阪神間で暮らす-2

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日米蜜月は孤立の道 トランプ隷従の安倍外交への厳しい目

2017-12-14 | いろいろ

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日米蜜月は孤立の道 トランプ隷従の安倍外交への厳しい目

 トランプ米大統領との次回のラウンドで置いてきぼりを食らわないよう、必死に練習しているのか――。10日安倍首相は1カ月ぶりにゴルフを楽しんだが、対米従属の日本が国際社会で孤立化を深めているというのに、全くノンキなものである。

 エルサレムをイスラエルの首都と認定した米国に対し、国際社会は総スカンだ。アラブ諸国だけでなく欧州も猛反発。9日、国連安保理で緊急会合が開かれ、欧州5カ国が会合後、「米国の決定に同意しない」と首都認定に異議を唱える声明を出した。いつもは米国と共同歩調を取る英国も声明に加わったから、いかに異常事態だということかが分かる。

 今回の一件で、世界のリーダーはすぐさま非難の声を上げた。仏マクロン大統領が「決定は遺憾」と言えば、独メルケル首相は「支持しない」、英メイ首相も「和平のためにならず反対」と断罪した。ところが安倍は“盟友”トランプに気を使って沈黙。相手が北朝鮮なら勇ましいのに、米国の国連決議違反にはダンマリを決め込んだ。河野外相は当初、トランプはエルサレムを首都認定したとはいえ、イスラエルとパレスチナ双方が共存する「2国家解決」を支持している、としてその決断を“評価”したのだからのけぞってしまう。

 今回のトランプの妄動は、自らを追い詰めるロシアゲート隠しとも囁かれる。つまりもっぱら国内向けの人気取りだ。

 国際ジャーナリストの春名幹男氏はこう言う。

 「トランプ大統領は選挙戦で世話になったユダヤ系の大口スポンサーに、『イスラエルの首都をエルサレムにする』と約束済みで、ついに実行に移してしまったということです。AIPAC(アメリカ・イスラエル広報委員会)というユダヤ系ロビー組織も強力な支持基盤ですしね。外交では対立勢力の片方に加担するなんて愚の骨頂。しかしトランプ氏は、自らの支持固めのために、あり得ない判断を下したのです」

 保身のために中東の火薬庫に油を注ぐという身勝手な行動。だから国際社会が一致して抗議しているのだが、日本はひたすらポチになって、孤立する米国と一蓮托生の道を選んでいるのだから、どうにもならない。

ノーベル平和賞ICANが「一貫性欠如」と批判

 ノーベル平和賞授賞式を前にしたNGO「核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)」の9日の記者会見も、日本にとって耳が痛かった。カナダ在住の被爆者・サーロー節子氏が、核兵器禁止条約に反対する日本政府を批判。唯一の被爆国の立場を強調しながら、一方で米国の「核の傘」に依存して禁止条約への署名を拒否していることを「完全に一貫性を欠いている」とバッサリ切り捨てた。

 禁止条約は今年9月、署名が始まると初日だけですぐに発効に必要な50カ国に達した。サーロー氏のメッセージは世界中で正論だと受け止められたことだろう。

 元外務省国際情報局長の孫崎享氏は言う。

 「第2次大戦以降、核兵器が使用されそうになる場面がありましたが、使われなかったのは『世論』の監視の目があったからで、『抑止力』の効果ではありません。唯一の被爆国という立場だけでなく、日本の安全保障という観点から見ても、核兵器廃絶で先頭を切ることに大きな意味があるのに残念です」

 これまで日本は、核保有国と非核保有国の「橋渡し役」を自任してきた。国連では1994年から20年以上にわたって「核廃絶決議」の提案を続けているが、今年は棄権国が続出し、決議への支持が減ってしまった。

