大相撲

大相撲についての想い

安治川親方

2006-08-30 23:56:21 | Weblog
安治川親方がけいこ場で泥だらけの白鵬に「朝青龍のところに、自分から進んでけいこに行きなさい。自分もそうして上がった」とアドバイスしたとのこと。久々にこの親方の肉声が聞こえてきた感じだ。

引退後、大相撲中継の解説者としてあまりにも冷ややかにはき捨てるようなコメントをするためにすっかりそのイメージが染み付いてしまったが、この人、実は結構面白い人なんじゃないかと思っていた。大学中退して漁師になっちゃって、そこから角界入り。ぜんぜん稽古しないんだけど目茶目茶強くってとんとん拍子に番付を駆け上がる。そんな彼も横審・協会の執拗な見送りを受け、なかなか横綱に上がれない。すい臓も発病する。こういったことを乗り越えて誰にも文句を言わせない二場所連続を遂げて、横綱をつかむ。もうこのときには相撲寿命はかなり使い果たしてしまっていて、短命に終わるが、不知火型の土俵入りは立派だった。

ひょうひょうとした感じが、なんとなく、本当は面白い人なんではないかと思わせる。弟子の四股名のネーミングセンスは激悪だが。

実は個人的には、白鵬の体型は旭富士に似ていると思う。腹の出具合と胸板があまり厚くないところ、やわらかくて相手の圧力を吸収してしまう体。よく白鵬は大鵬の体型に似ているといわれるけれど、私は白鵬に対して以前からずっと旭富士の面影を感じていた。

そんな安治川親方の激励、白鵬はいろんな人から期待されて大相撲界の宝だ。安治川親方はもう数年早く、同門の大関に同じセリフで指導していたら、とっくの昔に東西に横綱は並び立っていただろうに。 
 

大相撲3.0

2006-08-27 22:37:34 | Weblog
既にやや使い古され始めている言葉だが、「Web2.0」に対応して、大相撲2.0を考えた上で、その先にあるべき大相撲3.0が何か、考察してみたい。

Web2.0が、Webをプラットフォームとした上で、①ビジネスモデルの進化(ロングテール)、②情報流通の進化(顧客主導・参加型情報発信)、③技術の進化(API公開など)が柱となって成立していると仮定した場合に、大相撲2.0がどういう姿になるのか、Web2.0とのアナロジーで考えてみたい。

ロングテール: 
 コンテンツの価値のロングテール:
  国籍を問わず、さまざまな体格と得意技の力士同士の対決が幕内・十両・幕下それぞれのランクで手に汗を握って楽しめ、多様な角度から大相撲の魅力が提供される
 (施策例)
  ・入門者の海外・国内からの広範な拡大、そのための前提となる雇用条件及び生活環境の向上及び部屋別競争原理の導入
  ・指導者の指導力向上
  ・「伝統」「相撲道の心」の定義明確化と共有・浸透
  
 サービスのロングテール:
  観戦の時間帯、お客様の場所(地域)を問わず観戦が可能であり、大相撲の造詣の深さに応じた大相撲の楽しみ方ができるよう、中継及び本場所での情報提供がされる
 (施策例)
  ・開催時刻の見直し
  ・中継をデジタルコンテンツ化して配信(いつでも見られるようにするとともに、内容をメタ化してさまざまな角度から見たい取組みや知りたい情報を自由に検索できたり、大相撲の知見レベルの応じた見せ方のバリエーションを組める仕組み)
  ・贔屓の力士や好みの展開に応じたお薦め機能(デジタルコンテンツと連動)
  ・本場所会場での情報提供と、携帯端末との連動
  ・中継・運営の多言語化の拡大
  ・協会のプロの広報
  ・中継の構成や伝達内容を前例としがらみにしばられずに進化させるメディア
  ・プロの実況・解説者の育成・獲得

  チケット入手のチャネルは拡大し、webを通じた購入がより便利になる。他方で、顧客は層別管理され、ロイヤル顧客に対してはチケット獲得への優越的地位が与えられる
 (施策例)
  ・前売り券入手方法の電子化
  ・前売り発売(特に当日)のオペレーションの高度化
  ・チケットペーパーレス化
  ・購買履歴に基づく優先枠の設定(しがらみ・コネに基づく優先枠はいったん廃止)

 顧客基盤のロングテール:
  顧客は長年の日本人・在住大相撲ファンから、広くスポーツ愛好家を対象としてファン層が拡大し、やがて海外を含めた、大相撲への接点が全くなかった人に対して競技としての価値を訴求し、全世界にファン基盤をもつ。リアル・バーチャル双方の視聴者(本場所に物理的に足を運ぶ視聴者、各種メディアを通じた中継を視る視聴者、の両方を含む)
 (施策例)
  ・多言語化
  ・初心者への紹介ぶりの確立
  ・世界各地での競技団体のネットワークの確立
  ・デジタルTVでの放送・コンテンツ配信
  ・携帯端末での放送配信
  ・デジタルTV・携帯端末など進化したユーザーインターフェースにおける新たな実況や伝達方法の開発


