人間の苛立ちを掻き立てる昆虫。
夏に、特有の翅音を立てて飛んでくる不快さはひときわである。
人間の肌に円筒状の口吻を刺し、血を吸う。吸われた後の皮膚は、蚊の唾液に反応してアレルギー反応を起こし、異様にかゆい。
ほんの少しとは言え血を奪われ、後に不快な症状を残していかれることに、人間は時に憤慨する。このほとんど15ミリ以下の小さな虫を駆逐するために、様々な製品を作る会社が繁栄していることに、彼らがどんなに人間を苦しめているかがわかる。
小さな虫だが、構造はすばらしく、神の表現としては実に巧みである。生き物の中ではほとんど最小限の機能をもたせ、実に巧妙にできている。
だが、人間の徳分の向上により、蚊の害は減少しつつある。彼らによる苦しみを味わわねばならないのは、霊魂に野生の色を残した人間のみである。向上した霊魂を持つ人間は、ほとんどこの昆虫に悩まされることはない。
その点で、人類の向上の一つの道しるべと言える存在である。ゴキブリの存在は、人類に罪の影があることを教えるが、カの存在は、人類に野生の影があることを教えるのである。
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