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雀の手箱

折々の記録と墨彩画

九国博の「阿修羅展」

2009年08月25日 | 雀の足跡
 思いがけない巡り会わせで、24日の月曜日、休館日の展覧の特別招待に出かけることができました。
 九国博が体に障碍のある方たちのために、混雑を避けて拝観できるようにと、初めて企画した思い遣りの招待です。事前に予約された駐車場も空いていて、並ぶこともありません。
 午後からの時間を3回に区切って調整されていました。私はITサークルの友人の介助者として出かけました。
 九州自動車道も工事は進められながらも開通していて支障なく、好天にも恵まれ、2時の指定時間には、渋滞にも無縁で1時間余りで到着です。
 豪雨がもたらした土砂崩れによる高速道の封鎖と、報道される混雑ぶりをみて、頂いていた招待券は人にあげ、行かないことに決めていました。
 九国博のホームページを見ていてこの企画を見つけ、「観たいのだけど混雑が大変のようだから」と嘆いておられたKさんに報せたところからこの幸運に恵まれました。
 私達のグループは30名くらいで、車椅子の方が多かったようですが、休日返上のスタッフのお世話も行き届いていて、まるでVIP待遇と二人して感激と感謝を繰り返しながら、広い会場をゆっくり思いのまま行きつ戻りつ、心ゆくまで1時間半掛けての鑑賞ができました。

 阿修羅像がこれほどのブームを呼んで一際人気が高いのも、153センチと言う等身大で、あどけなさの残る天平の美少年の姿が、どこか憂愁のかげを漂わせる表情は確かに日本人好みです。
 微妙にずれる三つの顔の目の位置は、怒りと哀しみのぎりぎりの境界に留まって、向って左側の下唇をかむ顔が観る者のまざまな思いを誘って三面の顔で人それぞれの物語が生まれます。
 腰でたくられて折り返された裙の写実的な襞の流れと文様、そして腕釧と首の瓔珞とは、ペアのデザインでなかなかのお洒落です。一人占めで対面する時間もあり、じっくり拝観しました。八部衆中ひとり素足にサンダル履きで甲冑を纏うことのない興福寺独特の阿修羅像は、記憶の中の像よりもずっと華奢な細身で悲しげでした。   





この項、続く

補注 八部衆=仏法を守護する八神。詳しくお知りになりたいときはwikipediaでご覧ください。