顧客主導・参加型情報発信:
  いわゆるCGMは上記ロングテールが達成されれば自然拡大すると考えられる。
  むしろ協会側が顧客側の声をいかに取捨選択しながらオペレーションに反映させていくことができるか(NHKに対する主導権も含めて)がカギ
 (施策)
  ・手近なところでは、実況・ゲスト・中入り特集などについてのお客様の声が反映された形での運営
  ・三賞選考へのファンの関与(Webを通じた参画)
  ・部屋別・力士個人の、Webを通じて寄せられる顧客の声への反応力強化や、Webを通じた双方向コミュニケーションの推進
  ・一般大衆の横綱審議委員化(現行の横審は廃止)

技術の進化:
  進化した技術を活用し、新規顧客逓増の仕組み造りと顧客獲得コスト極小化を図る。また、訴求価値の高度な技術は取り入れてマッシュアップしていくことで、お客様接点の満足度を高める
 (施策例)
  ・XMLベースのバナーをファンのサイトやブログに貼ってもらい、新規顧客開拓や協会サイトへの誘導に貢献した者に対し、力士とのふれあいの場の提供や、大相撲グッズの供与、チケット購入優先権を提供する
  ・グーグルマップと連携し、リアルタイムで最寄の稽古見学をしている相撲部屋の位置がわかったり、特別企画を行っている最寄のちゃんこ屋が表示されたりする仕組みの構築
  ・過去の本場所の展開をメタ言語化して整理し、各場所の展開や話題に応じて、コンテクストで検索して楽しめる仕組みの構築(例えば、「入幕一年未満の若手力士が三役以上の力士を三人以上倒して優勝争いをした場所の十四日目の幕内後半戦の取組みのうち、引き・叩き以外で勝負がついた取組み」が検索できる)


大相撲3.0は?
大相撲2.0が実現できた世界では、次に大相撲が進む方向は何か?
まず大相撲は間違いなく今のサッカーやベースボールに肩を並べるグローバルスポーツの頂点にいるであろう。FIFAに該当する日本相撲協会が世界相撲協会に呼称変更し、2.0の機能を有する日本相撲協会のプラットフォームを各国の相撲協会(これが段々に世界中で形成されているという想定)に貸し出し、各国では力士の強化とファン層の拡大をプラットフォームを通じて展開する。世界相撲協会は世界各地での本場所及び巡業開催を主催し、場所ごとに新たな力自慢が登場して次々と番付を駆け上がり、大相撲は世界の格闘技の総本山となる。また、explicitに定義された「伝統」と「相撲道の精神」が多言語化された上で世界各国に浸透し、サッカーのフーリガンのような層は存在していない(相撲の心がわかっていないと番付が一定以上は上がれない仕組みが前提)。次第に世界中の教育プログラムでも相撲が体育課程で取り入れられるようになる。世界最高のもののふが集まった力士たちは巡業の合間の社会貢献活動や草の根交流も広めていく。年寄名跡数は現状のままだが、外国籍力士にも年寄襲名は公開され、いくつかの相撲部屋は海外にも設立されるほか、今の世話人・若者頭が格上げになって、海外に設けられる相撲部屋支部での指導にあたる。デジタルTV・携帯端末での懸賞が、グローバル企業の広告手段として一般化する。お茶屋はバーチャルな進化した機能と、ヒューマンタッチなサービスを組み合わせ、今とは全く存在感の異なる企業体として、大相撲周辺ビジネスを仕切っており、また、ファン層拡大に寄与している。

つづく(...予定にして未定)

以上、未定稿。

雑感・八月二十五日

2006-08-25 08:16:32 | Weblog
月曜は番付発表。やっとここまでこぎつけたか。

個人的な興味は①西の小結が把瑠都か黒海か②入幕の最後の一枠が霜鳥か安壮富士か。

しかし相撲雑誌の一つはすでに番付内容を知っていて印刷かけていて月曜に発売というのがいつものパターンだから、いつもこういうとき思うのは、当の本人たちは知っているのかどうか。

黒海なんか、東欧勢の先駆者なのに、把瑠都にも三役を抜かれるのを既に知っていたら相当ブルーだろう。安壮富士もなかなかないチャンスだけに、もし入幕内定しているのを知っていたら、きっと妙にご機嫌なんだろう。

一部の業界関係者だけが何らかのルートを通じて、番付という力士にとっての生殺与奪につながる情報を事前に知っているというのは何となく釈然としない。とはいえ大相撲情報は常に不足気味なので雑誌が早く出てくれるのは嬉しいのだが。

