飯島 治蝶/水煙同人

飯島治蝶の俳句ブログ(第一章)

夏帽子 (6月30日 土曜日)

2007年06月30日 | Weblog
         振り向いて幾度も手を振る夏帽子

         紫陽花の切る手にあまる花の珠

 
         ひまわりのプランタ並ぶ料理店

 
         小料理屋南と西に簾掛け

 
         同寮の退職祝や百合の花

 
         梅雨の夜に祝いの乾杯音頭とる

 
         梅雨の夜の祝いの席にお笑い芸

七夕 (6月29日 金曜日)

2007年06月29日 | Weblog
         風の来てレースのカーテン揺れる窓

         それぞれの子の夢七夕飾りにし

         七夕や子らの願いにしなる竹

         空仰ぎ冷し珈琲飲み干せり

         夏帽子しゃがみて覗く蟻の穴

         覗く顔一言「いた」と蟻歩く

         夏帽子木切れでつつく蟻の穴
 
         園児らの動く木切れや蟻走る

髪切虫 (6月28日 木曜日)

2007年06月28日 | Weblog
         小走りにプールへ急ぐ日焼けの子

         放課後の校庭子らの捕虫網

         夏とんぼ寡黙な児の手に白き網

         夏とんぼ網のあとから女の児

         夏とんぼ網の後から籠持つ児

         とったぞ」と髪切虫は児の手中

         飼育器の髪切虫を児ら覗き


梅雨の空 (6月27日 水曜日)

2007年06月27日 | Weblog
        梅雨の空太き声して野鳩鳴く

        事故車あり緑のなかに赤色灯

        紫陽花の珠のひとつに花数多

        梅雨の雨居残り勉強する子ども

        六月やはや中元の宅配便 

梅雨 (6月26日 火曜日)

2007年06月26日 | Weblog
        傘を手に駅へと急がす梅雨曇

        灰色のド―ムとなりし梅雨の街

        梅雨空にこだまし響く子らの歌

        小糠雨うっすら白き夏木立

        梅雨の雨街の家並を煙らせて

        送電の鉄塔煙らす梅雨の雨

        葉を伝い大き粒へと梅の雨

        梅の雨葉より大地に落ちる音

        梅雨の雨プールに入れぬ子らの顔

        降りしきるプールに白々梅雨の雨

        梅雨の雨砂場に残る三輪車

        降りて止み止みては降りし梅の雨

茅の輪 (6月25日 月曜日)

2007年06月25日 | Weblog
         白髪の跨ぐ茅の輪の足軽く

         空仰ぐ乙女の像へ青葉風

         万緑やしばられ地蔵の道標

         晴れの後梅雨の雲たち覆い行く

         剪定を中途で終える梅雨の雨

         しとしとと静かに降りゆく梅雨の雨

掻き氷 (6月24日 日曜日)

2007年06月24日 | Weblog
        梅雨晴れや各町の人集い来る

        あいさつに暑さの言葉付け足して

        梅雨晴れの休みに行事の打ち合わせ

        界の代表集う梅雨の晴れ

        窓開けし会場動く扇風機

        休日のプールに飛沫部活動

        陶器市並ぶテントに掻き氷

        幼孫ソフトクリーム頬につけ

        欄干に腰掛け眺む花菖蒲

        ステージに菖蒲祭の幕張られ

        菖蒲田に演歌流れる祭かな

        老いの夏十八番はこれからと

        ステージで青春の歌老いの夏

        茜照る祭提灯風に揺れ

        街なかの祭囃子や夕茜


夏至 (6月23日 土曜日)

2007年06月23日 | Weblog
        梅雨曇全天静かな鉛色

        帰省する妻に持たせる土地のもの

        傘の列紫陽花咲きし通学路

        朝顔の青き花より雨雫

        児の傘の下より長靴梅雨の午後

        夏至の日に陽を閉ざしたる雲と雨

        夜の更けて雲の切れ間に梅雨の星

日焼け (6月22日 金曜日)

2007年06月22日 | Weblog
         今日もまた暑くなりそうな梅雨の雲
        
         飛沫上げ水を掻く子の日焼け顔
        
         夏の野や犬フリスビーをキャッチせり

         緑濃き葉に色の濃き額の花

         西空の梅雨の雲間に月淡し

水羊羹 (6月21日 木曜日)

2007年06月21日 | Weblog
         教室の窓よりプールの子らの声

         プールより子らの歓声心地よく

         飼育器に羽化せし白き夏の蝶

         校庭に児ら遊ばせる西日かな 

         並木道「水ようかん」の幟揺れ

竹の皮脱ぐ (6月20日 水曜日)

2007年06月20日 | Weblog
         竹の皮脱ぎ捨て膨らむ林かな

         学び舎に青葉の風の通り道

         空晴れて扇子の動く参観日

         梅雨晴や窓全開の体育館

         空の星梅雨の雲々携えて

山桃 (6月19日 火曜日)

2007年06月19日 | Weblog
        見送りは幼き孫や夏の朝

        新しき水着手にして一年生

        梅雨晴れや学舎の窓に雲流る

        子ら泳ぎプールの波の威勢よく

        山桃の色づきその実を紅く染む

        やまももを一枝手折り水差しに

父の日 (6月18日 月曜日)

2007年06月18日 | Weblog
         父の日の朝妻からのプレゼント

         父の日に孫の写真を娘より

         四代の集う父の日赤子泣く

         父の日に泣く赤子膝にあやしけり

         父の日に亡き父偲ぶ墓参かな

         父の日に今を語りに墓参り

         父の日に線香手向け父偲ぶ

         父の日に孫連れ先祖の墓参り

         幼孫藪蚊に食われる墓参り

         万緑や読経の声して開山忌

         客殿の檀家総会夏木立

         父の日に孫と子と行くレストラン

         父の日や四人の孫に囲まれて

         父の日に子や孫集い泣き笑い

清水 (6月17日 日曜日)

2007年06月17日 | Weblog
         明易し老い小犬連れ散歩かな

         都会かな緑の草木屋上に

         梅雨入りしすぐ真夏日になる都会

         真夏日となる夏の街に救急音

         パトカーのなかの警官夏帽子

         子和清水(こわしみず)傍に一茶の「清水」句碑

梅雨晴れ間 (6月16日 土曜日)

2007年06月16日 | Weblog
        青き葉に雫の光り梅雨晴れ間

        鉄塔の近きを流れ梅雨の雲

        校庭を一人占めして梅雨の蝶
 
        幾種もの雲流れ行く梅雨晴れ間

        すぐ晴れて名前ばかりの梅雨の入り

        六月の県民の日に子らの来て