇野に引っ越してから穂高はホーム中のホーム。ぜひ力を入れていきたいエリアの一つです!

朝もやの上高地は少し湿気が多い感じもしましたが、幻想的な風景を堪能しながらの入山。

 

翌日は3時起床、4時発で涸沢ヒュッテを出発。あたりは時折ガスに包まれている中のアプローチ。しかも5・6のコル付近にはたちの悪いサルの群れがおり、私たちがコルに近づくのを威嚇して吠えたり大きな岩雪崩を起こしたりと、とても凶暴・・・。コルでは4~5匹の群れに囲まれて歯をむき出しにして威嚇。最後はストックで叩いて追い払いましたが、今後このバカサルの群れには要注意ですね。上からかなり大きな岩も落として来ます!!

 

まあ余計なひと悶着はあったものの5峰の上で準備を整え、気を取り直して登攀開始。

あたりは濃いガスに包まれ視界はありませんでしたが、それはそれで幻想的なロケーションの中を登攀。

この日の北尾根はガスのせいか昨夜の雨のせいか、」岩がうっすらと湿っておりちょっとスリッピーな感じ。スタカットクライミングを多用し、岩場を慎重に通過していきました。そしていよいよお待ちかねの核心部、3峰の登攀。傾斜はそこそこあるがホールド、スタンス共に豊富なので、豪快に超えていきます!

 

その後も続く小岩壁を次々に通過。

 

あたりは相変わらずの濃いガスの中。そしてここを越えれば3峰のピーク。

 

2峰は難なく通過し、1・2のコルへロワーダウン。

8時30分、前穂の山頂に無事到着。まだ人もまばらな山頂で記念撮影。今日は天気のせいか登山者少なかった・・・。

 

あとはひたすら険しい重太郎新道を慎重に下るのみ。しかしここは過去に重大事故が多発している危険地帯。最後まで気は抜けません!休憩を挟みながらゆっくりと岳沢へ下っていきました。

まあ展望は全くと言ってもいいほどありませんでしたが、雨に降られなかっただけでも御の字か!穂高を代表するクラシックな名ルートを堪能してきました!!

 

 


2016-8-19~21 剱岳・別山尾根

2016-08-22 09:58:04 | ガイド山行記録

台風の影響が出る直前の剱岳に行ってきました。

19日、剱の山頂はガスに包まれなかなか望むことはできませんでしたが、明日の好天に期待しての入山でした。

 

翌20日は満点の星空!ヘットランプを着けての行動開始。

 

一服剱でご来光。空気は少し湿った感じ・・・。

富山平野は低い雲に覆われ、雲海の様を呈していました。

 

前剱からは次々に現れる鎖場など、難所の連続!精神を集中して慎重に通過します。前剱を越えると、いよいよ目の前には剱岳本峰が!

 

その後も次々と現れる難所の連続。岩登りの経験が生きてきましたか!?

 

そして登りのハイライト、カニのタテバイ。ロープを付けて慎重に登ります!

ここを過ぎればあとはやさしい岩稜をひたすら登るのみ。

ほぼコースタイム通りで剱岳に登頂!皆さん頑張りました!!

まだ雲も少なく、展望のよい山頂でひと心地。でも下りも油断はできません・・・。

下り始め、のっけから現れるカニのヨコバイ。ここもロープを付け、細心の注意を払って通過します。

いよいよ雲が厚くなり始め、剣山荘寸前でにわか雨にたたられるものの、たいして濡れずに無事下山。

剱沢の小屋で今回の労をみんなでねぎらいました。

これで剱岳にも登頂、さて次回はどこに行きましょうか?そろそろバリエーションルートへの挑戦も見えてきましたか!

 

 

 


2016-8-10~13 剱岳・チンネ左稜線

2016-08-14 16:12:12 | ガイド山行記録

帰国後のガイド第一弾は剱岳を代表するクラシカルな名ルート、チンネ左稜線に行ってきました!

去年の冬の雪不足はこの夏にまで影響を残し、なんと剱沢をはじめ平蔵谷、長次郎谷の雪渓は壊滅状態・・・。そのため三ノ窓へのアプローチは本峰経由という悪条件。八ツ峰のⅥ峰フェースも登るため、熊の岩ベースでの計画で、雷鳥坂の上りは久々の重荷を背負っての入山となりました。

あけて11日登山の日。別山尾根での混雑を避け、3時起床の4時出発で剱沢小屋を出ました。薄明るくなる5時過ぎまでヘッドランプを付けての行動開始。

 

剱岳山頂からは北方稜線経由で長次郎のコルをめざし、長次郎左股から熊の岩へ。

 

10時熊の岩着。大休止ののち足慣らしに八ツ峰Ⅵ峰Aフェースを登攀。3ピッチと短い登攀でしたが良い足慣らしになりました。

 

12日の早朝は2時に起床。3時過ぎには熊の岩を出発。暗い中、長次郎の右股を昨日下から偵察した通り、雪渓の厚い所をうまく繋ぎながら池ノ谷乗越へ。ちょうど乗越あたりで明るくなり始め、ガリーを下っている途中でご来光。とても素晴らしい光景に立ち会うことが出来ました。

 

池ノ谷ガリーを慎重に下り、三ノ窓へ。いよいよ目の前にチンネの勇姿が!