力士は猛暑の中、台湾に行ったりして結構疲れがたまっているだろう。怪我人の少ない秋場所になるといいが。


台湾巡業の展開からの考察

2006-08-24 01:53:49 | Weblog
台湾巡業、開催前に、二日間の興行で、各日の優勝者によって総合優勝が争われると聞いた。

このとき、二日とも同じ力士が優勝しちゃったら総合優勝戦がなくなって興ざめだろうなあと瞬間的に思った。

で、朝青龍が圧倒的な強さを見せて二日続けて優勝しちゃうかな、とも思った。だけど同時に、朝青龍は本場所で万が一同じセッティングがあれば容赦なく優勝しちゃうだろうけれど、その辺はわきまえていて、どっちか一日優勝して、もう一日は誰かにゆずって、でも最後は総合優勝は持っていくっていう流れかな、と思ったらどうやら本当にそういう展開だったらしい。

勿論八百長するとかいうことではないのだけれど、なんとなく初日に優勝しちゃったら二日目はそれほど気合も乗らず、むしろ体力温存して着実に総合優勝を狙い、二日目優勝は誰かに譲って、興行的にも盛り上げるって感じかなと思ったわけだ。横綱も賢い人だから、その辺はちゃんとわかっているんだな、と。「朝青龍が強すぎて大相撲はつまらない」とか安易に言う人がいるけれど、まったくの誤り。まず、横綱はその辺の酸いも甘いも噛み分けた上で、最後に総合優勝して満面の笑みを浮かべるという、大人の余裕が出てきている。彼の笑顔はいいと思う。一つの世界を代表する男の笑顔としては上出来だ。そして、大相撲が朝青龍が強すぎるだけの戦線でないことはちょっと見れば明らか。

それと、白鵬が最近殆ど横綱に対して勝っているから、朝青龍が本気でやっても二日連続の完全優勝は難しいのかなという思いも多少はあった。

台湾巡業の詳細は全然伝わってきてないのでよくわからないが、白鵬の話題が殆ど聞かれなかった印象がある。二日目の優勝は栃東だった。白鵬はどうしちゃったのだろう。もちろん、今調子が良すぎるのも正念場の秋場所に向けて逆に不安要因になったりもするから、それでいいのだが、どこかを痛めたりしているのでなければよいというだけだ。

この次に話題になったのは千代大海だった。なんでも父方の祖父が台湾出身だか台湾で事業を営んでいるだかで、地元人気が沸いたらしい。中華系の方々が同じ民族の血が少しでも入っていたり、何らかのゆかりがあったりする人に対して贔屓するのは有名な話で、これ自体は驚く話ではない。大関は「でも本当はよくわからないんだけど」と言っているようだ。ちょっと引っかかるコメントである。

下世話な話になりかねないが、千代大海関は肝っ玉母さんの母上がおなじみだけれど、幼い頃に両親が離婚しその父は比較的直後に亡くなっているはず。ここでいう「父方」が生父なのか今の義父なのか。連絡もとれない生父だから「よくわからない」のか。でもそれだと千代大海は中華系又はいわゆる「本省人」の血を引いていることになる。だけどこれまでそういう事は聞いたためしがない。他方、義父の父だからよくわからないのかもしれない。だけど、普通、生母が再婚した相手の父を「祖父」という言い方はしないから、ちょっと違うようにも思う。ということで大関のコメントはどちらにしても解釈に迷うのだ。

とにかく、その地元の人々の応援もあってか(当然「加油」という声援があったはずだ)、千代大海は二日目は栃東についで準優勝だったらしい。名古屋場所、人が変わったように中身のある相撲で前半戦を突っ走り、途中怪我して再度人が変わってしまって、勝ち越しがやっとの成績になってしまった千代大海。どうやら元気が戻ってきたようだ。一時期、稽古しないことで有名になり師匠も匙を投げ、先場所は露鵬に喧嘩を売ったりと色々あることはある千代大海。でもなんとなく色々な報道やメディアへの露出を見ていると、ナイスガイのように思える。更生した悪ガキというのはだいたいそうなのかもしれない。こういう人がもう一花咲かせると面白いし、「大相撲は人生の縮図」というのがまさにそうだなと感じることができそう。だから先場所の活躍→失速でもうモティベーションを失っていないか心配だったのだけれど、意外に元気なようで安心した。何かしでかしてほしい。

行脚

2006-08-21 23:58:16 | Weblog
台湾巡業が興行的に成功したようで何よりだ。
協会は味を占めて、周辺各国行脚を考慮しているらしい。次の候補地は報道によればサイパンだと。それも結構なことだろう。

なぜモンゴルが候補にあがらないのか。

この際、そういう活動をするなら真剣に、各国で大相撲の根が付いて、世界中で大相撲が競技として行われるようになり、それを日本相撲協会が取り仕切るように路線を敷けば、大相撲の行く末はさらに発展するのではないか。

ということで海外巡業のイベントのほかに、現地での指導、現地での組織作りのためのネットワーキングなど、そういう活動もセットでやればいい。そういうものの一環で周辺各国行脚があればいい。