青を背にユーカリの葉揺れ涼しかり
天気図に晴れマーク増え鰻食う
通り雨下駄を鳴らして浴衣の娘
竹林に風を集めし夏館
百日紅陽盛りのなか紅く燃ゆ
片陰に陣屋の跡の道標
競泳の飛沫と声援高くして
水着の子メダルと賞状しっかりと
雨だれのショパンの曲を梅雨の日に
もぎ立ての茄子の生彩艶やかに
競い合う水着の子らの水飛沫
不意に鳴る真夜の風鈴風を知る
夏空や沼の畔の道の駅
朝採りの胡瓜売られし道の駅
大花火大会知らせる道の駅
内風呂にどっぷり浸かる梅雨の朝
雨に濡れ夾竹桃の白さ増す
川向こう緑のなかの歴史館
朝涼や車の窓開け職場へと
水中ショウ華麗に動く熱帯魚
梅雨の空曇りの雲に雲流れ
長梅雨や目覚めて今朝も雨簾
幼孫ローソク二本の氷菓かな
七月場所優勝続く蒙古勢
絵手紙の暑中見舞に百合の花
兜虫手にして初老少年に
洋館の緑の芝生に白き椅子
教室の子らの声消え夏休み
坂道を上り詰めれば揚羽蝶
お下げ髪水玉模様の夏の服
傘の列駅へと続く梅雨の朝
ひまわりや通学する子の見え隠れ
涼風や水琴窟の水の音
一本に溢れるばかりの百合の花
揚羽追い駆け出す少女を幼追い
梅雨の雨黒松の幹の黒さ増し
浴衣女の石橋渡る下駄の音
乗車してやっと一息冷房車
中元や気仙沼より海の幸
夏のショー海のディズニー・オン・アイス
喫茶店二階の窓辺に蔦茂る
若者の野外ライブや夏の夕
夜半の雨上がり風鈴の音清らか
ひまわり咲く同じ名前の園内に
老鶯の耳朶に心地よき谷渡り