短冊竹願いの児の字はみ出して
ミニトマト赤を確かめ微笑む子
学校園赤白桃の鳳仙花
見違える長さの胡瓜休み明け
白鷺の地に着くときに胸広げ
紫陽花の変化絵心呼び覚ます
菖蒲田に浴衣女写すシャッター音
梅雨空に夕日の暈のいと眩し
短夜に古老の語る昔かな
玉串を神に捧げて夏祭
祝い酒神輿自慢の長談義
教え子の子どもと語る夏祭
夏祭宮司の祝詞厳かに
笛太鼓今日は祭の祝い酒
神前の茅の輪潜りや孫の後
石榴の花咲くなかに早や小さき実
夏野菜家並の狭間に伸び伸びと
縁側で庭のあじさい花談義
夏の風邪季節外れの咳ひとつ
扇風機職員室に軽き音
風鈴の音といっしょに童歌
夏つばめ大きく弧描き朝靄に
鉛空雨脚見えぬ梅雨の雨
扇風機火照りし体をしずめけり
白蓮木花の崩れて土の色
店先に招き猫あり長き梅雨
草むしり白きタオルに土と汗
草抜けばうわっと土と蟻の群れ
参観日父母の扇子の揺れ動く
梅雨夕焼土手に二人のシルエット
暑き午後ガツンと冷たきかき氷
紫陽花や児時を忘れて万華鏡
梅雨の雨幼の傘より足二本
ハンモックラジオの歌の子守唄
梅雨寒の温泉談義露天の湯
ボランティア皆の額に滲む汗
父の日や三代そろい露天の湯
梅雨晴れ間おむつを残し孫帰宅
旧街道旅籠の軒に夏燕
雨続き八つ手にじっと青蛙
梅雨の日に絵を描く老いのデイケアー
色も香も濃さ増す雨後の紫蘇畑
幼孫万歳をして午睡かな
梅雨の雨止んで曇ってまた降って
散歩道枇杷の実たわわ遠目にも