大相撲

大相撲についての想い

中入り企画

2006-05-31 23:49:15 | Weblog
ふと思ったのだけれど、夏場所のNHK放送、今回は印象かなり薄い。
中入り企画が100%想定の範囲内のみのものだからだっただろう。
十両解説は尾上親方、錦島親方、小野川親方など、若手が来て多少よかった。前々からあまりinsightfulではないと思っていた、解説の常連の親方数人が、協会の要職についたり事情があったりで出てこなかった分、他の人の出番が増えてそれもよかった。
もちろんレギュラー企画の「相撲界あの年」などは好きなのだけれど、一場所に一つくらい冒険的実験企画があってもよいのではないか。
初場所の時は、いきなりやくみつる氏が出たり、デーモン小暮閣下がきたり、「夢番付」を編成したりしてみて北の富士さんが「把瑠都は三役」とか言ってみたりと、打ち手がずばずば当たっていたように思うのだが。名古屋場所は頼みますよNHKさん。そういえば名古屋場所のときはたいてい国会やっていないから国会中継で十両が殆ど見られないという展開がなさそうでほっとする。

森谷雄吉溜会々長のお言葉

2006-05-30 23:04:52 | Weblog
井筒三兄弟のご尊父が逝去された。ご冥福をお祈りしたい。鹿児島出身の決してエリートでない力士達を関取に数多く育てた。三兄弟、大関霧島、陣岳、薩州洋。この先代井筒親方のすごいところは、力士がもっている素質をかなりフルポテンシャルに近い形で発揮させる指導力があったということではないだろうか。なんていったら上記関取たちに失礼だろうか。井筒さんの解説も面白かった。頑張れ逆鉾。指導者として親爺に負けるな。平成の西ノ海を育ててみせろ。

閑話休題。

さて。六月号「相撲」の中で大変すばらしい記事があった。「裏方芸談ジャーナル」という意味不明なタイトルのコーナーである。今回は溜会々長の森谷雄吉さんという方の語りを書き下したもの。二点あるのだが、まず一つは外国人力士について。「遠い外国からはるばるとこの東の果てまでやってきて、明るくこの伝統社会に溶け込み、前相撲から取って懸命に努力して今日の地位を築いた彼らが非難されるのは間違いです。第一、彼らの日本語の見事なこと。彼らは自分でしゃべり行動しています。(中略)礼儀だって、時に憎たらしい土俵のイメージとは裏腹に、横綱朝青龍は、私どもの主催する激励会に招待すると、自分と同じテーブルの人たちにはもちろんきちんと礼を尽くすし、行きも帰りも誠実な挨拶を欠かしません。来てくれたはいいが、だまってスッと帰ってしまうような日本人の看板力士を見てきた我々の目には、ずっと立派に映ります。朝青龍はこの前もテレビでうれしいことを言ってくれていましたねえ。『相撲は日本の国技です。だから我々は、日本人になりきって相撲を取っています』って」。

溜会の会長さんなんて、肩で風切っているような方だと思ったが、実に見識のある、真摯に大相撲のことを考えている方ではないか。こういう人が支えているのは実に心強い。曇りのない眼で視れば、外国人力士への非難がお門違いなのはやはりわかる人ならわかるのだ。彼ら外国人力士がここまで大相撲のことを尊重してくれること、それくらい大相撲が重みのあることを我々日本人は誇りに思うべきで、日本人力士が少ないとか外国人はダメだとかレベルの低いことを言っていては恥ずかしい。残念ながら横綱審議委員にもそのようなことを公言してはばからない者が若干いるが。

上記の朝青龍の言葉も重みがある。彼がここまで大相撲のことを思う過程では、不条理に感じることや、逃げ出したいと思ったこともあったのではないか。そういうものを克服して地位とともに成長してきた人間だからこそここまでのコメントが出せるのだと思う。

