社労士T&Fの人事労務情報局

社労士事務所スタッフによるブログです。人事労務の最新情報・日々の疑問をわかりやすく解説します。

パートタイマー均衡待遇推進助成金

2007年11月06日 20時18分17秒 | Weblog
今回は、前々回の改正パートタイム労働法に関係する助成金のお話です。
来年4月の改正に先駆けて、財団法人21世紀職業財団では、パートタイマーを活用する企業に対し、以下の助成金の支給をしています。

①正社員と共通の処遇制度の導入(25万円+25万円)
 パートタイマーの仕事や能力に応じた処遇について、正社員と共通の評価・資格制度を設けた上で、実際に格付けされたパートタイマーが1名以上出た場合

②パートタイマーの能力・職務に応じた処遇制度の導入(15万円+15万円)
 パートタイマーの仕事や能力に応じた評価・資格制度を設けた上で、実際に格付けされたパートタイマーが1名以上出た場合

③正社員への転換制度の導入(15万円+15万円)
 パートタイマーから正社員への転換制度を設けた上で、実際に転換者が1名以上出た場合

④短時間正社員制度の導入(15万円+15万円)
 短時間性社員制度を設けた上で、実際に短時間正社員が1名以上出た場合
  短時間正社員とは
  ○正社員と比較して1週間の所定労働時間が1割以上短いこと
  ○労働契約期間の定めがないこと
  ○時間当たりの基本給が、同様の業務に従事する正社員と同等以上であること

⑤教育訓練の実施(15万円+15万円) 
 正社員との均衡を考慮した教育訓練を、パートタイマーに延べ30人以上実施した場合

⑥健康診断・通勤に関する便宜供与の実施(15万円+15万円) 
 ~のいずれかを受給した事業主が、パートタイマーの健康診断または通勤に関する便宜を供与する制度を設けた上で、その利用者が1名以上出た場合

※①と②はどちらか一方の選択です。


支給申請ができる事業主
 以下のすべてに該当することが必要です。
 ○労働保険適用事業主(規模は問わない)
 ○平成19年7月以降に制度を新たに設けてから(就業規則や労働協約に規定することが必要)、2年以内に対象者が出ること
 ○対象パートタイマーの2分の1以上が雇用保険に加入していること(⑥を除く)
 ○正社員がいること


受給するためのポイントは、パートタイム就業規則等の社内規定を整備していることです。
(社労士F


求人の年齢制限が禁止になりました!~改正雇用対策法が施行されました~

2007年10月26日 10時00分27秒 | Weblog
平成19年10月1日より改正雇用対策法が施行され、原則として従業員の募集・採用時の年齢制限ができなくなりました。(今までは努力義務でしたが、今回は禁止です。)

これは再就職が難しい中高齢者への就労機会の確保が目的です。

但し、次のような場合は例外として年齢制限が認められています。

1.定年年齢を上限として定年年齢以下の人を募集する場合
  (60歳定年の会社で「60歳未満」を対象とする場合など)

2.「経験不問」で一定年齢以下の人を募集する場合
(新規学卒者に限る募集も従来どおり認められます。)

3.その企業において、技能の伝承が必要な職種で、一部の年齢層が特に人数が少ないために募集する場合

4.労働基準法等法令の規定により年齢制限が設けられている業務の募集の場合

5.芸術・芸能の分野において必要な場合

6.60歳以上の高年齢者を募集する場合

7.トライアル雇用など特定の年齢層の雇用を促進する国の施策の対象となる者に限定して募集する場合

※それぞれ、さらに細かい基準があります。詳細は最寄りのハローワーク等にお尋ねください。
  

特に、ハローワークでの求人に影響が大きいと思われます。違反している求人は受理されなくなるでしょう。

企業の求人担当の方、注意が必要ですね。


TOPICS
以前にもご案内しましたが、最低賃金が改正されています。
チェックしてみてください。

各都道府県の最低賃金は→

平成19年度地域別最低賃金改定状況


(社労士T)

