紫陽花

紫陽花の花の重みに道取られ
そよ風に未央柳の蘂長き
吸う息の木下闇に深く吐き

鷺草

鷺草や群れ立ち騒ぎ風に舞う
胡蝶蘭個展祝て華やぎし
アマリリス花の重みも軽々と


　　弱音は吐きたくないが昨今の気候、体調芳しからず
　　投句も滞りがちで失礼しています。あせらずゆっくり
　　続けたいと思っています。

藤

道すがら藤の百態見比べし
群生の揃いの十薬花白く
根は強き風に耐え咲く山躑躅

青歯朶

大木の茂りを支えて青歯朶
日の暮るる黄色を深む月見草
垣に沿い昼顔揃いの薄化粧

菖蒲の芽

菖蒲の芽緑雨に包まれすくすくと
枯し木の蔦の緑に彩られ
根の深き雨に弛みし草むしり

若葉

こまごまと銀杏若葉は繁り合い
篝火に映す鵜の影見え隠れ
一本の蜜柑の花に蝶の舞う

籐椅子

病室の低き籐椅子落ち着きし
いり込みし虫は網戸に体当たり
花を愛で母の日過ぎしカーネイション

根分け

根分けせしシンビの三鉢に花をつけ
桜えび春の香りと掻き揚げる
豌豆の剥く手離れて音奏で

卯の花

卯の花の垣根を占める白香る
年毎の香りの便り新茶着く
重ね着を解き放されて衣替え

青踏む

青踏むや若葉の香り纏いつき
浮葉より伸びゆく立葉に池かすみ
春炬燵一日延ばしの寒さかな