飯島 治蝶/水煙同人

飯島治蝶の俳句ブログ(第一章)

梅雨に入る (6月15日 金曜日)

2007年06月15日 | Weblog
        梅雨めきて我が家の梅を素手でもぐ

        空っぽのきれいなプールに水満たす

        学び舎の枇杷の実をもぎ竹籠に

        もぎたての熟れし枇杷剥く一年生

        もぎたての学校の枇杷児ら口に

        音残し皿にまぶしき枇杷の種
 
        玄関に一枝まるまる枇杷飾る
 
        傘マーク続き関東梅雨に入る
 
        平年に六日遅くれて梅雨に入る

        梅雨に入り家族の長靴そろえ置く

サボテンの花 (6月14日 木曜日)

2007年06月14日 | Weblog
         トゲトゲのサボテンに大き紅き花

         青を背に花仙人掌のあか清ら

         踊り子のドレスや紅き花サボテン

         サボテンの花咲き忘れる刺のこと

         仙人掌の花の黄にある蝋の艶

         覇王樹の花王冠の如くあり

         掌の向きはいろいろありし花仙人掌

サングラス (6月13日 水曜日)

2007年06月13日 | Weblog
         霧晴れてとり出し掛けるサングラス

         一年生今葉桜の道通う

         のぼり棒上りゆく子へ青葉風

         夏の日や百葉箱に五年生

         日の差さぬ陰に緑の羊歯と苔

         舞い降りて枇杷の実啄み去りし鳥

入梅 (6月12日 火曜日)

2007年06月12日 | Weblog
        入梅や前線近づく気配して

        雨濡れし紫陽花の毬お辞儀して
 
        大き鳥桜の実食む雨上がり

        雨上がりプールを磨く六年生

        スクールバス降りる園児の夏帽子

        枇杷ひとつ一直線に落ちにけり
 
        夕暮に音立て落ちる枇杷ひとつ 

時の記念日 (6月11日 月曜日)

2007年06月11日 | Weblog
         青葉時ダ・ヴィンチ展見に上野へと

         新緑に上野の子規の句碑に寄り

         青葉風球音高き子規球場

         夏草や子規の句刻みし石の球(たま)

         葉時子規句碑佇む異国人

         泰山木上野の森に花白く

         三段の真中の噴水天を突く

         音立て噴水空へと噴き上がる

         新緑の中の行列ダ・ヴィンチ展

         ダ・ヴィンチ展博物館に青葉風

         百合の花「受胎告知」の絵チケットに

         新緑の庭に石棺博物館

         ダ・ヴィンチ展時の記念日に見る絵画

         ダ・ヴィンチの業知る「時の記念日」に

         ダ・ヴィンチ展見終えて外は大雷雨

          「かみなり」とつぶやく幼児へそ隠し

         大雷雨我街の川濁流に

         祭終え帰宅の孫の手に金魚

         お土産は祭太鼓打つ孫写真

         水槽にすくいし金魚孫ら入れ

花菖蒲 (6月10日 日曜日)

2007年06月10日 | Weblog
        訪ね来し甥連れ訪ぬる菖蒲園

        菖蒲園入りてそぞろに歩きけり

        花菖蒲風吹く高さに咲き誇る

        菖蒲田の木道居並ぶカメラマン

        菖蒲田の木道響くシャッター音

        凛と咲く紫紺の江戸系花菖蒲

        花菖蒲レンズの先に咲き誇る

        花菖蒲木札に清少納言の名

        菖蒲園大正琴の音の響き

        菖蒲園催す野立て裏千家

        花菖蒲茶席に大き野立傘

        百合生けし野立の席の大茶釜

        菖蒲背に浴衣姿の乙女たち

        浴衣着の乙女差し出す楽茶碗
 
        花菖蒲黒楽茶碗の抹茶飲む
 
        抹茶飲む野立の席に百合の花

        群青の菖蒲や茶席の緋毛氈

        花菖蒲野立ての席の和菓子食む

        菖蒲背に甥を真中に記念写真

        菖蒲列なすなかに鴨群れて

        花菖蒲澄みし水田に靴の跡

        花菖蒲列なすなかに白き鷺

        丘上り眼下に広がる花菖蒲

        菖蒲田に揚羽の蝶の舞い姿

        菖蒲田にすいすいと飛ぶ夏つばめ

        池の淵ザリガニとりの子ら並び

        紫陽花や昭和の曲弾くアコーディオン

        紫陽花の咲く頃開く陶器市

ビール (6月9日 土曜日)

