星組公演「霧深きエルベのほとり」を観劇しました。
劇作家・菊田一夫が宝塚歌劇のために作った作品で
何度か再演されています。
水夫のカール(紅ゆずる)と
名家の令嬢・マルギット(綺咲愛里・きさきあいり)の
‘身分違いの恋’の物語。
現代にも通じるテーマではありますが、
セリフの言い回しの古さが気になりました。
まさか初演(1963年)のまんまですか?
たとえば、カールが使う「気が差す」。
オバさんの私ですら聞いたことなく、死語では?
(調べてみたら‘後ろめたい’とか‘気がとがめる’という意味らしい)
カールのプロポーズを受け入れたマルギットが
「毎年新しい‘着物’が欲しい」とカールにおねだり。
え?着物?
ふつう洋服とかドレスじゃない?
今着物といえば和服のことですから、
ドイツのお話に和服が出てきた、みたいな
ちぐはぐな感じを受けました。
‘着る物’という意味で使われていることはわかるけど・・・
今時‘着物’は使わないです。
そうした脚本の古さはあるものの、
マルギットの邸宅であまりに場違いな自分を知り
「自分と結婚したら、マルギットは幸せになれない」と
姿を消したカールの気持ちはわかるし
それでもマルギットを好きでしかたがないカールが
酒場の女・ヴェロニカ(英真なおき)に本心をぶちまけて
膝で泣き崩れるシーンには涙を誘われました。
専科の英真(えま)さん、
いつもいい仕事してますよね~。
よしよしと慰める元星組組長の英真さんに
べにちゃん(紅ゆずる)が甘えているかのようでした。
演出の上田先生は、かつて
雪組で上演された「星逢一夜(ほしあいひとよ)」(主演・早霧せいな)という
藩主の息子と百姓の娘との身分違いの恋を描いたお話を作、演出し
好評を博しました。
‘身分違いの恋’は先生のツボなのかしら?
はさておき
女性ならではの細やかな演出で
余韻の残る「霧深きエルベのほとり」。
個人的にはすごくよかったです。
かと思えば
古くささを吹っ飛ばすかのごとく
大階段を使い華やかに繰り広げられる
プロローグのビア祭のシーンは
まるでショーを見ているよう。
上田先生が放つ‘古典’への挑戦だったのでしょうか。
さて。
春は別れの季節。
24日の東京千秋楽をもって
3番手スター・七海(ななみ)ひろきくんほか
3人のジェンヌさんが退団しました。
退団者にはたいていそれぞれ見せ場が用意され、
加えてひろきくんには
「みんな、あばよ!」という退団リンクのセリフが・・・
カールの妹との結婚が決まり、
水夫をやめてカールの田舎に去っていく場面、
このセリフとともにドアから出て行くトビアスに
ファンはきっと号泣だったことでしょう。
(わかる~)
(千秋楽を控えた前楽での観劇でしたが、
トップスター退団公演ではないのに
劇場内白服率が非常に高かったのは
ひろきファンがそれだけ多いということ。
ファンにとっても特別な
長く寂しい1日、
お疲れさまでした)
星組の組子たちを星になぞらえたショー・
「ESTRELLAS エストレージャス~星たち~」は
星だけに
衣装も舞台もライトも超キラキラ。
2階席前方真ん中での観劇だったので
レーザーライトの全体も見渡せ
いつも以上に非現実の美しい世界に
テンションが上がりっぱなしでした。
中でも一番心震えたのがデュエットダンス。
MISIAの曲「逢いたくていま」が流れる中
こんなにもラブラブなデュエットダンスは初めてかもな
幸せそうな二人に泣けてきました
愛おしそうに
相手役の愛里ちゃんを見つめるべにちゃんの眼差しを見ると
添い遂げ退団はなるべくしてなった
信頼し合う二人なのがよくわかりましたよ。
何度でも見たい、と思える
最高のデュエットダンスでした。
べにちゃんがトップスターになってから
初めての観劇となった今回。
観劇率の低さは
単にべにちゃんと愛里ちゃんの顔立ちの好みから。
ごめんね、べにちゃん、
完全に食わず嫌いでした~!
考えてみれば
過去観た舞台でも
キザリを含めた男としての仕草が自然で
いちいちサマになっていて
男役道を追求しているんだな、と思えるし
カールという役に一生懸命取り組んだことが感じられ
好感度がぐ~~んとアップ。
「紅ゆずる」観がガラッと変わった気がします。
‘紅ゆずる応援宣言’してもいいくらいで
次の公演が楽しみになりましたが、
すでに退団が発表されていますから、
チケット争奪戦、激戦必至
あのデュエットダンスは
なんとしてでも観たいんですけど。
(やっぱり今日もながながと・・・
自分の観劇記録として残したいので。
興味のない方、ごめんなさい)