学び舎に響く「まっかな秋」の歌
東(ひんがし)に上り月西に落暉かな
夕茜東上弦の月白し
老い二人紅葉の下の将棋指し
秋の陽に阿修羅の形相鬼瓦
ハロウィーン目鼻口より秋灯す
朱の軌跡残し熟れ柿四散せり
老い母の歩調に合わせ紅葉狩
秋うらら園児募集の立て看板
朝寒に長袖伸ばす登校児
天気雨柿の実濡れて艶やかに
教室の窓辺のコスモス純白に
プラタナス日ごと色褪せ冬近し
図書室で鵙の声聞く読書かな
赤とんぼ夕日の中より生まれ来る
青空にパックリ口開く石榴の実
晩秋や桜並木の青天井
秋灯一際明るき花屋かな
朝暗し晩秋の雨降り止まず
杜鵑草花よりぽつりと雨雫
秋の五時帰宅チャイムの音街へ
霜降や大東京は雨しきり
東京へ紅葉前線南下中
ベランダの秋の風鈴音夜半に
朝の冷え老い公園で太極拳
拾いたる桜紅葉を栞にす
ピラカンサ鳴る踏み切りの警報音
秋思かな陸上選手の松葉杖
送迎のバスに乗り込む秋の通夜
秋思かな喪服に幾度袖通す
杜鵑草学校園に群れて咲き
杜鵑草花の名を子に尋ねられ
放課後の校庭子らと虫の声
受付に柿の一枝飾り置く
青空を背にし真っ赤な秋の薔薇
文具屋に和紙の葉書の紅葉入り
椎の実を拾い手にする少年記
色付きし銀杏並木に夕日映え
風呂の窓開けて身にしむ夜寒かな
記念樹の色付く柿を子ら描き
黒板に十月生まれの児の名前
芒揺れグランドゴルフの軽き音
駅伝や号砲一発秋空に
秋うらら駅伝選手ひた走る
駅伝や秋色の街を駆け行けり