阪神間で暮らす-2

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安倍政権は嘘ばかり 国民が知りたい南北会談の裏と今後

2018-04-30 | いろいろ

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安倍政権は嘘ばかり 国民が知りたい南北会談の裏と今後

 両首脳とも満面の笑みで手を握り合った。27日、午前9時29分、予定より1分早く、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長がついに歩いて軍事境界線を越えた。板門店で出迎えた韓国の文在寅大統領と右手、左手と交互に入れ替えて何度も固く握手。共に手をつないで、境界線の北朝鮮側に渡る予定外の“サプライズ”演出を披露する余裕まで世界に見せつけた。

 儀仗隊を伴う歓迎式の後、韓国側施設「平和の家」で首脳会談はスタート。南北分断の歴史に新たな一ページが刻まれた。北朝鮮の最高指導者による訪韓は初めて。

 朝鮮戦争後初めて軍事境界線を越え、“敵地”に赴く金正恩について、北朝鮮は党幹部を対象にした教育用資料で、「元帥様が人民のため、命をかけて1人で南側に行かれる」と説明。南北会談を正恩の「神格化」に利用しているが、圧力の拳を振りかざし、融和ムードに取り残された安倍政権は今後どうするつもりなのか。国民が知りたい真相と今後を徹底検証する。


なぜ、北朝鮮は急に歩み寄ったのか。日本のメディアが書かない金正恩の能力と評判

 金正恩は単なる「カリアゲデブ」ではなかった。6月にも予定されている史上初の米朝首脳会談を前に「核・ミサイル実験中止」を宣言。昨年、長距離弾道ミサイルを相次いで発射し、米朝間で緊張関係が一気に高まり、「開戦前夜」などと大騒ぎになった当時がウソのようだ。

 2月の韓国・平昌冬季五輪参加から始まり、電撃訪中、南北会談など、北が一気に融和ムードにカジを切った背景には何があるのか。

 安倍政権は米国を中心とした経済制裁などの「対北包囲網」や「圧力」を要因に挙げているが、全く信用できない。国際ジャーナリストの堀田佳男氏は「核兵器を保有し、米国と対等に交渉できるだけの自信を深めたから」と言う。

 つまり、インドやパキスタンと同じ核保有国となった今、核・ミサイル実験を行う必要性は乏しく、近隣諸国をこれ以上、刺激して自国を窮地に追い込んでも意味がない。それよりも、米朝会談に前向きなトランプ米大統領から有利な条件を引き出したい――。金正恩の狙いはここにあるというのだ。

 これまで、日本メディアの多くは金正恩を“狂人”扱いしてきた。しかし、最近の外交姿勢を見る限り、シタタカな側面が随所に垣間見える。26日のロイター通信も、金正恩の人柄について「悪賢い指導者」と評していたが、南北会談も米朝会談も、金正恩が描いたシナリオ通りに進んでいるように見える。

「日本では、金正恩の危うい人物像ばかりが注目されていますが、海外メディアでは『合理的な判断をする人物』との論調もあります」(国際ジャーナリスト・春名幹男氏)

 北朝鮮が制裁に音を上げて対話を持ちかけたというのは、安倍政権にとって都合のいい見方に過ぎないのだ。


「圧力」一辺倒で来て、今さら「拉致でお願い」の安倍外交の醜態

 頭越しに金正恩との会談を決めたトランプ大統領の別荘にわざわざ出向き、「拉致問題を取り上げて」と懇願。南北会談直前の24日には文在寅韓国大統領に「拉致をお願い」と電話で泣きつく。安倍首相は昨年9月の国連演説で、「対話による(北朝鮮)問題解決の試みは、一再ならず、無に帰した」と豪語したが、今のみっともない姿はとても同じ人物とは思えない。

 安倍は北に対する「圧力」一辺倒の姿勢を散々政治利用してきた。モリ・カケ疑惑で昨年、支持率低迷にあえいだ頃、北が太平洋に向け弾道ミサイルをぶっ放すと、もっけの幸いとばかりに早朝から不穏な音のJアラートをかき鳴らした。

