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「調布 妖怪通信」 アーカイブ

過去teacupへ投稿した妖怪関連の情報の配信記録
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神代の男は見る目が無かった

2019-01-25 20:56:00 | 妖怪
先日、世界最高齢の男性としてギネス記録に認定されていた北海道のご老人が113歳でお亡くなりになりました(Yahoo! JAPANニュース)。妖怪は「」などの一部の死ぬことが定めのタイプや、「」や「酒天童子」「土蜘蛛」といった、いわゆる退治されるケースを除いて、基本的に滅ぶ事はないのですが、いかんせん人間の平均寿命は医学が進歩した現代でも80歳代に留まっております。もう妖怪だったといっても過言ではなかった水木しげる大先生も所詮人間だったわけで、この運命に従ったのであります。但し、神代~古代の天皇の方々は非常に長寿方が多かったようです。初代の神武天皇から16代天皇までの崩御時年齢の平均は108歳で、12人の天皇が100歳を超え、最長寿はその巨大な墳墓で有名なが仁徳天皇の143歳であります。ちなみに、歴代天皇でもっとも短命だったのは"壇ノ浦の戦い"で、祖母に抱かれ、「三種の神器」と共に海に身を投じた第81代安徳天皇で、僅か6歳(数え年8歳)の短い一生でした。しかし、この天皇は、妖怪漫画の鬼才の一人である諸星大二郎氏によって、「あんとく様」名義で妖怪(アヤカシ)化され、現代まで生きながらえている状況を創っております。
史実として、三種の神器の中で"剣"だけは未回収で、現在の"剣"はレプリカであります。

フィクションとはいえ、天皇を人面大蛇に変身させるとは・・・ 恐れ入りました。

さて、記事を"人間の寿命"に戻します。この寿命は神代の時代、古代の天皇の如く、もっと長かったのですが、ある女神の嫉妬の怨念で、短くされてしまった・・・との古事があります。その女神の名は「磐長姫」であります。「天照大神」の孫で、名前が長過ぎる「天邇岐志国邇岐志天津日高日子番能邇邇芸命」(略称:ニニギ)の元へ絶世の美女でもある妹の「木花之佐久夜毘売」と共に嫁ぐのですが、「磐長姫」の方はいわゆるブスだったため、一人追い返されてしまいました。
磐長姫」はそれを恨み、「佐久夜毘売」を呪った事が原因で人間の寿命が短くなるようになったのであります。"磐"とは"岩"で不老不死の象徴と云う事で、もし、「磐長姫」が追い返されなければ、人間はもっと長寿であったのかもしれません。
こちらは呪われた美女の「佐久夜毘売」。"美人薄命"の元祖であります。

しかし一方では、「磐長姫」も女神でありますから、"心が美しく、真の豊かさを持つ神様"として、崇められてもいるようであります。妖怪の世界には「高女」や百鬼夜行絵巻のレギュラーでもある「醜女」など、ブス妖怪もおりますが、性格の悪い有害妖怪ばかりであります。
よくここまで不細工にできたな って感じです。

さて、先ほどのブサイク女神の「磐長姫」も案の定、ソーシャルゲームの世界では美少女化されてしまっております。下のカード画像は『幻獣姫』の「イワナガヒメ」です。
よし!この調子で、「ニニギ」をいつか見返すのじゃ!


五体満足すぎる妖怪達

2019-01-17 21:47:00 | 妖怪
前回の記事で、奇数の3本足で、どう見ても歩き辛いと思われる蛙・亀・鳥・牛の妖怪を紹介しましたが、上には上がおりまして、5本足の妖怪が中国におります。1884年に上海で創刊された旬刊の絵入新聞『點石齋畫報』の記事によると、「鼈妖(べつよう)」という5本足の巨大なスッポンが雷に打たれて、空から降ってきたという事です。
原因不明との事ですが、逆に原因が判ったらそれはそれで怖いものがあります。

やはり、"これ系"の奇妙な体型をもつ妖怪、云わば"奇形妖怪"は中国に多いようで、それらの妖怪は奇書で名高い同国の古代の地理書『山海経』などで見ることができます。以下、胴体と四肢が3セット備わった三身國の住人「三身人」、一つの首に十の身の姿の魚で、犬の吠え声を出す「何罗鱼」、頭が二つある「両頭蛇」(2013/1/12の記事参照)とは逆に、頭が1つで身体が2つに割れた蛇の妖怪「肥遺」です。
ラグビーのスクラムだと、一人で三人力。相撲も強そうです。

一匹釣れば、刺身は10人前。庶民にとっては、お得な魚ですね。

コーナリングに安定した走りを見せてくれそうです。

一方、五体満足なくせに、頭がないタイプも「山海経」には記録されております。2016/8/20の記事で紹介している「帝江」です。そこでの記事では"ラスボス"としての「渾沌」も言及しておりますが、「帝江」についても、下の図画のように、それっぽくデザインし直せば、十分に妖怪の"ラスボス"として通用するでしょう。
頭がないので、クリティカルヒットは難しそうです。

日本にも頭がない人型妖怪がおります。都市伝説で有名な「首なしライダー」は別として、書物的には「山海経」に比べれば、恥ずかしいほどレベルは落ちますが、小学館コロタン文庫(62)「世界の妖怪全百科」にその妖怪は掲載されております。その名もズバリ「首なし男」です。
「拙者の首はありませんか」と書かれたパネルでも持っていただろうか?


