海の日 (７月１６日 月曜日)

　　　　　　　　 海の日や浄土ヶ浜を眺め居り

                 夏の浜打ち寄す波に濡らす裾

                 海の日や浄土ヶ浜の波の音　

                 海の日や浄土ヶ浜に波白く　

                 海の日や岩に波濤の砕け散る　

                 海の日や露天の湯より見る浄土　

                 海の日や眼下の岩に波砕け

                 荒梅雨を集めて速し濁り川　

                 連山の薄むらさきに夏の暮れ

　　　　　　　　 地震おきる安否の電話海の日に

青葉山 (７月１５日 日曜日)

　　　　　　　　新幹線車窓に広がる青田かな

 　　　　　　　 荒梅雨や近くの山をも深山に 　　　　　　

　　　　　　　　新幹線トンネル抜け山緑なり　　　　 　　　　　　

　　　　　　　　トンネルの闇を潜れば万緑に 　　　　　　

　　　　　　　　山抜けてまた山緑の色溢る 　　　　　　

　　　　　　　　延々と続く万緑みちのく路 　　　　　　

　　　　　　　　青葉山山並み幾重にみちのく路　 　　　　　　

　　　　　　　　梅雨深む雨に煙れる広き海

夏台風 (７月１４日 土曜日)

　　　　　　　　 梅雨の日の部屋の干し物ガラス越し

　　　　　　　　 給食の夏野菜カレー頬張る子

　　　　　　　　 夏台風進路見極め旅支度

金魚 (７月１３日 金曜日)

　　　　　　　　餌を撒けば音立て群がる金魚かな

　　　　　　　　ザリガニの杭に横たわる晴間かな

　　　　　　　　人影にザリガニ撥ねて水底へ

　　　　　　　　梅雨深む子ら教室でテスト中

荒梅雨 （７月１２日 木曜日）

　　　　　　　　 荒梅雨に大雨洪水注意報

　　　　　　　　 梅雨深む週間予報の雨曇り

　　　　　　　　 夏落葉掃けば転がる団子虫

梅雨 （７月１１日 水曜日）

　　　　　　　　 梅の雨集めて零す八つ手の葉

　　　　　　　　 梅雨の街利休鼠の雨しきり

　　　　　　　　 午後六時鐘の音響く梅雨の街

　　　　　　　　 梅雨の闇警官深夜のパトロール

百日紅 （７月１０日 火曜日）

　　　　　　　　一面の緑の芝生に寝転ぶ児

　　　　　　　　梅雨空に音響かせて双発機

　　　　　　　　百日紅水面をすうっと子ら泳ぎ

向日葵 （７月９日 月曜日）

　　　　　　　　万緑や森の精なる蝶の舞い

　　　　　　　　幾種もの緑重なる森に入る

　　　　　　　　緑なる森に竪穴住居かな

　　　　　　　　幾種もの森のみどりを葉書絵に

　　　　　　　　博物館一息入れてアイスティー

　　　　　　　　博物館窓いっぱいの緑かな

　　　　　　　　梅雨晴れ間織物体験する少女

　　　　　　　　糸車紡ぐ少女に青葉光

　　　　　　　　青葉風少女の回す糸車

　　　　　　　　向日葵や少女の紡ぐ糸車

　　　　　　　　糸車回して紡ぐ夏少女

　　　　　　　　日時計を跨ぐ少年梅雨晴れ間

　　　　　　　　万緑や銀輪列なし坂下る

月見草 （７月８日 日曜日）

　　　　　　　　 涼しきは水盤に生けし八頭

　　　　　　　　 懸崖の松に風鈴の音の響き

　　　　　　　　 遠い日の想い出枕に月見草

薄翅蜉蝣 （７月７日 土曜日）

　　　　　　     運転中車の窓へ夏落葉

　　　　　　     建設の太き鉄骨梅雨空へ

　　　　　　     向日葵やブロック塀より覗く顔

　　　　　　     七夕や色とりどりの願い事

　　　　　　     さまざまな願いまとめて七夕竹

　　　　　　     児の籠の薄翅蜉蝣はかなくて

日傘 （７月６日 金曜日）

　　　　　　　　 空晴れて婦人レースの日傘差す

　　　　　　　　 短冊竹子どもの願い鈴なりに

　　　　　　　　 笹竹の高みにかかる天の川

　　　　　　　　 七夕の笹の天辺金の星

　　　　　　　　 短冊竹壱つに多き児の願い

　　　　　　　　 七夕笹照る照る坊主そのなかに

　　　　　　　　 運転中窓いっぱいの西日かな

　　　　　　　　 茜差し午後の七時に西日落つ

梅雨冷 （７月５日 木曜日）

　　　　　　　　 透明な傘のなかにも梅雨の空

　　　　　　　　 濡れ羽色小降りのなかを夏つばめ

　　　　　　　　 小雨降る階下に清らな青紫陽花

　　　　　　　　 梅雨冷や子あきらめ顔でプール見る

　　　　　　　　 青紫陽花水溜りにもくっきりと

暑気払い （７月４日 水曜日）

　　　　　　　　梅雨空を見上げて少し水遣る子

　　　　　　　　会議中窓いっぱいの梅雨の雲

　　　　　　　　梅雨の雨水玉模様の傘差す子

　　　　　　　　梅雨空や霊験いかに弁天堂

　　　　　　　　暑気払い仲間ら集め居酒屋へ

　　　　　　　　冷やし酒短歌の友と文学論

七夕笹 （７月３日 火曜日）

                 梅雨曇うっそうとして並木道
                
                 七夕や子ら短冊に描く夢

                 七夕や大き字紙に小さき手

                 七夕竹短冊結ぶ子背伸びして

                 七夕笹廊下の奥へと一列に

                 長廊下歩けば触れる七夕笹

                 長廊下七夕通りに様変わり

                 梅雨晴れ間真夜に明るく丸い月

郭公 （７月２日 月曜日）

　　　　　　　　 長堤を孫と散歩や梅雨の朝

　　　　　　　　 夏燕飛び交うなかを散歩かな

　　　　　　　　 せせらぎに葦切りの声高くして

　　　　　　　　 水面打ち川鵜まっすぐ飛び立てり

　　　　　　　　 川越えて郭公の声朗々と

　　　　　　　　 田に人の姿の消えて半夏生

　　　　　　　　 田に風と日差し残して半夏生