阪神間で暮らす-2

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膿は誰なのか 安倍首相が居座れば国はどんどん壊れていく

2018-05-13 | いろいろ

より

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膿は誰なのか 安倍首相が居座れば国はどんどん壊れていく

 ガッチリ固めた隙のない官僚答弁だったことが逆に、いかがわしさを醸し出していた。

 加計問題をめぐる10日の参考人招致で、柳瀬唯夫元首相秘書官は「記憶にない」と突っぱねてきた2015年4月の愛媛県と今治市の職員との面会について、予想通り軌道修正。加計学園関係者との面会を認めたうえで、その随行者の中に県市職員がいたかもしれないと答えた。焦点だった「首相案件」についても、「獣医学部新設は総理が『早急に検討していく』と述べている案件」という国家戦略特区の概要を伝えただけだとして“特別扱い”を否定。「記憶にない」発言により昨年7月以降、10カ月にわたって国会を混乱させたことについて、何度も深々と頭を下げ、陳謝した。手元のノートを見ながら答える姿など、官邸との“調整”が分かるよくできた答弁だった。

 しかし、その他は支離滅裂。「アポが入れば誰とでも会う」と言いながら、スケジュールの管理もせず、メモも残さない。「通常は名刺交換をする」と言いながら、加計学園の誰と会ったのか覚えていない。名刺も残っていない。驚くほど曖昧な話ばかりなのに、面会について首相に報告したかどうかについては、「一切なかった」と断言したのである。

 「柳瀬氏は十分準備して矛盾のない答弁を用意してきましたね。ただ、一つ一つの答弁ではボロが出ないとしても、全体を聞くと明らかにおかしなところがあった。超多忙な秘書官が個別の案件で3回も加計関係者に会うこと自体が異例ですし、総理に一切話していないというのもあり得ないと思います。

 加計理事長は総理の友人で、2人はいつ電話で話すかわかりません。秘書官が総理に無断で動いていると誤解されないためにも、むしろ早めに簡単な概要だけでも伝えておいた方がいいはず。30秒で済む話です」(元経産官僚・古賀茂明氏)

 柳瀬が必死に、安倍首相への報告や安倍の指示を否定するのは、加計学園が国家戦略特区で獣医学部を新設することを知ったのは「2017年1月20日」と安倍本人が答弁しているからだ。主君を守るため、都合よく“まだら模様”の記憶を利用しているのである。

■ 刑事罰でなければ何をしてもいい<

 この光景、森友問題で証人喚問された佐川宣寿前国税庁長官を思い出す。

 国有地を8億円もダンピングしたことや財務省の決裁文書改ざんについて尋問されても、「訴追の恐れ」と50回以上も証言を拒否。その一方で、安倍の指示があったかどうかだけは「ございませんでした」と明確に否定した。佐川の場合も、「私や妻が関わっていたら総理も国会議員も辞める」と口走った愚かな主君に忠義を尽くしたのだった。

 柳瀬にしろ、佐川にしろ、決定的な証拠を突き付けられてもシラを切り、白々しい嘘と言い訳を続ける。それが国民の行政不信を最高潮にまで高めているのに、全体の奉仕者としての良心の呵責はひとかけらもない。国民ではなく安倍しか見ていないからだ。

 官邸に人事権を握られ、恐怖支配されていることで、霞が関には忖度競争が蔓延。安倍を守るために無理筋の答弁を重ね、すべてをケムに巻こうとする。公に仕えるはずの官僚が矜持をなくし、モラルも崩壊。完全に狂ってしまった。

 前出の古賀茂明氏はこう言う。

 「『セクハラ罪はない』という麻生財務相の発言でも分かるように、安倍首相やその周辺は倫理観のハードルが下がっている。牢屋に入ったり、罰金を払わされたりするような刑事罰を受けるのでなければ何をしてもいいと考えているように思います。政権がそんなレベルですから、仕える官僚のモラルが下がるのは当然です。独裁の本当に怖いところは、独裁者が何も言わなくても、現場が勝手に忖度して、悪政を行うこと。日本の行政はそういう段階に入ってしまいました」


 汚れた首相の下、行政を歪める行為が日常化

 古賀茂明氏と対談した村上誠一郎元行革相が新著「断罪」(ビジネス社)でこう言っている。

 村上は自民党議員ながら「安倍即刻退陣」を求めた数少ない反アベ急先鋒だ。

 〈「権力の行使は、抑制的にしなければならない」。今までの政治家が肝に銘じてきたことです。その大切な心構えを失くして行き着いた先が、お友達や忖度する人々への人事や仕事での優遇でした〉

 〈一国のトップに人を得ないと、いかにその国の政治が棄損されていくか。それを鮮やかに示したのが、現政権の五年間でした。今や永田町(政治)と霞が関(行政)は国民の信頼を失いつつあり、国の将来に明るい兆しが見えなくなりつつあります〉

 権力を私物化する首相のクロをシロにするため、どれだけの人と時間が犠牲になったことか。

 国会はもう1年以上、モリカケ疑惑の追及が続いている。安倍政権が嘘に嘘を重ねるからだが、10カ月経ってようやく「面会」の事実を認めた柳瀬だけでなく、森友問題では昨年2月に「廃棄した」と財務省が強弁したはずの交渉記録500ページが存在すると、最近になって報じられてもいる。貴重な審議時間が浪費されただけでなく、偽りの答弁によって、かくも長きにわたって国民が愚弄されたのである。

 「獣医学部が設置され、入学式も終わり、もはやひっくり返せないところまできた今になって、柳瀬氏は『加計関係者と面会していた』と白状した。力ずくで不正を通したようなもので、本当に卑劣です」(政治評論家・森田実氏)

 「膿」を葬らないと「正常化」しない

 昭恵夫人との関わりを隠すため、財務省理財局と近畿財務局が文書改ざんという違法行為に手を染め、自殺者まで出した。国有地のゴミの撤去費用水増しでは、国交省の大阪航空局まで口裏合わせに加担していた。恐るべき空前の規模でのモラル崩壊。汚れた首相を正当化するため、行政を歪める行為が日常になってしまったのだ。

 その間、安倍はのうのうと権力にしがみついている。「徹底的に膿を出し切る」などとカッコをつけるが、安倍こそが膿なのだから、自ら権力者の座を降りない限り、膿はなくならないどころか、むしろ広がる一方だ。こうして国全体が汚染され、壊れていく。

 「モラルもなく、国民のための政治をするという信念もないのが安倍政治の特徴です。安倍首相は全てが自分のためですから、役人についても自分に奉仕する人を積極的に登用する。そして役人は魂を捨てて首相にすり寄る。そのうえ首相官邸に人事権も握られ、役人の堕落が急速に進んでしまったのが今の惨状です。これを元に戻すのは何十年かかるのか。本当に深刻な事態だと思います」(森田実氏=前出)

 安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合がきのう出した声明には、こうある。

 〈5月8日より国会が「正常化」したとの報道が相次いでいますが、そもそも国権の最高機関である国会において虚偽答弁を繰り返し、また国会に提出する公文書の改ざんを行い、さらには国会のチェックを免れるためにそうした事実を隠蔽し、正常な国会審議の前提を壊してきたのは、ほかならぬ安倍自公政権です。今後、本当の意味で国会が正常化するかは、ひとえに政府が国会に対して誠実に説明責任を果たすかにかかります。言うなれば、政府の「正常化」が未だ求められています〉

 鉄面皮首相を葬り去らない限り、国会も政府もなにもかも「正常」には戻らない。この国は、すでに取り返しのつかない段階に足を踏み入れてしまっている。
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