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「調布 妖怪通信」 アーカイブ

過去teacupへ投稿した妖怪関連の情報の配信記録
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"へんなようかい"リターンズ⑥

2022-01-19 18:56:00 | 妖怪
前回の記事に続き、『怪奇談絵詞』から、"へんなようかい"をピックアップしていきます。先ずは水生の妖怪を3種です。最初は北国の漁師が遭遇した魚で、頭のサイズが6~7尺(約2㍍)ある真っ赤な巨大魚です。もしかして、海面に浮いてきた深海の怪魚(ex.フサアンコウ)を誇張したのかもしれません。
これには、海坊主もびっくりでしょう。

次は宗像郡鐘崎浦(現:福岡県宗像市鐘崎)の岩場に現れた約3メートルの海獣です。図中の桶は、この海獣を捕らえようとして使ったものですが、荒ぶる海獣に奪われました。
遠方から流れ着いたオットセイのような気がしないでも・・・

3番目は「天竺の宿借り蟹」です。姿は蟹というより、頭に鉢巻をしている痩せたタコっぽいです。
手(足?)で酒徳利を握って、何やら楽しそうです。

後の3種は人型の妖怪です。先ずは出くわすと、人が自傷してしまい、最終的には死に至らしめると言う恐ろしき老婆の妖怪です。筑前国の穂波郡にあった大寺の寝間に現れますが、この妖怪への攻撃は全て自分への攻撃になってしまう妖力を使うようです。
姿やその所業から見ても、妖怪らしい妖怪といえるでしょう。

次は「高麗の坊主」。全体の印象は「河童」ですが、甲羅はあるものの、頭に皿がありませんので「水虎」の一種かもしれません。
弾いている楽器は「月琴」。芸達者な妖怪さんですね。

最後は、メジャー妖怪の一つでもある「見越入道」です。筑前国の那珂郡のお百姓さんが夜道で追いかけられたという怪異譚です。尚、このお百姓さんは、鎌で反撃して、この「見越入道」を仕留めました。正体は"老狸"であったの事です。
"見越入道、見越した" の呪文で消えるの知らなかったのかな。

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"へんなようかい"リターンズ⑤

2022-01-15 18:12:00 | 妖怪
ここ2回に渡って妖怪「とらにゃあにゃあ」の図画を紹介しましたが、本ブログでは、この妖怪の出典元の『怪奇談絵詞』から、これまでに7種類の妖怪を記事にしております(掲載記事)。この絵巻には、いわゆる"へんな妖怪"が多数描かれていますので、今回は本ブログでは未登場の妖怪を幾つかピックアップしてみます。先ずは、上半身裸で風邪を引き、くしゃみしている唐土(中国)の妖怪「クサメ風邪君(ふうじゃくん)」です。名前の最後に"君(くん)"が付くという意味では"さかなクン"の大先輩とも云えるでしょう。
名前を呼ぶ時は、さんをつけろよデコ助野郎。

次は虫の妖怪「イギリスの蟻」と、「カピタンの蜥蜴」です。"カピタン"とは江戸時代、東インド会社が日本に置いた商館の最高責任者「商館長」のこと(Wikipedia)で、それを揶揄した妖怪のようです。
この絵巻には、このように海外の"へんな妖怪"も数種類ラインナップされており、次の「オロシヤの人魂」もその一つで、名の示すようにロシアの妖怪です。激しい風が吹くと「おろしあおろしあ」と言うとの事です。"おろし"とは、"六甲おろし"の"おろし"と一緒で、山や丘から吹き下ろしてくる風の呼称。まさにダジャレ妖怪であります。
ロシアの人魂、恐ろしあ。

次は、熊本の山中にある洞穴に住み、巨大な口を持つ妖怪です。この妖怪は、口周りが赤い点を含め、江戸時代中期の妖怪を主題とした絵巻物「百怪図巻」にある「赤口」なのかもしれません。
この妖怪の図画は、恐ろしさを感じますが、コミカルな姿で描かれている妖怪もあります。㊤「釜山海の蝦蟇」と㊦「蝦夷の狼」です。「釜山海の蝦蟇」は一見うさぎのようですが、カエルの妖怪で、日本人を恐がるそうです。「蝦夷の狼」は絶滅した「エゾオオカミ」と名前が被りますが、それとは似ても似つかない姿となっております。二つとも、ルーニー・テューンズのキャラクターにいそうな感じであります。

