辞書引く日々

辞書が好きなのだ。辞書を引くのだ。

セロテープ

2010年08月24日 | 言葉
どうも子供というのはセロテープが好きなものらしい。

子供にとって、セロテープというのは神々しいほうどの力を持っている。彼らの頭の中では、セロテープで補修した箇所は壊れる前と同じ強度を保っているし、経年劣化などありえない。

それというのも、物の状態はこわれているかこわれていないかのどちらかにはっきりと属しているからにちがいない。そして「セロテープは、こわれたものを直す」というごく単純な働きをするわけだ。

だから彼らは、大事な紙が破れる前に予防的にセロテープを貼っておくことさえする。この作戦が失敗だと気づくのは、数年してからだ。引き出しの奥から、黄色くなったテープがはりついた変色した紙が出てくる。

経年による漸々たる変化、補修しても元には戻らないという無常、予防的行為が逆の結果をもたらすという皮肉。セロテープがその万能の力を失うときに、子供たちは大人になるのである。

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