 弾道ミサイルを想定した政府主催の避難訓練も、昨年度は北は北海道から南は鹿児島・徳之島まで25自治体で実施。農家のオジサンを用水路にはいつくばらせ、頭を抱え込ませるバカバカしい光景が各地で繰り広げられた。

 こうして国民の不安や危機感を煽りまくった揚げ句、北の脅威を「国難」と称して解散・総選挙を断行。勝利を収めた直後、麻生財務相は「明らかに北朝鮮のおかげ」とまで言ってのけた。

「いざ東アジア情勢が緊張緩和へ劇的にカジを切ると、悪目立ちの対北強硬路線がアダとなり、日本だけが蚊帳の外。政権復帰から5年間も安倍首相が『最重要課題』に掲げたはずの拉致解決も、圧力一辺倒で北との外交ルートを失い、就任1年足らずの文大統領に頼み込む情けなさ。嫌韓反中の外交姿勢で両国との良好関係も築けず、今や八方塞がり。何ごとも好き嫌いで決めてしまう安倍政治のツケです」(高千穂大教授・五野井郁夫氏=国際政治学)

 安倍外交の醜態は自業自得なのである。


急転直下の展開でよく分かったテレビ専門家のトンチンカン

 米中両大国の向こうを張って交渉テーブルに着かせ、急転直下の展開に持ち込んだ金正恩。バランスに長けた大胆かつ冷静な外交戦略は、圧力バカの安倍の単細胞外交をあざ笑うかのような狡猾さとしたたかさだ。日本のテレビ専門家たちが、しきりに流布したイメージとは百八十度異なる。前出の五野井郁夫氏はこう言った。

「日本のメディアはこぞって金正恩委員長を側近を平気で殺す“狂った3代目”のように扱い、予測不能な戦争屋として『交渉しても意味がない相手』というレッテル貼りを続けました。ミサイル発射のたび『圧力しかない』との前提に立ち、安倍政権の強硬姿勢とそれに伴う軍拡路線をアシストしてきたようなものです。冷静に考えれば、北が対米戦争を仕掛ける可能性はゼロに近いのに、専門家たちまであり得ない想定に基づき、安倍政権の圧力路線に便乗して北の脅威を煽ったのです。彼らの話を聞いても、北朝鮮の実情は何ひとつ掴めないことが、よく分かりました」

 南北会談の実現はメディアが作り上げた金正恩へのトンチンカンな印象操作の瓦解を意味する。訳知り顔の専門家を信じ、今なお安倍の強硬姿勢に騙され続けている国民は、そろそろ目を覚ました方がいい。


北朝鮮の非核化、これが現実的なシナリオ

「平和実現に向けて段階的で歩調を合わせた措置を取るなら半島の非核化は実現できる」――。金正恩は中国の習近平国家主席との首脳会談で、こう断言した。

 カギは「段階的で歩調を合わせた措置」のくだりだ。これは中国が主導した6カ国協議で、朝鮮半島の非核化と平和構築について明文化した2005年9月の共同声明に盛り込まれた〈約束対約束、行動対行動で段階的に進む〉を意味する。つまり、金正恩は「段階的な非核化」であれば実現可能であり、過去には米国や韓国、日本も同意していたではないか――というメッセージを発しているのだ。

 元韓国国防省北朝鮮情報分析官で拓大客員研究員の高永テツ氏はこう言う。

「この『段階的な非核化』が時間稼ぎではないか、と批判的に見られているワケですが、現実問題として、いきなりのCVID(完全かつ検証可能で、不可逆的な非核化)の実行は難しい。IAEA(国際原子力機関)の査察受け入れから始まり、具体的なロードマップを作り、一歩ずつ進むしかありません。そうして共同声明の『約束対約束、行動対行動』の原則に沿って、北への経済支援なども行う。そうやって南北関係だけではなく、米中日ロが北との信頼関係を醸成し、平和体制を構築する以外に現実的な非核化のシナリオはありません。北にとっても大きく経済成長するチャンスであり、体制維持のためにも悪い話ではないはずです」

「北は絶対に核を手放さない」との声もあるが、中国国内では、中朝国境に北の核を保管、封印する倉庫をつくり、5カ国共同で監視する――といった意見も広がっている。いずれにしても、金正恩が「もはや核を持つ必要はない」と思うまで地道な協議を続ける以外にない。


北が核放棄、平和条約となれば日本の安全保障はどう変わる?