スッと帰ってしまう看板日本人力士、だいたい想像がつく。あえて四股名を挙げるまでもないか。

それから森谷氏の言葉でもう一つ興味深いのが「平成の大相撲バブル以降、相撲界の方々の、年長の先輩へのアプローチがあまり見られなくなり、社会を動かすノウハウを持った方々とのお付き合いがめっきり減ったような気がします。頭のいい親方や関取衆が増えて協会首脳が若返ったのは喜ばしいことですが、世の中の日本的な社会との付き合い方にワキの甘さを感じることがないでもありません」。

この二つ目の言葉は、おそらくオブラートに包まれて真意がストレートには伝わってこない。大相撲界の影の伝統として受け継がれてきた取組みの何かが、最近の世代になってからめっきり減ったことで、機会損失が起きていると観ておられるのだろう。「平成の大相撲バブル以降」というところに一つのヒントがあるように思う。

なにはともあれ、会長になるべくしてなった方だな、という感じが、この短い記事を読んでもよくわかる。実にすばらしい記事だし、この内容がもっと世の中に広まってほしい。「相撲」誌にも拍手を送りたい...

...ただし今号の中で、前号の正誤表として、なんと六十五箇所もの訂正が載っていた。この森谷さんの記事にも誤りがないことを祈る。

夏場所回顧

2006-05-30 00:33:23 | Weblog
夏場所を振り返ろうとしていたのだが、なかなか考えがまとまらず時間が経ってしまった。

まず、一つには白鵬が優勝したことの意味。千秋楽優勝決定戦は、本割の反省を活かして雅山をうまくそして力強く退けたが、必ずしも彼の十五日間は毎日がめちゃくちゃすばらしいという相撲内容ではなかったように思う。悪癖の立合いの張り差しが結構出てしまったりして、場所前の稽古不十分という情報から、後半崩れるのかな、という気もしていなくはなかった。とはいえ最低十番は勝つとは思っていたが。それが、あれよあれよと勝ち進んでの優勝。これを評価するにあたって、白鵬を優勝させてしまった周りのレベルが全体的によくなかったと考えるべきか、ということだが、つらつら考えてみて全体として今場所はそんなに内容が悪い訳はないと思って、結局白鵬が負けない相撲を緊張する場面であっても確実に取れるようになったということなのかな、という風に一応は考えをまとめつつある。

でも一つには雅山によるところが大きく、雅山がここまでいかなければ、やはり朝青龍と栃東の不在感が強かったのだろう。雅山は顔つきが変わってきた。最初に大関になったときは、大学時代からひきずっていたいじめっ子先輩風の感じがあったけれど、今は本当のヒールになって、勝負の厳しさを知ってその中で自分を見失わずに戦術を絞り込んで取っている。多分大関時代より強い。来場所こそ優勝して上がるんだ、くらいの勝利への執着心をもって名古屋に臨んでほしい。少なくとも、今の大関陣の中にまじっても、白鵬に次ぐくらいの力であることは確実だろう。大関戦には圧倒的に強い訳だし、そういう人が上がらない方が不思議である。今場所ほどの修羅場は大関時代も経験していないはずだが(除く陥落経験)、特に緊張している風でもなかったので、来場所もやれるのではないか。前は、横綱戦というだけで緊張がありありと伝わってくる感じだったので、やはり何かブレークスルーが彼の中であったのではないかと思う。

で、大関陣である。場所前は、今の大関に対する世の中のなんとなくの見方は、優勝候補グループの大関と、優勝圏外の大関に二分化していたのではないだろうか。どっちが誰というのはあえて四股名を挙げることもないだろう。しかし、今場所終わってみると、少なくとも現時点の勢いでは、優勝できそうな大関は白鵬くらい。これを雅山・把瑠都が追う。朝青龍はどうなるかかなり不透明。栃東もひざが相当悪いと聞く。で、その圏外大関グループには、もともと名前があがるはずの人たちのほかに、現時点に限って言えば、栃東・琴欧州が加わってしまったような印象だ。栃東は怪我さえ治ればまた優勝候補大関グループに戻るだろうが、最悪、また陥落などあるのだろうか?非常に憂慮される。琴欧州はすっかりオーラがなくなってしまった。あまり肉声も伝わってこない。怪我は休んででも完治させた方がいいのではないか。琴欧州の去年後半の調子が戻るのとそうでないのとで、全く土俵上の勢力図が変わってくるので、名古屋は琴欧州の意地と体調がかなり重要なカギだと思う。