何気に髑髏を踏んでいるところが、妖怪さもありなんです。


虎の威を借りない虎妖怪

2022-01-07 15:46:00 | 妖怪
元日の記事で、虎の妖怪「とらにゃあにゃあ」を紹介しました。この妖怪の出典元である絵巻『怪奇談絵詞』は30点以上の妖怪が収録されているのですが、巻中に同じ妖怪がさらに2体収録されております。
元日に紹介した「とらにゃあにゃあ」と上の2体との違いは、①首が長く伸びている。②尻尾の先が二股になっている。③手足の指の本数が各3本である。等であり、老け顔である事を含め、前者の方がより妖怪化が進んでいるものと思われます。いわゆる第2形態といえるかもしれません。と言っても、弱々しくて威厳の無い妖怪ですので、強い虎の妖怪として、アクションロールプレイングゲーム『仁王』に登場する「白虎」です。
この「白虎」は「猫又」の第2形態であるという、斬新な設定となっています。

本来「白虎」は神獣なのですが、このゲームの世界では荒ぶる妖怪になっています。その代わりというわけではないでしょうが、「焔虎」という虎の姿の守護神が登場します。
井伊直虎の守護霊であったという、これも斬新な設定ではあります。

他に虎の妖怪は・・・と、他国に目を向けると、韓国には人喰い妖怪「萇山虎(チャンサンボン)」がおります。ちなみにこの妖怪をモチーフにしたホラー映画『模倣霊』が2017年に製作され、日本でも公開されていました。
まさに、"人喰い"って感じの、スプラッター系妖怪であります。

一方、中国ですが、虎の妖怪も幾つか掲載されている『山海経』という地理書があります。その記述内容を基にして、日本で制作された絵巻物『怪奇鳥獣図巻』に、品格が有り仁徳を示す瑞獣とされる「騶虞」が紹介されておりまして、この妖怪は正に虎の姿をしております。
習性として、捕食はしないとの事。サファリパーク向けですね。

最後は、再び日本からですが、"虎"という文字を名前に含みながら、虎っぽいところが見当たらない妖怪「虎隠良」。妖怪絵師鳥山石燕による江戸時代の画集『百器徒然袋』に描かれている妖怪です。この妖怪は水木しげる大先生も『禅釜尚と虎隠良』という図画の中で、その姿(向かって右側)を描かれておりますが、模写なので、やはり虎っぽくありません。
「""は""れて""い事をしてくれる」という事にしておきましょう。


2022年は鬼太郎に祈願

2022-01-01 12:22:00 | 妖怪
謹賀新年


今年は"寅年"と言う事で、本年の1回目はトラの妖怪、日本の妖怪絵巻『怪奇談絵詞』から「とらにゃあにゃあ」です。竹の銭筒の中に住むという、強欲な僧を風刺した妖怪で、虎の名はつくものの猫なで声で、"にゃあにゃあ"と鳴くようであります。
でも、こんな験の悪そうな妖怪から新年のスタート迎えるのもなんですので、ここは"妖怪の街 調布"の我らが鬼太郎にエールを送ってもらいましょう。

「やぁ、人間の皆さん、見えない敵には、"神様・仏様・妖怪様" ですよ。」


雪女はニセ鬼太郎だった

2021-12-30 11:04:00 | 妖怪
2021年も残り僅かとなりました。今年の妖怪関連トピックスで、全国的に最も大きかったトピックスはやはり、映画『妖怪大戦争 ガーディアンズ』の公開でありましょう(9/6の記事10/8の記事参照)。Blu-rayとDVDもリリースされ、その他の関連グッズも、多種多様に販売されている模様です。その中から、"オリジナルフレーム切手セット"を入手しましたので、紹介したいと思います。郵便局からの通知にもあるように、フレーム切手1シート(63円切手×10種)・台紙(A4サイズ)・ポストカード10枚(10種)のセットになっております。使用されている図柄は同映画に登場した人型妖怪を、コミカルな似顔絵を付けて、デフォルメしたものであります。
(以下の3画像はクリックで、ほぼ原寸大に拡大します。)


ポストカード10種中、3種のみピックアップしましたが、切手と同じ妖怪が印刷されております。そこで、重大な事実が判りました。台紙には11種の人型妖怪が描かれていますが、切手やポストカードは10種。なぜか、大島優子さんが演じた「雪女」が選から漏れているではありませんか。

個人的には頭が瘤だらけで気持ち悪い「ぬらりひょん」なんかより、「雪女」を採用して欲しかったですが、何か大人の事情でもあったのかと、勘ぐりしてしまいます。
ちなみに、その大島優子さんと妖怪との関わりですが、2015年にZOZOTOWNのCMで、我らがゲゲゲの鬼太郎に扮しておりました(マイナビニュース)。しかし、みんながイメージしている鬼太郎とは程遠いもので、どの実写版の鬼太郎より不評であったのではないでしょうか。
両目がある… お前は、「ニセ鬼太郎」やろ。