阪神間で暮らす-2

テレビを持たず、ラジオを聞きながら新聞を読んでます

注目の柳瀬招致 「話す中身」が事前に漏れるアホらしさ

2018-05-13 | いろいろ

より

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注目の柳瀬招致 「話す中身」が事前に漏れるアホらしさ
  

 ある程度、予想されていたとはいえ、予定調和の質疑に釈然としない思いを抱いた国民も多かったに違いない。学校法人「加計学園」の獣医学部新設を巡り、10日、国会で行われた柳瀬唯夫元首相秘書官(現経産審議官)の参考人招致のことだ。

 とにかく、摩訶不思議の現象だったのは、参考人招致の開催が決まる前から、新聞・テレビで柳瀬の答弁方針や内容がワンサカと報じられていたことだろう。

 〈柳瀬氏は参考人招致で学園関係者との面会は認める一方、県や市の職員は学園関係者の後ろにいて記憶に残らなかったと説明する見通し〉

 〈自民党幹部は「大勢の面会客の中に県や市の職員が交じっていて気付かなかったのなら、柳瀬氏が嘘をついたことにはならない」と指摘した〉

 〈柳瀬氏は参考人招致で、県と市の担当者については「周りにいる関係者の全てを把握しているわけではない」などの表現を検討しているとみられる〉

 〈自民党幹部は「すとんと落ちる話になる」として、野党の追及をかわせると自信を示す〉

 国政調査権に基づく参考人招致で、開かれる前から参考人の予定答弁が細かく報道されたケースは聞いたことがない。柳瀬自身がベラベラと話していたとは思えず、誰がメディアにリークして報道させていたのかといえば容易に想像がつく。政府・与党しかない。つまり、柳瀬は「誠実にしっかりとお話しさせていただきたい」なんて言っていたが、しょせんは安倍政権の操り人形で、参考人招致は単なるガス抜きの舞台回しに過ぎない。そんな状況で、とてもじゃないが真相解明を期待できるハズもない――とのあきらめのような雰囲気が国民にもジワジワと刷り込まれていたため、しらけムードが漂っていたのだろう。

■ 新聞・テレビは柳瀬の虚偽答弁を正当化するアリバイ作りに加担

 今回の問題は、柳瀬が「記憶にない」と否定し続けてきた2015年4月2日の愛媛、今治両県市職員との官邸での面会や、その際に「本件は、首相案件」と発言していたのかどうかの事実の有無に尽きる。

 愛媛県では職員が柳瀬と面会した際に作成した発言内容のメモが見つかり、文科省や農水省でも同様の文書が確認された。冷静に考えれば、「動かぬ証拠」が突き付けられた柳瀬の国会答弁が大ウソだったことは明々白々で、ならば「なぜ虚偽答弁したのか」「なぜ首相案件と発言したのか」という動機の部分が最も重要なポイントだ。

 それなのに、どういうワケか「加計学園関係者と会ったことは認めるけれど、他の人のことは覚えていないから虚偽答弁じゃない」――なんて、論理のスリ替えにもならない陳腐で奇妙な屁理屈がバンバン報じられるようになり、いつの間にか既成事実化してしまったからアングリだ。

 それもこれも新聞・テレビが何ら批判的な視点を持たず、「柳瀬の方針」などと称する政府・与党の言い分をタレ流し、結果的に虚偽答弁を正当化するためのアリバイ作りに加担していたからだろう。

 「野党や国民の地道な活動によって、ようやくこぎ着けた加計問題の参考人招致を、政権側は幕引きのセレモニーに逆利用しようとした。本来であればメディアがきちんと分析して報じるべきなのに、それを怠ったワケです」(元共同通信記者の浅野健一氏)

 貴重な国会審議を台無しにした責任は大マスコミにもあるのだ。

  

 メディアも野党も安倍政権の描いたシナリオに踊らされている

 そもそも、政府・与党は、柳瀬が加計学園関係者との面会を認めても問題ナシ――と考えていたようだが、冗談ではない。国家戦略特区を所管する事務担当の首相秘書官が、よりによって国家戦略特区を活用して獣医学部新設の申請を検討している、いわば“利害関係者”と官邸で面会していたのだ。当時、獣医学部新設を検討していた京産大関係者は選考過程中に官邸に呼ばれたことは一度もない、と朝日新聞の記者に語っていたというから、行政の手続きとしては不公正、不公平極まりないのは明らかだ。

 まさに「加計ありき」で、前川喜平前文科次官が指摘していた通り、「行政のプロセスが歪められた」証左であり、エコヒイキだ。しかも、柳瀬と会っていた加計学園関係者は単なる事務担当じゃない。きのう(9日)の毎日新聞朝刊は、柳瀬が政府関係者に明かした話として、面会した相手は〈当時の加計学園系列の千葉科学大副学長で現岡山理科大獣医学部長の吉川泰弘氏〉だった――と報じていた。ナント! 現獣医学部長が獣医学部新設について直接、首相秘書官に「陳情」していたワケで、自治体の公共事業担当者に猛プッシュするゼネコン営業マンと変わらない。国家公務員であれば、「ヘタをすれば贈収賄を疑われかねない」と考えて、特定業者とは絶対、面会しないだろう。ましてや、首相秘書官であればなおさらだ。

 にもかかわらず、柳瀬がリスクを冒してまで、なぜ、加計学園関係者と接触したのか。フツーの感覚を持ったメディアであれば、毎日新聞のスクープ報道を後追いするはずだが、多くの新聞・テレビはスルーだったから、加計問題を本当に理解しているのかとクビをひねってしまう。

■ 徹底抗戦から審議復帰した野党も意気地がない

 メディアもだらしないが、野党もグダグダ。森友問題を巡る決裁文書改ざんや、福田前財務次官のセクハラなどの問題が財務省で相次いだのを受け、トップである麻生財務相のクビを取るまで徹底抗戦だったはずなのに、一部メディアから、ヤレ16連休だ、ヤレ17連休だ――などと揶揄されると、あっさり19日ぶりに審議復帰だ。柳瀬が参考人招致で加計学園との面会を認める方針を決めたのが理由らしいが、政府・与党が証人喚問ではなく、参考人招致でお茶を濁そうとしているのはアリアリなのに、なぜ簡単に審議復帰を決めたのかサッパリ分からない。

 大体、安倍首相は柳瀬に対してコトの真相を明らかにするよう指示もせず、「信頼している」とトンチンカンなことを言ってケムに巻いていた。いかに加計問題についてテキトーに考えているのかがよく分かるではないか。

 公文書を改ざんしようが、国会に捏造資料を提出しようが平気の平左の官僚と、セクハラ発言が問題になっても「セクハラは罪じゃない」と開き直る大臣……。

 政治家も官僚もどれだけめちゃくちゃをしようが開き直り、居座る。これほど腐り切った政権はかつてなく、もはや政治の体をなしていないと言っていい。

 元NHK政治部記者で評論家の川崎泰資氏がこう言う。

 「メディアも野党も全くだらしないの一言に尽きますよ。なぜ、もっと徹底的に報道し、追及しないのか。このままだと、『政治決着』という安倍政権の描いたシナリオの通りに物事が進むだけです。国民を愚弄していますよ」

 腐敗堕落政権が振り付けした茶番劇をグルになって支えているのが大マスコミなのだ。
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