そんなことを考えていると、来場所は岐路に立つ人が結構いるのだな、と思う。昇進がかかる二人、角番大関、がそうであるのは勿論だが、それ以外では朝青龍をまず挙げられるだろう。多分、「三年先の稽古」が基本の大相撲界では、付け焼刃の稽古ではすぐには復調しない。名古屋で中途半端な相撲をとると、対戦相手が畏怖する感覚はかなり薄くなっていくだろう。稽古できない理由がどこか体に原因があるのでないのなら、再び鬼気迫る稽古を積んで、憎まれるくらい強い横綱に戻ってほしい。

琴光喜も三役維持しているが、三役維持しているだけの人になっている。あのポジションに彼がいることで、大相撲界に対して何か付加価値を生み出していることがあるのか、現時点では首をひねらざるを得ない。夏場所もなぜか若の里戦だけものすごい気合のこもった相撲だったが、関脇なのだからもしかしたら上位を喰うのではないかとか、そういう期待感を抱いて観戦することがなくなってしまっている。琴光喜も、名古屋場所が絶対にクリティカルという訳ではないだろうが、このままでは近々三役からどういう形で訣別するのか(上がれるのか、平幕常連になるのか)峻別されてしまいそう。

新小結で負け越した安馬はどうだろう。身体を痛めがちになってきた。玉砕相撲のせいか。彼の相撲は本当に勇気とか闘志という言葉を体現していて、すばらしいと思う。このまま貫いてほしいが、このままでは早晩身体を致命的に壊さないか心配である。脱臼癖を克服する前の千代の富士のような、力任せでガムシャラな相撲は彼の相撲人生を考えたときに本当にこのままでよいのか。このまま骨身を削っていって、ジリ貧になっていくのを見るのは忍びない。立合い当たってから相手をどう料理するかのバリエーションを増やすことが肝要か。
あと、一層のスピード。体重ももちろんそうなんだろうけど。彼も近いうちにもう一皮向けられるかどうかの岐路に立つのだろう。

今度の新小結が予想される稀勢の里と朝赤龍。やっときた、という感じだけれど、一気に三役定着できるのかどうか。朝赤龍は膝の具合がよさそうなのと、相手の攻めをみる前に自分から攻めるようになってきたので、結構いけそうな気がしている。名古屋場所の初日は、横綱と当たる小結は間違いなく稀勢の里なわけだから、いい相撲をとって波にのっていけるかどうか。今場所、やっとこさ勝ち越したような印象はぬぐえないけれど、勇み足負けなんかもあっての上なので、同じ相手とあたる来場所はもっと星を積み上げられる可能性もあると思う。

稀勢の里よりも伸びてきているのではないか、と思ったのが琴奨菊。足がそろってばったり前へ落ちる相撲が減ってきた。この次の新三役候補の最右翼だろう。

こうやってじわじわ力を持った人がその力を発揮しはじめたせいか、平幕中~上位でしぶとく星を挙げていた人たちが同じ地位では苦戦しはじめてきているように思う。例えば垣添、時天空、岩木山などだろうか。

黒海・露鵬・白露山の東欧三人衆は上昇組に合流できるのか、停滞組に吸収されていくのか、やはりそろそろ岐路に立つのではないか。この中で一番伸びしろがあるのは注目度が比較的低いが白露山かもしれない。夏場所も気がついたら十番勝って、初めて兄を番付で抜くか。