2007年06月09日 | Weblog
         風通る高さに咲くや立葵

         庭科のサラダづくりに夏野菜

         新緑の奥の新緑日に映えて

         和菓子屋に水羊羹の幟立つ

         乾杯やビール一気に飲み干せり

         夏の夜に酒酌み交わす親の会

         紫陽花や親と教師の子の話

         教師らの帰える夜道に立葵

桜の実 (6月8日 金曜日)

2007年06月08日 | Weblog
         ぬくぬくと膨らみ空に夏の雲

         葉桜のなかに実を食む大き鳥

         桜の実啄ばみ鳥の羽音立つ

         葉桜のなかに紅色ちりばめぬ

         小さき手トマトの苗を植え替える

         教室に墨書の「高原」青葉時

         雷の音に目覚むる夜中かな

         遠雷に加えて風鈴音高く

         蒸し暑き深夜に雨音高くして

         雷雨去り濡れし夜道の涼しかり

ヤゴ (6月7日 木曜日)

2007年06月07日 | Weblog
        朝未き涼しきなかに月は照り

        子らの居ぬプール広しと泳ぐヤゴ

        水抜かれプール一面朽ち落葉

        服濡らし児ら網を手にヤゴを捕る

        網を手にヤゴ捕ったの弾む声

        女の子おっかなびっくりヤゴ掴む

        びしょ濡れの子の飼育器にヤゴ数多

        ヤゴ幾種いるかもしれないオニヤンマ

        子の歓声残こしてプール濁りけり

        児ら群れて教室のヤゴ覗き込む

        濁り水泳ぎしヤゴの清々し

夏 (6月6日 水曜日)

2007年06月06日 | Weblog
        六月の創立記念演奏会

        新緑にオーケストラを児ら生で

        広々と澄みしホルンの響く夏

        軽快なリズムのうねりや青葉風

        葉桜や烏鳴くようにピッコロの音

        新緑にオーケストラと歌う児ら

        司会者のシルクのドレス青葉光

麦茶 (6月5日 火曜日)

2007年06月05日 | Weblog
         あじさいの花の淵よりむらさきに
 
         二年生初夏の日浴びて町探検
 
         二年生汗うっすらと町探検

         警官に巡回頼み麦茶出す
 
         西日背に遊びし児らの影黒し 

西瓜冷す (6月4日 月曜日)

2007年06月04日 | Weblog
        桜の樹ひこばえ茂り青々と
        
        茂りゆく並木の道に「枝注意」
        
        地区総会無事終え我に青葉風
        
        初物や帰らぬ孫に西瓜冷す
        
        ベランダに「涼しいねえ」と孫の声
        
        初夏の夜に退職祝の酒宴かな

        薔薇の香や主賓へ渡す記念品

        百人の酒宴たけなわ紅き薔薇

 
       冷し酒教育長と時事放談

        来賓を見送り初夏の夜風かな

滝 (6月3日 日曜日)

2007年06月03日 | Weblog
        さつき燃ゆ池面に映る花の色

        新緑を映す池面に緋鯉来て

        新緑や緋鯉の尾の揺れ艶やかに
 
        緋鯉跳ね水面に広がる輪の幾重

        若葉風揺れし池辺の青もみじ

        青葉風吹かれて川辺を散策す

        欄干を素通りし行く青葉風

        そよ風に中洲の新樹そよと揺れ

        新緑の林に鳥の遊びけり

        幾種もの樹々幾種もの緑あり

        新緑のみどり川辺にゆらめけり

        遠きより耳にす滝の音涼しかり

        新緑の真中にでんと滝白く

        新緑を割りて落ち行く滝の水

        音立てドドと落ち行く滝の水
        
        滝に来て我身にかかる水飛沫 

        滝壷の淵に紫陽花の花白し

        滝壷の周りの緑風に揺れ

        滝の水苔むす岩肌洗うように

        滝よりの流れは徐々に滑らかに

        夏の雲ゆっくりのんびり流れ行く