杉ちゃんのWEB日記

国際山岳ガイド 杉坂 勉のブログ

2012-4-28~29 剣岳・別山尾根

2012-04-30 19:38:57 | ガイド山行記録

 今年もGWの季節がやってまいりました。今季GWの第一弾は剣岳・別山尾根。

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 例によてスタートは室堂ターミナル。つい先日の合同研修のときもそうでしたが、今年の室堂は中国、もしかして台湾?、そして韓国からの旅行者でにぎわいをみせ、アルペンルートも混雑気味・・・

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 そんな室堂を後にして一路別山乗越へ。今年は例年と比べ雪は少な目か??その分あまりズボズボもぐらないので、歩きやすいには歩きやすかったですが・・・

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 別山乗越から見る剣岳は、いつみてもかっこ良いですね!まさしく岩と雪の殿堂!この2日間は天気も上場のようなので、明日の登攀にも期待が高まりました。

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 明けて29日は期待通りの天気。今回は1泊2日の強行軍なので、午前3時に起床し4時過ぎに剣御前の小屋を出発。満点の星空の下、剣岳山頂を目指してまずは剣沢を下降していきました。

 気温はさほど冷え込んではいませんでしたが、雪面は適度にクラストしており、アイゼンはサクサクと食い込み快適に剣山荘に到着。

 ここでロープを着け登攀開始。これまたクラストした斜面をサクサクと一服剣へ登って行きました。

 目の前には前剣大岩の急雪壁が立ちはだかっています。上部は恐らく45度以上。まさしく壁のよう!気合を入れてここから始まる剣岳の核心部に突入していきました。

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 しかしここも早い時間帯に通過できたので、足を取られることなく快適に登りきることが出来ました。

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 前剣のピークからは、 剣岳山頂が手の届きそうなくらい近くに鎮座ましまし。この後も固い斜面のトラバースや鎖場の通過など、次々に難所が現れるので、気が抜けません。

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 そしていよいよ登りの核心部、頂上直下の岩壁帯へ。この時期は登りもくだりもヨコバイ経由が主流だそうですが、今年は雪がすっかり落ちてクサリもしっかりと出ていたのでカニのタテバイへ。

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 さすがにここはスタカットに切り替えてしっかりとビレイを取りながら登り切りました。

 あとは傾斜の落ちたゆるい雪壁を慎重にたどって剣岳の山頂へ。

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 たどり着いた剣岳山頂は、少しだけ雪のリッジになっており、頂上の祠もわずかに屋根が出ている程度。登山者も先に早月方面から上がってきた2名いるだけで、今日はほぼ独占状態。しばらくの間360度の大パノラマを我々だけで楽しむことができました。

 さて名残は尽きないところですが、いつまでもこうしてはいられません。なにせ我々は今日中に室堂まで下山すのですから・・・・

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 元来た別山尾根を忠実に下り、カニのヨコバイや下降路中最大の難所、前剣大岩の雪壁も無難に下りきり、

あとはひたすら室堂目指して下るのみ、しかし剣沢の長い長いのぼり返しや別山乗越からのくだりと、山のスケールを痛いほど感じながらの下山となりました。

 今回はまた天気と良い、ロケーションと良い、そしてスケールと良い、剣岳の醍醐味まさに「試練と憧れ」を肌で感じながらの山行でした!


夕暮れの剣岳

2012-04-28 18:43:12 | ブログ
夕暮れの剣岳
いよいよ今年もGWが始まりました。 今年のGW第一弾は剣岳!明日別山尾根から山頂を目指します。 今年の冬は里雪型が多かったせいか、何となく雪は少なめ。まあ腐った雪にズボズボ潜らずに、サクサク歩けるのは嬉しいですが。 明日もまずまずの天気が期待できそう。山頂からの展望もさぞかし素晴らしいことでしょう!


合同研修会

2012-04-26 12:05:10 | ガイド研修

今週の23日~25日にかけて、立山の室堂周辺でガイド研修を行ってきました。

 これは昨年の9月にも報告しましたが、私の所属するJAGUと関西を中心とした日本プロガイド協会の有志による研修会で、普段我々がガイディング中に行っているロープワークなどの技術を、実験や検証を交えて一つ一つ見直し、より安全でより確実なガイディングができるよう精進して行こうというものです。

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 今回のお題目は残雪期ショートロープ(ガイドの使うロープワーク)。特にトラバース(水平に移動すること)での確実なロープワークです。GWを前にこの技術を見直し、安全なガイドをおこなうために実施しました。

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 地味で目立たない研修会ですが今回これで3年目。今回もこれまでの研修結果を裏付けることができたし、また新たな発見もあり、有意義な研修会でした。

 今週末間からはいよいよGW。今回も安全で確実なガイディングをご提供いたしますよ!

