伯母に恩返しのつもりでお世話取りのような
ことをずっとさせてもらってきた。
伯母になんとかちょっとでも喜んでほしくって
笑ってほしくって家にも運んだし
今の病院にも行かせてもらってきた。
夕方伯母の実家の甥から電話がかかってきた。
『伯母さんの家のものを運んでいるんだけど
伯母さんから何か預かっているものはないか』
と聞かれた。なんのことだか分からなくって
勘違いして、今の病院から何か持ち出したものは
ないかと聞かれたのかと思って
私の弟のお見舞金はまだ預かっていると言ったら、
それは知っているって。
「じゃなに?」
『あるはずのものがないんだよ。あれがないと困るんだよーーー』
「なにがないの?」
『ん?あれがないと困るんだよなー』
「なんのこと」
『おばさんに聞いたら、ある場所にないから聞いたら
ないから、yoshiに預けたのかしらって言っている』
『カギは2個しかないから家に入れるのは2人しかいないし。』
って言うから、私はカギは持っていないよときっぱり。
甥は驚いていた。私が持っているわけがない。
なんで持っていると思われているのか分からない。
ひょっとして私がこっそり家に入って、
札束でも持ち出していると思っているのか。
痴呆症がかなり進んでいる伯母の言うことを
そのまま信じて私にあれこれ言ってきている事
自体が信じがたいし、気持ち悪いのだ。
カマをかけているような甥の言い方に悪意を感じる。
奥歯にモノが挟まったような言い方。
ああいう人だったんだ。知らなかったわー。
伯母の人格は好きだけど病気なんだよ。
誰にでもおそらく年をとったら訪れる病気なんだよ。
仕方がないんだよ。周りのものはウソと本当に
翻弄されてしまいやすく、、私も数え切れないくらい悩まされた。
『yoshiちゃん私って変?はっきり言って』
頭がおかしいかっていう意味。変だとはどうしても言えなかった。
変という表現が違うと思ったから。
「痴呆症が進んできたなとは思うよ。変だというわけではないよ」
という言い方をしてきたがコレで良かったのか分からない。
変ってのは人間性を否定しているような気がしてならなかった。
伯母との関係は勉強の連続だと思って心を倒しそうになっても
乗り越えてお付き合いをしてきた。私は最初から最後まで
伯母に少しでも喜んでもらいたい、笑ってもらいたい、
痛みを忘れてもらいたい、外へ連れ出してあげたい。
それだけだったの、、、、、、。
もういいかな。
このあたりで十分恩返しをさせていただいてきたと思う。
実家の甥とか姪や近くの姪も乗り出してきてて
施設に入れる準備をしているし、、、伯母もきっと大丈夫だろう。
私がさせてもらってきたことを今度は
他の方にやっていただこうかと思った。
出る幕ではなくなった。
神様はタイミングを作って下さったのかもしれない。
私の心が伯母から離れるタイミング。
伯母がなんとか大丈夫になってくれたら私は大丈夫なんだから。
近いうちに洗濯した伯母のシーツとか姪の家に運んでおこう。
私は心の整理がついたような気がしているけど
あの方達はどうなのかな。
探し物、また探してみると言っていたけど。
あっちこっちに伯母さんが置き忘れているものが
あるんじゃないかな。私には分かりません。