大相撲

大相撲についての想い

大相撲3.0

2006-08-27 22:37:34 | Weblog
既にやや使い古され始めている言葉だが、「Web2.0」に対応して、大相撲2.0を考えた上で、その先にあるべき大相撲3.0が何か、考察してみたい。

Web2.0が、Webをプラットフォームとした上で、①ビジネスモデルの進化(ロングテール)、②情報流通の進化(顧客主導・参加型情報発信)、③技術の進化(API公開など)が柱となって成立していると仮定した場合に、大相撲2.0がどういう姿になるのか、Web2.0とのアナロジーで考えてみたい。

ロングテール: 
 コンテンツの価値のロングテール:
  国籍を問わず、さまざまな体格と得意技の力士同士の対決が幕内・十両・幕下それぞれのランクで手に汗を握って楽しめ、多様な角度から大相撲の魅力が提供される
 (施策例)
  ・入門者の海外・国内からの広範な拡大、そのための前提となる雇用条件及び生活環境の向上及び部屋別競争原理の導入
  ・指導者の指導力向上
  ・「伝統」「相撲道の心」の定義明確化と共有・浸透
  
 サービスのロングテール:
  観戦の時間帯、お客様の場所(地域)を問わず観戦が可能であり、大相撲の造詣の深さに応じた大相撲の楽しみ方ができるよう、中継及び本場所での情報提供がされる
 (施策例)
  ・開催時刻の見直し
  ・中継をデジタルコンテンツ化して配信(いつでも見られるようにするとともに、内容をメタ化してさまざまな角度から見たい取組みや知りたい情報を自由に検索できたり、大相撲の知見レベルの応じた見せ方のバリエーションを組める仕組み)
  ・贔屓の力士や好みの展開に応じたお薦め機能(デジタルコンテンツと連動)
  ・本場所会場での情報提供と、携帯端末との連動
  ・中継・運営の多言語化の拡大
  ・協会のプロの広報
  ・中継の構成や伝達内容を前例としがらみにしばられずに進化させるメディア
  ・プロの実況・解説者の育成・獲得

  チケット入手のチャネルは拡大し、webを通じた購入がより便利になる。他方で、顧客は層別管理され、ロイヤル顧客に対してはチケット獲得への優越的地位が与えられる
 (施策例)
  ・前売り券入手方法の電子化
  ・前売り発売(特に当日)のオペレーションの高度化
  ・チケットペーパーレス化
  ・購買履歴に基づく優先枠の設定(しがらみ・コネに基づく優先枠はいったん廃止)

 顧客基盤のロングテール:
  顧客は長年の日本人・在住大相撲ファンから、広くスポーツ愛好家を対象としてファン層が拡大し、やがて海外を含めた、大相撲への接点が全くなかった人に対して競技としての価値を訴求し、全世界にファン基盤をもつ。リアル・バーチャル双方の視聴者(本場所に物理的に足を運ぶ視聴者、各種メディアを通じた中継を視る視聴者、の両方を含む)
 (施策例)
  ・多言語化
  ・初心者への紹介ぶりの確立
  ・世界各地での競技団体のネットワークの確立
  ・デジタルTVでの放送・コンテンツ配信
  ・携帯端末での放送配信
  ・デジタルTV・携帯端末など進化したユーザーインターフェースにおける新たな実況や伝達方法の開発


顧客主導・参加型情報発信:
  いわゆるCGMは上記ロングテールが達成されれば自然拡大すると考えられる。
  むしろ協会側が顧客側の声をいかに取捨選択しながらオペレーションに反映させていくことができるか(NHKに対する主導権も含めて)がカギ
 (施策)
  ・手近なところでは、実況・ゲスト・中入り特集などについてのお客様の声が反映された形での運営
  ・三賞選考へのファンの関与(Webを通じた参画)
  ・部屋別・力士個人の、Webを通じて寄せられる顧客の声への反応力強化や、Webを通じた双方向コミュニケーションの推進
  ・一般大衆の横綱審議委員化(現行の横審は廃止)

技術の進化:
  進化した技術を活用し、新規顧客逓増の仕組み造りと顧客獲得コスト極小化を図る。また、訴求価値の高度な技術は取り入れてマッシュアップしていくことで、お客様接点の満足度を高める
 (施策例)
  ・XMLベースのバナーをファンのサイトやブログに貼ってもらい、新規顧客開拓や協会サイトへの誘導に貢献した者に対し、力士とのふれあいの場の提供や、大相撲グッズの供与、チケット購入優先権を提供する
  ・グーグルマップと連携し、リアルタイムで最寄の稽古見学をしている相撲部屋の位置がわかったり、特別企画を行っている最寄のちゃんこ屋が表示されたりする仕組みの構築
  ・過去の本場所の展開をメタ言語化して整理し、各場所の展開や話題に応じて、コンテクストで検索して楽しめる仕組みの構築(例えば、「入幕一年未満の若手力士が三役以上の力士を三人以上倒して優勝争いをした場所の十四日目の幕内後半戦の取組みのうち、引き・叩き以外で勝負がついた取組み」が検索できる)


大相撲3.0は?
大相撲2.0が実現できた世界では、次に大相撲が進む方向は何か?
まず大相撲は間違いなく今のサッカーやベースボールに肩を並べるグローバルスポーツの頂点にいるであろう。FIFAに該当する日本相撲協会が世界相撲協会に呼称変更し、2.0の機能を有する日本相撲協会のプラットフォームを各国の相撲協会(これが段々に世界中で形成されているという想定)に貸し出し、各国では力士の強化とファン層の拡大をプラットフォームを通じて展開する。世界相撲協会は世界各地での本場所及び巡業開催を主催し、場所ごとに新たな力自慢が登場して次々と番付を駆け上がり、大相撲は世界の格闘技の総本山となる。また、explicitに定義された「伝統」と「相撲道の精神」が多言語化された上で世界各国に浸透し、サッカーのフーリガンのような層は存在していない(相撲の心がわかっていないと番付が一定以上は上がれない仕組みが前提)。次第に世界中の教育プログラムでも相撲が体育課程で取り入れられるようになる。世界最高のもののふが集まった力士たちは巡業の合間の社会貢献活動や草の根交流も広めていく。年寄名跡数は現状のままだが、外国籍力士にも年寄襲名は公開され、いくつかの相撲部屋は海外にも設立されるほか、今の世話人・若者頭が格上げになって、海外に設けられる相撲部屋支部での指導にあたる。デジタルTV・携帯端末での懸賞が、グローバル企業の広告手段として一般化する。お茶屋はバーチャルな進化した機能と、ヒューマンタッチなサービスを組み合わせ、今とは全く存在感の異なる企業体として、大相撲周辺ビジネスを仕切っており、また、ファン層拡大に寄与している。

つづく(...予定にして未定)

以上、未定稿。