阪神間で暮らす-2

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自公はどう落とし前をつけるのか 万死に値する安倍5年間

2018-03-27 | いろいろ

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自公はどう落とし前をつけるのか 万死に値する安倍5年間

 官僚の矜持はどこへ行ってしまったのか――。自民党の文科部会のツートップ、赤池誠章参院議員と池田佳隆衆院議員が教育現場に政治介入した一件での文科省の対応に、霞が関の中からも失望の声が上がっている。安倍政権に反旗を翻した前川喜平前文科次官への嫌がらせという意図もある明確な“圧力”に対し、当の文科省は唯々諾々と従うだけでなく、名古屋市教委への質問項目を池田に見せて「添削」までしてもらっていたのだから驚愕である。

 公文書偽造という違法行為に手を染めてでも森友文書を改ざんした財務省といい、裁量労働制に関してデタラメなデータを作った厚労省もそうだが、この国の官僚はどうしてここまで狂ってしまったのだろうか。

 背景として今、内閣人事局の弊害がクローズアップされている。

 2014年5月に発足した内閣人事局は、それまで各省庁の判断に委ねられていた審議官級以上の幹部職員600人について、官房長官の下で幹部候補名簿を作成。首相と官房長官を交えた「任免協議」で最終決定する仕組みとなっている。こうして官邸が幹部人事を完全掌握した結果、官僚が過度に官邸の顔色をうかがうようになってしまったというのだ。

 実際、官邸のドーカツ人事によって、将来の有望株が飛ばされたり、更迭された省庁は、外務省、農水省、宮内庁など枚挙にいとまがない。官邸の意向より国民の利益や公平性を重視する、公僕として当たり前の思考のマトモな官僚はパージされてきた。揚げ句には、前川氏のように「出会い系バー通い」と人格攻撃までされる。官邸に牙を向けたらどうなるかわかっているな――という警告だと官僚は震え上がる。安倍官邸による異常なまでの強権人事が官僚をおかしくさせたと言える。

安倍政権には限度がない

 ただ、それは「安倍政権の特殊性」だと言うのは元経産官僚の古賀茂明氏だ。「内閣人事局ができたことは確かに象徴的ではありますが、人事局があろうがなかろうが、安倍政権は官僚を恐怖で怯えさせ“忖度競争”をさせたでしょう」と、こう続ける。

「いつの時代も政治から官僚への圧力はありましたが、一方で両者には持ちつ持たれつの関係もあり、おのずと『ここまではやらない』という限度があった。ところが安倍政権には限度がない。忖度する官僚を引き上げ、逆らえば徹底的に干し上げる。前川氏の例のように、役所を辞めた後でも個人攻撃して潰しにくる。尋常ではない人事権の行使をする。法制局長官を政権の意をくむ人物に代え、憲法違反までやらせてしまうわけですから。それで官僚は恐怖心から国民ではなく政権を向いて仕事をするようになった。加えて、マスコミが安倍首相の支配下に置かれ、監視機能が働いていないことも官僚が政権にすり寄る原因です。以前はマスコミが心ある官僚の駆け込み寺のような機能を果たしていた。官僚の逃げ場がなくなり、政権の言うことを聞くしかない。中には積極的にすり寄って引き立ててもらおうという人も出てくるわけです」

 官僚がヒラメになったことで増長したのが、低レベルな安倍チルドレンであり、その代表格が今回、文科省に圧力をかけた赤池や池田である。国会審議で“アベ様礼賛”質問を繰り返した青山繁晴、和田政宗の両参院議員もそうだが、今の自民党ではイカれた若手がふんぞり返り、その異常さにベテラン議員も文句を言わない。連立を組む公明党もゲタの雪だ。

 かくて安倍はイエスマンをはべらし、悦に入っているのである。

「公」の機関すべてが“アベ様崇拝”の錯乱状態

 安倍政治の5年間でアジア外交もメタメタになった。日本の頭越しの朝鮮半島情勢の急展開がその典型だ。

 安倍は圧力一辺倒で北朝鮮を非核化へ追い詰めると吠えてきたが、南北首脳会談や米朝首脳会談だけでなく、米朝韓首脳会談の可能性まで飛び出してきて、日本は完全に蚊帳の外だ。慌てて、韓国の文在寅大統領に「日朝首脳会談もよろしく」と仲介を頼んだらしいが、「対話のための対話には意味がない」とエラソーだったのは、どこのどいつだ。

 米国のトランプ大統領が北朝鮮の金正恩委員長との会談に前向きになった途端、百八十度の方向転換。安倍の薄っぺらな外交姿勢に文大統領も呆れ返ったことだろう。

 拓大教授の富坂聰氏(現代中国)がこう言う。

「中国も日本をスルーしていますよ。日本は改憲が現実味を帯びてきています。これが5年前なら中国は猛烈に反発し、外国の要人との会談などで日本の悪口を言っていたでしょう。今はわざわざ日本とケンカをする気はないし、眼中にない。独自色なく、米国の後をただついていく日本は、中国にとってどうでもいい国になってしまいました。結局、安倍政権のアジア外交は、できもしない『中国包囲網』という対抗軸を打ち出しただけ。それで何が変わったのでしょうか」

 安倍政治は市場経済も破壊した。異次元緩和を5年続けても、目標とした2%の物価上昇率は達成できず、庶民にトリクルダウンの“おこぼれ”もない。むしろ、日銀が国債発行残高の4割にも達するほどの緩和マネーで市場をジャブジャブにし、年間6兆円規模のETF(上場投資信託)購入で“官製相場”をつくりだしたことで、金融市場は取り返しがつかないほど歪んでしまったのである。

内閣総辞職くらいでは償えない

 こうして外務省も、独立性が担保されているはずの日銀でさえも、安倍官邸の意向に沿って恭順の意を示す。官僚機構を筆頭に「公」の全てが思考停止を超え、アベ様崇拝の“洗脳”に陥ったかのような錯乱状態である。

 上智大教授の中野晃一氏(政治学)はこう言う。

「官僚ではなく選挙で選ばれた政治家がリーダーシップを取る。政治主導こそが民主主義だという考え方は行革や政治改革の議論の中で長年ありました。ただ、それは政党間の競争と政権交代が起きるという『チェック&バランス』の仕組みの中で成立してきたもの。今のように野党が弱体化してしまうと与党を牽制するシステムが働かず、与党の政治家が好き放題やれるようになってしまいました。そんな中で官僚は、政権に絶対的な忠誠を誓わなければ出世できないと萎縮し、言いなりになった。財務省なんて今やこの政権が未来永劫続かないと困るほどでしょう。安倍政権はこの5年間で、立憲主義も法の支配も官僚制も何もかもズタズタにしてしまいました」

 それほどの惨状なのに、安倍も自民党もなりふり構わず突っ走る。

 内閣支持率がガタ落ちした焦りもあるのだろうが、あろうことか22日、自民党の憲法改正推進本部は、自衛隊明記の9条改憲“安倍”案で取りまとめる方針を決めたのだ。

 森友問題で安倍がサンドバッグ状態というタイミングでの暴走であり、党内の反対の声を「一任」でかき消す暴挙。一体、自民党はどういう神経なのかと、多くの国民は唖然だろう。

 自公はこの国がとことんまで劣化し、世界から見捨てられてしまった落とし前をどうつけるのか。もはや内閣総辞職くらいでは償えない。狂気の安倍政権をのさばらせてきた罪は、万死に値する。
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