僕が感じるほどに
君の心は動かない
君が気づくことに
僕は無関心だ
僕に見えるものを君は見ず
君に聞こえるものを僕は聞かない
そうなんだよ
誰もがみんなひとりよがり
それで気分を悪くする
ばかげた話だ
僕が感じるほどに
君の心は動かない
君が気づくことに
僕は無関心だ
僕に見えるものを君は見ず
君に聞こえるものを僕は聞かない
そうなんだよ
誰もがみんなひとりよがり
それで気分を悪くする
ばかげた話だ
もう
まだ
試されるとき
波立つ水面の
空気の酸素なら上
水中の酸素なら下
人なら空気
沈むか
干上がるか
鍵はひとつ
上か下か
さあ
君よ
まだだろ
回すだけだ
僕が
死んだら
僕を
絶滅した恐竜のように
骨を拾い集めて
再現するな
ピラミッドに眠る
ミイラのように
形を残すな
断片と化した僕の身体を
風の強い日に
空へ撒け
空に散り
風となり
願わくば鳥に
好き放題してきたと
巷に言われる
が
そんなはずあるわけない
好き放題なんて
誰もできるわけじゃない
見えてもそれは虚数
実態のない数字と同じ
世間は虚数が好きだ
何でも言える
実在しないのだから
いいや
虚数は虚数の居場所があるのだ
長屋の続く細い路地に
見事な薔薇が咲いている
誰もが知らなければ
薔薇は実在しない
でもそこに堂々とあるじゃないか
今 目の前にあること が
一番大切なこと
今 目の前にいる人 が
一番大切な人
花が蕾であっても
咲いても 散っても
その時が一番美しい
そうでなければ
いつ生きるのだ
今を重ねて
今がある
急いでも
今を越えることはない
過ぎた今は化石
いつか
今の今が化石になる
その時は
横になり
できれば空だけを見ていたい
今のところ
死を見たり聞いたりしても
それほど心は動かない
もう一歩二歩近づけば何か変わるかもしれないが
今のところ変化はない
思いあがって死など何ともないと誰に言ううことでもないが
願わくば不意にやってきて姿を現すまでもなく神隠しのように連れて行ってもらいたい
行く先は知らぬ方がよい
生きているうちにあれこれ考えてきたのであの世のことまで頭はまわらない
今のところ
まだ精いっぱいなのだ
幾人もの人がそうであるように
くたびれた長椅子に座ると
張付けの刑
もうどこへも逃れることはできない
壁の向こうに医師と看護師
透かした一枚の画像
判決の宣告
時間が鉛玉のようにぽたりぽたりと落ちてくる
明日も生きるために来た
名前が呼ばれるまで
じっと待つ
ー光る街は嫌いだ
ぽつりと言葉を垂らす
黙っていると
ー光らない街がいい
そう続けた
身動きひとつない
目はずっと遠くを見ていた
僕は思っていた
光る街も光らない街も同じだと
彼よりずっと退廃的だった
苦しみで破れそうになる時
胸の形は変わらなくても
しまってある心はパンパンに膨れている
吐き出す言葉の波は荒れていて
思いもしない土砂が混ざったりもする
散々吐いた後
きれいになったかといえば
疲れただけで
空虚さが
一枚積み重なっただけ
また張ってくる
胸の形は変わらなくても
しまってある心が
いくら吐いても
張ってくる
また吐き出す
その時がやってくる
ただできるだけ
土砂が混ざらないように
川が濁ってしまうから
苦しみ理解しあい
痛み分かち合い
同じ希望を共に持っていたとしても
人はまたそれぞれ
おのずと違う
そのひとのあたまのなかにはべつなせかいがあって
そのひとはいつもそこにいる
ときどきそこをでて
しょくじをしたりあいさつをする
そのひとのはははずっとよりそい
ずっとそのひとのことをかんがえてきた
いまもそのひとのことをじっとみつめ
やさしいかおはしんぱいしている
そのひとはまちではじろじろとみられる
いつもなにかぶつぶついっているからだ
とつぜんわらったりもするので
ともだちはいない
まいにちべつのせかいでひとりだけど
はははそのひとのためならなんでもするので
人はあつまるんだけど
ともだちはできない
ひとりひとりみんなちがう
そのひともほかのひととはちがう
でもおなじにんげん
どうしてそんなめでみるんだろう