 南北会談で非核化と並ぶもうひとつのキモは、1953年に米軍中心の国連軍と朝鮮人民軍、中国人民義勇軍の3者が調印した「朝鮮戦争」の休戦協定に区切りをつけ、平和条約へと転換する道筋をつけられるか、だ。

 仮に北が核放棄、平和条約締結をスンナリ受け入れた場合、これまで北に対して「対話のための対話はしない」「最大限の圧力が必要」と拳を振り上げてきた日本の安全保障はどう変わるのか。

 元外交官の孫崎享氏は「まず、休戦協定の当事者は南北だけではなく、平和条約までこぎ着けるには米国の同意が欠かせない。核放棄と同様にハードルが高いでしょう」と前置きした上で、こう続ける。

「北が平和体制の構築へとカジを切れば、日本の安全保障も当然、見直しを余儀なくされるでしょう。これまで『北の脅威』を理由に迎撃ミサイルや在日米軍などを拡充してきたわけですからね。本来は日本も早い段階で北との対話交渉に乗り出すべきですが、安倍政権は圧力一辺倒を主張してきたため、対話のルートを何も持っていません。

 今後、どう展開していくか分からない朝鮮半島情勢に対して明確な外交方針も戦略もない。頼みの米国も『日本は黙っていろ』というスタンス。ポンペオCIA長官と金正恩との会談が日本政府に対して事前に何ら知らされていなかったのが証左です。対米従属の日本の安全保障の仕組みを見直すべき時が来ているのです」

「困ったときの北頼み」の安倍無策外交も終わりだ。


それでも予断を許さない悪夢のシナリオの可能性

「非核化するまで補償はない」。強硬路線から対話路線にカジを切った北に対し、トランプ政権が繰り返し言い続けているのが、核放棄先行、補償は後――という「リビア方式」の受け入れだ。

 リビアのカダフィ大佐は2003年、米英両国との水面下での交渉を経て、核を含む大量破壊兵器の放棄を宣言。核施設の公開や弾道ミサイル廃棄に応じた。ところが、カダフィは11年、米欧が支援する反政府勢力によって殺害された。

 北の機関紙「労働新聞」は〈米国の誘惑と軍事的恐喝によって銃床を下ろすことが、どれほど残酷な結果を招くかはイラクとリビアの悲劇的現実が物語る〉と報じていた。米朝会談で北が主張する「段階的な非核化」が受け入れられなければ、たちまち「交渉決裂」となりかねない。そうなれば、どんな展開が待ち受けているのか。外交評論家の小山貴氏はこう言う。

「トランプ大統領は北に対して綿密な外交戦略を持っているわけではありません。米側の要求が金正恩委員長に早々に突っぱねられて感情的に陥り、『軍事行動だ』などと言い出す可能性は十分あります」

 駐豪大使に指名されていたハリス太平洋軍司令官が急きょ、駐韓大使に起用される見通しになったのも不気味だ。「米軍はいつでも動ける」という北へのプレッシャーとも受け取れるからだ。

「交渉決裂の場合、11月の中間選挙を控えたトランプが低迷する支持率の回復を狙って北の空爆に踏み切るかもしれない。当然、北は反撃し、韓国、日本も巻き込まれるでしょう」(高永テツ氏=前出)

 言うことが全く信用できない安倍政権が続く限り、交渉からは蚊帳の外で、戦争リスクだけが高まっていく。悪夢のシナリオを回避するには安倍退陣が最低条件だ。
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