 日本へ向けられる視線が冷ややかになっているのは間違いない。

親密ならばトランプ追従ではなく鈴を付けろ

 それにしても、だ。安倍はこの5年間、外交を自分の得意分野だと胸を張ってきた。G7では独メルケルに次ぐ古株となり、すっかり世界のリーダー気分。大統領就任前にトランプとの面談に押し掛け、真っ先に懇意になれたからと、G7各国首脳に対し「私がトランプとの付き合い方を教えてやる」みたいに得意満面だった。

 それほど安倍がトランプと親密だったら、自国主義で過激に走る暴君に自制を求めるよう苦言を呈したらどうか、なのだが、安倍にそんな力も覚悟もない。11月のトランプ来日時のゴルフ同様、ただ後ろから付いていくだけだ。そんな安倍に、ASEAN諸国は愛想を尽かし、中国シフトを強め、安倍が息巻いてきた「中国包囲網」は失速した。

 安倍がトランプに便乗する形で北朝鮮に圧力一辺倒なのも、国際社会から冷笑されている。ロシアのプーチン大統領には「制裁は無意味だ。草を食べても(北は)核開発はやめないだろう」と喝破され、中国の習近平国家主席は、安倍が望んだ年内の日中韓首脳会談の日程調整に応じていないという。いやはや、「地球儀俯瞰外交」「積極的平和主義」が聞いて呆れる。金正恩のことはブチのめそうとするのに、中東和平に逆行する米国は例外扱いの二枚舌である。外交の安倍を気取りながら、ボスの靴をなめるだけという隷従のエスカレートで、日本の国益は失われていく。

 「安倍首相はトランプ大統領に対し、『100%一致』と言っています。しかし、外交戦略のないトランプ氏と完全に歩調を合わせて、東アジアの平和が守れるとは思えません。例えば、同じ同盟国でも仏のマクロン大統領はトランプ氏に言うべきことは言い、トランプ氏から一目置かれている。日本もこれまで通り、米国に依存するだけでは、取り返しのつかないことになりかねません」(春名幹男氏)

テロ対象の危険度も増大

 米国が世界の警察官であり、唯一の超大国だった時代ならば、米国の核の傘の下で黙って付いていくだけで日本は守られたのかもしれない、しかし、今は違う。米国は自国の利益しか眼中にない。トランプが日本に求めるのは、貿易赤字の解消と米軍の肩代わりだ。日本なんて米国のサイフぐらいにしか思っていない。

 もっとも安倍も自ら進んで武器を購入して貢ぎ物外交なのだから世話はない。19日には、新しいミサイル防衛システムとなる地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」2基の導入を閣議決定する方針。1基800億円で計1600億円だ。さらには、ミサイル防衛費の一部を今年度補正で前倒しするという。

 トランプに喜んでもらうため、懸命にシッポを振る。経済評論家の斎藤満氏は、「米国は日本に防衛費をGDP2%にまで引き上げるよう要求している。10%になる消費増税の税収5兆円のうち幼児教育無償化などに充てられるのは実質1兆円ほど。残り4兆円は、防衛費拡大に使われるのが関の山」と言っていた。ツケは庶民の大増税だなんて、許し難い。

 加えて、日本の危険度が格段に高まるのである。実際、エルサレムの首都認定の件で、イスラム原理主義組織ハマスは「インティファーダ(反イスラエル闘争)開始」を宣言。アルカイダは以前から米国の同盟国にジハードを呼びかけているから、日本はこれまで以上にテロの対象となりかねない。

 「エルサレムをイスラエルの首都にするという常軌を逸した行動に出たトランプ大統領を、国際社会はもはやリーダー格とは認めない。国際社会が理想を追い求めている中で、そんな米国に追従することに、正義も合理性もありません」(孫崎享氏)

 河野外相が9日、中東バーレーンを訪問し、「日本は中東の安定にもっと貢献していける」と決意表明したという。アラブ諸国は、「だったら先に、安倍首相と蜜月のトランプ大統領に鈴を付けてくれよ」と失笑だろう。世界は日本外交になど1ミリたりとも期待していない。
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