飯島 治蝶/水煙同人

飯島治蝶の俳句ブログ(第一章)

五月尽 (5月31日 木曜日)

2007年05月31日 | Weblog
        降りてやみ止みてまた雨五月尽

        見舞う児に近づく雷鳴手術前

        建て替えの解体終えて五月尽 

        横綱の昇進決まり五月尽

        日めくりの最後の一枚五月尽
        




紫陽花 (5月30日 水曜日)

2007年05月30日 | Weblog

     

     紫陽花の先ずみどりより色を染む

 

     あじさいの日ごと色濃き花のいろ

 

     紫陽花の色の変化(へんげ)はまた明日

 

     額あじさい額より出ずる花のいろ

 

     紫陽花寺日ごと増えゆく人出かな


涼し (5月28日 月曜日)

2007年05月28日 | Weblog
        並木道今新緑のトンネルに
 
        新緑のなかに濃き色淡き色 
 
        葉桜の幹に張られし注意書き
 
        並木道毛虫注意の掲示板 
 
        水底の青きビー玉涼しかり

五月晴 (5月27日 日曜日)

2007年05月27日 | Weblog
      空晴れて児らの五月の運動会

      五月晴応援合戦意気高し


      五月晴花笠音頭を児ら踊り


      
五月晴馬戦男児の腕高き
 
      
エーサーや若葉の風に太鼓の音

      男児らの五月空へと組み体操


      倒立や児ら五月空に林立す

      
踊る子の鳴子の響き五月空

      五月波ソーラン節と大漁旗


      ひた走るリレーの児らに若葉風


      声援につつまれ五月の運動会

      「優勝は赤」と五月の
運動会

      行事終え打ち水されし料亭に

      打ち上げの酒宴で飲み干す冷し酒

如露 (5月24日 木曜日)

2007年05月24日 | Weblog
      並木道緑二列に整列す

      子ら如露で休みの時間苗に水

      如雨露手に苗の名告げて微笑む子


      若葉風ジャングルジムに児ら群れて


      紫外線葉桜の樹に増す黒さ


      葉の裏に透ける羽みどり糸蜻蛉


      若葉する欅並木のふくらめる


      さよならと手を振る児らに若葉光


      新緑や松の緑を取り込みぬ


      新緑のなかに宅地の造成地

薄暑 (5月23日 水曜日)

2007年05月23日 | Weblog
      薄暑かな背広の上着腕に掛け

      千葉駅に売られし地方の夏野菜

      ハンカチを時折手にする出張に

      地下道に入りてひんやり薄暑かな 

      会場の冷房ほっと席に着く

      総会の議事の採決立葵

      役員の新旧交代若葉どき

      職場への土産に買いし枇杷の品

      帰宅してまず風呂に入る薄暑かな

蟹 (5月22日 火曜日)

2007年05月22日 | Weblog
      お土産は社員旅行の大き蟹

      動く蟹おっかなびっくり孫の指

      孫ら来て比べて測る蟹の足

      蟹掴む鍋に潮の香ほのとして

      蟹の泡ぶつぶつ吹いて命乞い

      蟹赤く煮られて失う海の色

      海遠し蟹火の海に赤く染む

      蟹調理土産話に花咲かす

      こんな夜は蟹味噌つまみにコップ酒

      夕餉時蟹食むときの寡黙かな

      蟹飯を孫頬につけ「
お替わり」と

      夕餉後蟹の甲羅の山築く

白鷺 (5月21日 月曜日)

2007年05月21日 | Weblog
      濃紺の夏の夜空に星綺羅と

      夏兆す空一面に青こぼれ

      初夏の陽に誘われ妻とドライブに

      夏の沼水辺に列なす太公望

      風薫るボーイスカウト竿並べ 

      風に乗り葭切りの声響き行く

      こもり沼水辺にすくと白き鷺

      白鷺の片足立ちして身じろがず

      とく速く羽ばたき白鷺飛び立てり

      白鷺の羽根くっきりと青空に

      沼と空間を分かつ森みどり

      大橋をすいと横切る夏燕

      橋渡り森の緑の一面に

      夏落葉踏みて分け入る森みどり

      おにぎりを啄ばみ飛び去る夏雀

      緑陰に一羽の鶏闊歩して

      走る子の虫かご肩に捕虫網

      ここにいて見ずとも分かる栗の花

      もみじ葉や緑と赤に若葉して

      若葉時両手にあまる欅の樹

      川渡りうすむらさきの遠筑波

夏座敷 (5月20日 日曜日)

2007年05月20日 | Weblog
      遠雷や市場の人の早足に

      大降りと小降りのリズム夏時雨

      直売や今朝採り立ての夏野菜

      夫婦して旧街道行く若葉時

      静寂のなかに句碑立つ夏館

      若葉萌ゆ一茶の句碑立つ記念館 

      風そよと一茶の句碑立つ夏館

      天晴れて障子戸明るき夏座敷

      茶と干菓子味わい妻と夏座敷

      夏座敷信濃を想い干菓子食む

      夏座敷小布施の干菓子に想い馳せ

      夏座敷一茶を偲び蕎麦茶飲む

      夏座敷干菓子を食みて句を捻り

      大輪の石楠花生けし奥座敷

      親王の大き掛け軸夏座敷

      連日のロケ昨夜まで夏時雨

      大女優ロケ貸し切りの夏館

      ロケ終えて残り香ほのと夏座敷

      枯山水ロケ終え残る花菖蒲

      放映日告げられ憩う夏座敷

      石鉢に紫紺のあやめ生けられて

      清々し紫紺のあやめの立ち姿

      夏街道社と寺多き流山

      赤城社の大き注連縄若葉時

      緑陰の赤城社訪ね参拝す

      流山の由来の赤城社若葉風

      若葉して古刹の無患樹そよぐ風

      風薫る古刹の庭に連句の碑

      端居して一茶と双樹の連句詠む

      一茶来し墓に参りし閑古鳥

      漂泊の一茶の日記短夜に

      江戸の世へタイムトラベル明易し

草むしり (5月19日 土曜日)

2007年05月19日 | Weblog
      半袖と薄物増えし初夏の街 

      葉桜の道にくっきり赤信号

      教室の窓いっぱいに初夏の陽が 

      階段の窓に溢るる新樹光 

      新緑の校庭白き体操着 

      わらわらと全校児童草むしり 

      晴れ曇り雨繰り返し夏めくや

五月雨 (5月18日 金曜日)

2007年05月18日 | Weblog
      葉桜の道行く黄の傘登校子

      厚き雲雨音強き五月雨

      土砂降りや青葉の林を白くして

      五月雨樹々の緑に雨簾 

      雨音と樹々の葉揺れて五月雨

      校庭に小流れ幾筋五月雨

      五月雨蜘蛛の巣につく雨雫

      五月雨や苔のみどりの明るかり

      雨上がり生垣の若葉瑞々し

      葉桜や風に吹かれて雫落つ


      五月雨止みて空に白き雲

      五月雨止みて窓開け風清ら

      空晴れて葉桜綺羅と雨雫

      空晴れて徘徊する蟻黒光り 

      空晴れて自由に飛び交う夏燕

      午後六時夕焼け空に鐘の音

      雨曇り晴れ人生に五月雨