P,Sちなみに今日は午後7時30分より、マウンテンハードウェアー原宿店で初のイベント(読図ナビゲーション講習会)を行います。まだ募集に空きがありますので、お時間のある方は是非ご参加ください。


無事下山!

2012-04-20 12:35:35 | ブログ
無事下山!
ただいま3日間の山行を終え、無事入山地点に降りてきました。 今回はクライミング2本、スキーでのビッグラン2本と、とても盛りだくさん。毎日天気も良く、まるで夢のような3日間でした。 そしてこの素晴らしい3日間を、気のあった仲間と過ごせたことも、とても幸せでした! 今日は最後のしめくくりで、北東面のオチュウシナイ沢の大滑降。 まさに利尻山山頂からの大滑降でした! 詳しくはまた山行報告にアップします。 取り急ぎ下山連絡まで。


利尻上陸!

2012-04-17 17:48:42 | ブログ
利尻上陸!
今日は十勝岳周辺の上ホロに行く予定でしたが、朝起きてみると、予報が好転しているではありませんか! ということでまた急遽予定を変更し、一路稚内へ。14時30分最終のフェリーにのり、先ほど無事に利尻島へ上陸しました! 利尻には20年ぶりの訪問。改めて見る利尻山は、複雑な形をして聳え立ってみえます。 明日からも暫くはいい天気が続く模様。 あのすばらしい景色の中の一部になり、数日過ごせるなんて、なんとすばらしいことでしょう!いまからワクワクしています!!


北海道遠征

2012-04-16 21:01:30 | ブログ
北海道遠征
忙しい??仕事の合間を縫って今日から北海道に来てます。 今回の目的は利尻でスキー!まずは北東稜から利尻の山頂を目指し、状況を見てロウソク岩を登攀!その後北面のルンゼを滑降する計画です! 少し欲張りな計画ですが、佐々木大輔大先生と日プロの島田君も一緒なので心強い限り。 明日から明後日にかけては天気がイマイチな感じなので、明日は十勝の上ホロで前哨戦。 今夜は大輔大先生の家でミーティング中です。


2012-4-12~13 三つ峠

2012-04-14 12:32:04 | ガイド山行記録

 このところ春の嵐が流行っているようですが、ちょうど嵐と嵐の合間を見計らうように、12日~13日の二日間、三つ峠へマルチピッチクライミングのトレーニングに行ってきました。

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 12日、裏登山道から入山し、屏風岩へ降りていく登山道から見た富士山は、前日までの雨で空気が澄んでいたせいか、五合目から上が真っ白な雪に覆われて、いつもよりもますますきれいに映えていました。

 今回は2日間とも岩場は2人だけだったので、順番待ちの煩わしさもなくマイペースでのんびりとクライミングできる状態!

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 まずは右フェースの一般ルートでウォーミングアップ。3本のルートで体をほぐしながら、上り下りを繰り返し、クライミングから懸垂下降まで、一連の流れを確認しました。

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 その後リーダーピッチ~十字クラック~№15クラックとつなぎ、最後は天狗の踊り場まで。

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 踊り場から望む今日の南アルプスは、白い山並みが一本のラインとして続いており、まるで彼方までたなびく雲のようでまた格別の展望でした!

 富士山や南アルプスの大展望を堪能したのちは、大根おろしにもトライ。

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 その後いったん下降して休憩ののち、草溝~№1クラック、地蔵の右、左と登りまくり、初日のクライミングを堪能しました。

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 翌13日もまずまずのいい天気。例によって右フェースの一般ルートでアップしたのち、壁が暖かくなるのを待って中央カンテへ。今回最終ピッチは右ルート(Ⅴ+)へ。ここは左よりも傾斜があり、出だしの垂壁ではムーブも面白く、とても楽しめました。P4130046  P4130047

 この日は続いて三つ峠を代表するルートの一つ、亀ルートにトライ。

 ここは巧みに岩の弱点を突いて登る好ルート。グレードの割にかなり難しく感じ、トラバースも多いのでかなり緊張感たっぷり!特に八寸バンドのトラバースは高度感もあり、普段ボルトルートに慣れきった体には、目が覚めるような本当の意味でいいルートです!(注、トップもフォローも墜落は許されません・・・)

 最後は観音ルートで今回のクライミングを終了。

 この夏の本番に向け、春の目覚めとなったいいトレーニング山行でした!!