把瑠都は後半、身体のサイズに依存したような相撲が徐々に増えていったが、それは欠点になるのかどうかまだよくわからない。それが武器にもなるだろう。いずれにしても、来場所は白鵬以外の上位とも当たるので、それを見られるだけでも毎日が楽しみだ。魁皇なんかどう攻めるのだろう。琴欧州は?横綱は?把瑠都は稽古量も多いらしいので、引き続き成長した姿を見せてくれるのだろう。

あと幕内で印象に残ったのは嘉風。完全に幕内定着しているし、自分のペースで相撲を取れる力がついてきた。スピードも小気味よい。多分もうちょっと十両とのエレベータ期間があるのかと思ったけれど、全然そんなこともなく、もう少しで上位にすら上がってきそう。

今場所は幕内と十両、十両と幕下の入れ替えが最小限にとどまった分、来場所は結構ガラガラポンと入れ替わるかもしれない。特に幕下から十両への昇進(及び逆の陥落)。十両は頭抜けた人がほぼ全員幕内に上がってしまって、幕内から落ちてきた人と、なんとか十両を保っている人による構成はしばらく続きそうである。このため新十両皇牙が十勝で優勝決定戦進出なんていう展開もあったわけだが、これは先場所までだったらありえなかったであろう。来場所あたりも巴戦で優勝争いがもつれるという構図は見られるのではないか。

来場所も面白い場所になることは間違いないが、ここが頑張りどころで大きくその後の相撲人生が変わってきそうな力士が相当数いるわけで、力士の胸のうちなど想像するにあたり興味は尽きない。

527

2006-05-28 23:59:50 | Weblog
琴乃若の引退相撲が昨日(土曜)、あったらしい。
初場所の国技館のどすこいFMでプレゼントをもらえる合言葉が「琴乃若引退527」だったので、それ以来憶えてしまっていた。
土曜は別件で両国に行ったのだが、なんとなく街がざわざわしていたのはそのためだろうか。

琴乃若の偉大さはいろいろある。右四つ左上手からの投げの形になれば、横綱級の力を出して金星を積み重ねたこと。例の朝青龍戦でのかばい手。顔から土俵に落ちて血まみれになっても勝負への執念を見せたこと、など。

個人的にすごいと思うのは、朝青龍戦でかばい手が認められなかったのにもかかわらず、その数日後の取組みで同じ展開になって重ねモチになったときに、相手力士をかばってやはり突き手をしたこと。相撲道が骨の髄まで沁みた力士だった。

親方としては、さっそく課題を抱えている。琴欧州は休ませなったツケで、夏場所はオーラが消えてしまって勝ち越しがやっと。オーラをいかに取り戻させるか。琴光喜は勝ち越すだけの人になってしまって、三役を維持しているといっても上位を喰うのではないかという期待感を感じさせない力士になってしまった。どう彼のフルポテンシャルを引き出すのか。琴奨菊は躍進中なので、これをどこまで伸ばせるか。

でも、きっといい力士を育てるのではないか。余力を残しての引退といっても怪我の状態はいつ引退してもおかしくなかったわけで、そんな中での苦労がきっと指導者としての肥やしになるだろう。期待したい。

蛇足だが、現役時代、やけに頻繁にファーストネームを改名していたのが、不思議ではあった。



運気

2006-05-27 23:56:08 | Weblog
手元の情報だと、今サソリ座でA型という関取は四人のはずなのだが、この四人は夏場所、明暗がかなりくっきり分かれた。

明は把瑠都と十番勝った北勝力。暗は栃東と、怪我から途中出場するも二勝止まりで十両陥落決定的となってしまった時津海。しかしこの人たち、性格も違えば相撲っぷりも違うので、星座×血液型は打率低いのね、やはり。

あと、射手座が全般に運気悪く、北桜、旭南海、須磨の富士など、軒並み負け越し。
運気がよかったのはあえて言えば獅子座か。朝赤龍、雅山など。でも負け越してる人も結構いる。

というしょうもない分析でした。