大相撲

大相撲についての想い

台湾巡業の展開からの考察

2006-08-24 01:53:49 | Weblog
台湾巡業、開催前に、二日間の興行で、各日の優勝者によって総合優勝が争われると聞いた。

このとき、二日とも同じ力士が優勝しちゃったら総合優勝戦がなくなって興ざめだろうなあと瞬間的に思った。

で、朝青龍が圧倒的な強さを見せて二日続けて優勝しちゃうかな、とも思った。だけど同時に、朝青龍は本場所で万が一同じセッティングがあれば容赦なく優勝しちゃうだろうけれど、その辺はわきまえていて、どっちか一日優勝して、もう一日は誰かにゆずって、でも最後は総合優勝は持っていくっていう流れかな、と思ったらどうやら本当にそういう展開だったらしい。

勿論八百長するとかいうことではないのだけれど、なんとなく初日に優勝しちゃったら二日目はそれほど気合も乗らず、むしろ体力温存して着実に総合優勝を狙い、二日目優勝は誰かに譲って、興行的にも盛り上げるって感じかなと思ったわけだ。横綱も賢い人だから、その辺はちゃんとわかっているんだな、と。「朝青龍が強すぎて大相撲はつまらない」とか安易に言う人がいるけれど、まったくの誤り。まず、横綱はその辺の酸いも甘いも噛み分けた上で、最後に総合優勝して満面の笑みを浮かべるという、大人の余裕が出てきている。彼の笑顔はいいと思う。一つの世界を代表する男の笑顔としては上出来だ。そして、大相撲が朝青龍が強すぎるだけの戦線でないことはちょっと見れば明らか。

それと、白鵬が最近殆ど横綱に対して勝っているから、朝青龍が本気でやっても二日連続の完全優勝は難しいのかなという思いも多少はあった。

台湾巡業の詳細は全然伝わってきてないのでよくわからないが、白鵬の話題が殆ど聞かれなかった印象がある。二日目の優勝は栃東だった。白鵬はどうしちゃったのだろう。もちろん、今調子が良すぎるのも正念場の秋場所に向けて逆に不安要因になったりもするから、それでいいのだが、どこかを痛めたりしているのでなければよいというだけだ。

この次に話題になったのは千代大海だった。なんでも父方の祖父が台湾出身だか台湾で事業を営んでいるだかで、地元人気が沸いたらしい。中華系の方々が同じ民族の血が少しでも入っていたり、何らかのゆかりがあったりする人に対して贔屓するのは有名な話で、これ自体は驚く話ではない。大関は「でも本当はよくわからないんだけど」と言っているようだ。ちょっと引っかかるコメントである。

下世話な話になりかねないが、千代大海関は肝っ玉母さんの母上がおなじみだけれど、幼い頃に両親が離婚しその父は比較的直後に亡くなっているはず。ここでいう「父方」が生父なのか今の義父なのか。連絡もとれない生父だから「よくわからない」のか。でもそれだと千代大海は中華系又はいわゆる「本省人」の血を引いていることになる。だけどこれまでそういう事は聞いたためしがない。他方、義父の父だからよくわからないのかもしれない。だけど、普通、生母が再婚した相手の父を「祖父」という言い方はしないから、ちょっと違うようにも思う。ということで大関のコメントはどちらにしても解釈に迷うのだ。

とにかく、その地元の人々の応援もあってか(当然「加油」という声援があったはずだ)、千代大海は二日目は栃東についで準優勝だったらしい。名古屋場所、人が変わったように中身のある相撲で前半戦を突っ走り、途中怪我して再度人が変わってしまって、勝ち越しがやっとの成績になってしまった千代大海。どうやら元気が戻ってきたようだ。一時期、稽古しないことで有名になり師匠も匙を投げ、先場所は露鵬に喧嘩を売ったりと色々あることはある千代大海。でもなんとなく色々な報道やメディアへの露出を見ていると、ナイスガイのように思える。更生した悪ガキというのはだいたいそうなのかもしれない。こういう人がもう一花咲かせると面白いし、「大相撲は人生の縮図」というのがまさにそうだなと感じることができそう。だから先場所の活躍→失速でもうモティベーションを失っていないか心配だったのだけれど、意外に元気なようで安心した。何かしでかしてほしい。