 

三ノ窓からは残雪をトラバースしたりシュルンドの中を歩いたりしながら左稜線の取り付きへ。1ピッチ目上のテラスから準備を整え、いざ登攀開始!

 

2ピッチ目、3ピッチ目と順調にロープを伸ばし、緩傾斜帯へ。

 

その後もⅢ級程度の快適なクライミングが続きます。

そしていよいよ目の前にT5から上の核心のリッジが迫ってきました!

 

ここはリッジ右のカンテを絡ませながらⅤ級のシビアなフェースクライミング!傾斜も垂直なので、か・な・り・楽しめました!!

核心を過ぎてからも上部のピナクルが林立するリッジがまた長い・・・。

 

いよいよチンネの頭が見えてきました!終了点まであとわずか!途中クライムダウンも交え、慎重にトラバースをこなして行きます!

 

ついに念願のチンネ左稜線を登り切り、チンネの頭に立つことが出来ました。天気も最高で後立山や穂高、遠く八ヶ岳や富士山までが遠望出来ました。

後はひたすら下山のみ。池ノ谷ガリーを登り返し、熊の岩でテントを撤収。薄くなった長次郎雪渓を慎重に見極めながらの下山は神経がすり減った・・・。

県警の山岳警備隊から情報をいただき、何とか長次郎の出合も突破。剱沢の夏道へ這い上がり、最後はヘッドランプを灯しての登り返しで剱沢小屋へ帰投。長い長い1日がようやく終わったのでした。あー、疲れたー!

剱岳はやっぱりスケール、ロケーション、どれをとっても日本を代表する岩と雪の殿堂ですね。日本の山もなかなか良いものだと再認識した山行でした。

でもお客さんにとっても念願のチンネ、厳しい状況ではありましたが完登することが出来、剱岳に感謝ですね。

 


ありがとう!!

2016-08-06 11:47:59 | ブログ

 

昨日は雨の中シャモニを後にし、ツェルマトへ。今日は一転とてもいい天気です。きっと明日からマッターホルンのお客さんも天気には恵まれることでしょう。
 
私は今日ですべての任務終了。帰国の途に就きます。今回は本当に沢山の人に支えられ、長いヨーロッパ生活を乗り切ることが出来ました。そしてまた沢山の新しいことを体験し、とてもいい勉強になりました。きっと来年はさらに実り多い年になることと思います。
お世話になったAPJのみなさん、現地ガイドの方々、新しくこちらで知り合えた多くの友達、そしていろいろとお世話いただいた近藤さんはじめ、AGのみなさん、ガイド仲間のみんな、本当にありがとうございました。
来年はさらにパワーアップし、またこっちに帰ってきたいと思います!

2016-8-2~3 モンブラン

2016-08-04 15:27:24 | ガイド山行記録

 

最後のモンブラン、無事に下山しました!今回は予定通り8月2日に入山。トラムでニードエーグルまで行き、一路テートルースへ。

 

2日の入山日は天気はいまいち。本当に明日は晴れるのか?と、不安を抱えての入山でした。グーテまでの難路には先日降った雪が!

翌朝は3時にグーテ小屋を出発。天気は予報通りのいい天気!

 

ドーム・ド・グーテまでの上りは真っ暗闇の中、3時間ヘンドランップを付けての行動。精神的にも一番つらいところ・・・。

バロの避難小屋を過ぎたあたりから、ようやくあたりが薄明るくなってきます。明るくなってくると元気も出てくる!

 

わずかに漂っていたガスも切れはじめ、視界も良くなってきました。頂上へ向かう稜線はご覧の通りの長蛇の列!

今回も山頂からのながめは最高でした!!

バロの避難小屋まで帰ってきてから振り返るモンブラン。んー、大変な山だな!!

でも全員無事に下山出来て今はホットしてます。今回もいろいろあったけど、いい勉強になりました。来年の夏に乞うご期待!!

 

 


やきもき!

2016-08-01 17:24:34 | ブログ

予報は朝からいい天気のはずが???朝から小雨の降る嫌な天気。それでも上は雲が抜けているだろうと、ミディーのロープウェー駅へ。30分遅れで始まったロープウェーに乗り、一路エギーユド・ミディーへ。1時間くらい天気待ちしていると、案の定雲が切れてきた!

 

ということで、9時過ぎにバレブランシュへ。

 

すっかり定番になったホワント・ラシュナルへノーマルルートから登頂。

まずまずの高度順化が出来ました!

明日はいよいよ今季ラストのモンブランへGO!