 ※今回人気のない2日間だったので、取り付き付近にはカラスが頻繁に出没。ザックのファスナーなど完璧にあけられて、中の食料を荒らされることもありました。みなさん平日のクライミング時は気を付けましょう。


2012-4-10 日和田

2012-04-11 10:50:15 | ガイド山行記録

昨日の4月10日、日和田に行ってきました。

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 予報では翌11日は荒れ模様の天気になりそうということで、急きょ1日予定を早めてのクライミングでした。

 その甲斐あってかこの日の日和田はポカポカ陽気。日の当たる岩の頂上付近では汗ばむほどでした。

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 お客さんは今回が初めてのクライミングということでしたので、まずは男岩、女岩で軽くウォーミングアップしたのち、リード&フォローの形で繰り返し手順を確認しながらクライミング。

 最後はビレイの仕方や懸垂下降も交えて、一通りクライミングの基本的な流れを講習しました。

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 近郊の低山はもう春本番といった感じ。ハイキング、クライミングにいい季節がまたやって来たんですね。


2012-4-7~8 北アルプス・西穂登頂

2012-04-09 09:23:41 | ガイド山行記録

 東京ではお花見全開となった先週末、日曜日の好天を狙って西穂へ行ってきました。

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 入山日の7日(土)は、冬型の気圧配置と寒気の影響であいにくの天気。小雪のちらつく中でのアプローチとなりました。

 しかし翌日の天気がいいとみてか、西穂山荘はまずまずのにぎわい。同じJAGUのガイド仲間や、顔見知りのガイドも多く入山してきました。

 小屋に到着後、時間が早かったこともあり、アイゼン歩行の確認も兼ね丸山まで散歩。吹雪の中の散歩でした・・・・

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 翌日は予報通りのいい天気!

 風は依然強いものの雲一つない快晴!!日中遅くの方が風はおさまるような予報だったので、小屋で朝食をとり6:45ゆっくり目にスタート。

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 独標へ向かう稜線には、すでに多くの登山者が取り付いていました。

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 雪の状態はというと、西穂山荘の前こそ吹き溜まりの雪で深いトレースが刻まれていたものの、一段上がった稜線からは、カチカチのクラストした斜面に・・・

 スリップしないように、アイゼンをフラットに雪面へ食い込ませ、素晴らしい景色をバックに慎重に高度を稼いでいきました。

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 この日、西穂をはじめ穂高の山々や遠く後ろ立山の山々は、まるで白い氷をまとったような厳冬期の姿に早変わり!4月とは思えないような厳しい姿で鎮座しているではありませんか!!

 独標の手前からロープを付け、独標からはところどころ確保しながらの登攀に・・・

 雪はますます固く、アイゼンの前爪を軋ませながらの登りもしばしば。特にトラバースは慎重に慎重に進みました。

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 ピラミッドピーク、ほかいくつかの小さなピークを上り下りし、9時少し過ぎに西穂の山頂へ到着。

 不思議と山頂直下まで強く吹いていた北西の風も、我々が山頂にたどり着いた時には一時的におさまったので、何枚も記念撮影をし、さらに360度の大パノラマを心行くまで堪能することができました!

 さて頂上の至福の時を過ごしたのちは、今回の核心ともいえる下降の開始です。

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 まずは山頂直下の固くクラストした斜面。傾斜もきついのでバックステップになり、確保しながら慎重に下りました。

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 その後も元来た稜線を忠実にたどり、大小のピークを再び越えて独標まで無事下降。

 さすがにここまで来ると、少し疲れてきたので独標で小休止。素晴らしいロケーションをバックに登ってきた稜線を再び見上げながら、今日の登攀の感動を再確認。

 あとは感動の余韻に浸りながら、西穂の山荘まで無事に下山していきました。

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 下山先の西穂高ロープウェー山頂駅からは、これまた素晴らしい西穂高の山を再び望むことができました。

 んー、やっぱり天気がすべてと言っても過言ではないほどに、この山行は恵まれた登山でした。そして今年は年明けから厳しい気象条件での登山が多かっただけに、今回は充実感とともに、至福のひと時を味わうことができた素敵な週末でした。これだから山はやめられませんね!