桜

桜咲く明るき夜道歩をやすめ
草の芽の地を這う色の柔らかさ
芽山椒香り立ち色薄みどり

花灯り

咲き揃う枝に囲まれ花明り
しどみ咲く齢重ねし紅深し
春塵の積もる痕見る雨上がり

春の土

根をほぐし息吹新たに春の土
細りゆく筍の皮数え終え
蒲公英の鮮やかな黄の隅に咲く

木蓮の花

木蓮の花厳かに姿立て
見逃せし楓の花の可憐なる
彼岸明け小鳥も覗く窓辺かな

剪定

剪定の痕くっきりと照り返し
田楽を三串に刺して春の味
桜餅花待ち焦がれ香る味

苺の花

蜂を呼ぶ苺の花の白きかな
春大根づばりと切られ腹を見せ
草抜くも草を愛でるも春の草

春の空

一片の白雲残し春の空
花冷えを超えて早まる花便り
土覆う割れ目に聡き繁縷かな

雪柳

雪柳枝に積もりし雪こぼし
三椏の花でうずまる枝分れ

春の芝

ぴょんぴょんと歩く小鳥の春の芝
蘖に洞もつ古木痛ましき
白木蓮無垢の香りを先んずる

春嵐

春嵐つぼめる傘の人となり
一陣の木の芽風吹く爽やかさ
大木の剪定進む思い切り