三本足では、走れないよね?

2019-01-12 21:10:00 | 妖怪
1月6日より放送のNHK大河ドラマ第58作『いだてん~東京オリムピック噺~』、ご覧になったかたもおられると思いますが、そのロゴが気持ち悪いと一部で話題となっております。3つ脚を等角度で渦巻き状に組合せた文様である「三脚巴」が"い・だ・て・ん"各文字の上で、風車の如く回っており、"怪"的でもあります。さらに巷では、この『いだてん』の「三脚巴」ロゴのシルエットがマン島の旗に描かれた「三脚巴」とそっくり・・・とのパクリ疑惑も出ているようです。
マン島からクレームが来ても、おかしくないレベルであります。

ところで、"三本足"は、"二本足"や"四本足"の動物を見慣れている人間にとって、"一本足"と並んで、もうこれは妖怪であります。"三本足妖怪"というと、日本では「八咫烏」が有名ですが、今回はその他の"三本足妖怪"を紹介しましょう。先ずは「三足蛙」。中国では「青蛙神」と呼ばれ、「蝦蟇仙人」のペットでもあります。この「三足蛙」は大変縁起が良いものとされており、織田信長公はこの「三足蛙」を模った香炉を愛していたという逸話もあります。
「鎮疫神」と書いて「マヨケ」。これは漢字検定一級レベルでしょう。

尚、この「三足蛙」、オランダにも出没している記録があるようです。アジアからヨーロッパまで、幅広く、人々に幸運を与える活動をしている妖怪かもしれません。
世界レベルで保護すべき絶滅危惧種であります。

青蛙神」のように、三本足の妖怪は中国に多いようです。三本足の亀(すっぽん)なら、その名の通り「三足鼈(さんそくべつ)」、6つの目と4つの翼を持つ、蛇のような鳥であれば「酸与(さんよ)」、牛なら「」などです。
この妖怪も、食せば疫病に罹らないで済むという、有益妖怪であります。

かたや、この妖怪は現れた地に恐慌をもたらすという有害妖怪であります。

「獂」さんの歩くところをみてみたい。


日本の亥年妖怪に癒されたい

2019-01-04 21:13:00 | 妖怪
今年は亥年という事で、2019年最初の記事は"猪の妖怪"です。とは言っても、日本の代表的な猪妖怪である「一本ダタラ」・「猪笹王」・「一本足」は2016/10/10の記事で紹介済みですので、今回は中国の猪妖怪("猪っぽい"のも含む)を幾つか、『山海経』などからピックアップしてみました。先ずは「豪彘(ごうでい)」、先の方が黒くなった"かんざし"状の白い毛が生えた豚のような妖怪との事です。
"豪猪"と書いて"ヤマアラシ"。この実在の動物がモデルだと思われます。

次は「當康(とうこう)」。形状は小さな猪のようですが、むき出しの牙があるとの事で、その鳴き声「Dāng kāng」からその名前を充てられたとされています。
姿を見せると豊作になるそうで、有益妖怪といえるでしょう。

中国の猪妖怪で最も有名なのは『西遊記』に登場する「猪八戒」でしょう。但し、中国で"猪"といえば、"豚"を指すようですので、猪のイメージとは違って、容姿に品が無く、好色な印象を持ってしまうのは、しょうがないところです。下の図画はその極致の一つでありましょう。
中ボスで、弱点は"へそ"って感じです。

その「猪八戒」のプロトタイプとされているのが、「赤眼猪妖(Chì yǎn zhū yāo)」。古代中国の赤い目をした巨大な猪(豚)の妖鬼で、じめじめとした暗闇に住んでおり、腐ったものを好んで食すという、まさにブタ野郎です。
日本にはここまで醜悪な妖怪は、なかなかいないと思います。

そうです、日本にはこんなに醜い妖怪より、とっても可愛い"猪妖怪"?「瓜坊」がいるのであります。「すねこすり」の正体はこの「瓜坊」ではないかとも思っております。でも、なぜ神様は幼少期のパンダやコアラのように、「瓜坊」をそのままの姿で成長させなかったのでしょうか。
「すねこすり」みたいに、まとわりついてくれたら、どんなに癒されることか・・・

可愛い妖怪はずるい!