平成20年4月改正 パートタイム労働法のポイント

2007年10月15日 20時56分25秒 | Weblog
 
平成20年4月に施行される「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部を改正する法律」(以下、「改正パートタイム労働法」という。)は少子高齢化、労働力人口減少社会で、パート従業員が能力を一層有効に発揮することができる雇用環境を目的として、主に以下の3点について改正が行われます。今回はそのお話です。

1.労働条件の文書交付等による交付・説明義務
  労働基準法では、書面によって明示すべき事項として以下の5つを定めています。
   ①労働契約の期間
   ②就業の場所・従事すべき業務
   ③始業・終業の時刻、時間外労働の有無、休憩時間、休日、就業時転換の事項
   ④賃金の決定、計算・支払いの方法および賃金の締切・支払いの時期
   ⑤退職に関する事項

  改正パートタイム労働法では、これに加えて以下の3つについても文書の交付等による明示が義務化されます。

   ①昇給
   ②退職手当
   ③賞与の有無
 
入社後、パート従業員から待遇を決定にするに当たって考慮した事項(労働条件の明示、就業規則の作成手続き、福利厚生施設等)について説明を求められたときは、説明することが義務化されます。

2.均衡のとれた待遇の確保の促進
 正社員と同視すべきパート従業員(仕事の内容や責任度合い、人事異動の有無や範囲、契約期間が実質的に正社員と同じ)の待遇(賃金、教育訓練、福利厚生等)について、パート従業員であることを理由に差別的に取り扱うことが禁止されます。

3.正社員への転換の推進
正社員へ転換を推進するための措置(以下の措置またはこれらに準ずる措置)を講じることが義務化されます。
(講じる措置の例)
 ①正社員を募集する場合、その募集内容を既に雇っているパート従業員に周知する。
 ②パート従業員が正社員へ転換するための試験制度を設けるなど、転換制度を導入する。

来年の4月にあわせて、パートタイム就業規則、労働契約書等を整備しておく必要があります。

(社労士F)

番外編「若手社員フォローアップ研修」の報告

2007年10月05日 09時39分12秒 | Weblog
今回は番外編として、10月3日に行いました公開セミナー「若手社員フォローアップ研修」の報告です。
(T&Fがインストラクターをつとめました)

9時15分の受付開始と同時に、半年前の「新入社員研修」でお会いした懐かしい顔ぶれがぞくぞくと会場に入ってきました。

今回参加していただいたのは、新入社員研修から来ていただいている新卒の方16名と今回から参加の30代の方1名を加えた17名です。

最初はインストラクターも参加した皆さんも少し緊張気味でしたが、肩たたきゲームをしてリラックス。
オリエンテーションの後、最初のテーマ「仕事の振り返りと問題点の検討」に入りました。

入社半年ぐらいたつと仕事での悩みにぶつかり始める頃です。
グループ討議で悩みを出し合い、その解決方法について話し合ってもらいました。
他社の同期の人も同じ悩みを抱えていることを知り、皆さん少し気持ちが軽くなったようでした。

2つめのテーマは、「ビジネスマナー」です。
あいさつ、名刺交換、電話応対など基本のおさらいをし、
応用編ということで、電話応対では場面に応じた受け答えを実際に練習しました。

午後に入ってからは、「仕事の進め方と職場のコミュニケーション」というテーマで、
実際にスケジュールを立てる練習をしていただいたり、コミュニケーションに
関するゲームをしていただきました。

特に、コミュニケーションゲームは、インパクトが強かったようで、
「コミュニケーションの難しさを身をもって感じた」と皆さんおっしゃっていました。

最後に、「目標設定の重要性」ということで、実際に皆さんに目標を立てていただきました。

研修は、受けるだけではダメで、次の日からいかに行動を変えるかが大事です。
参加者の皆さんには、今回の研修で学んだことを仕事の中で実践して、レベルアップしてほしいと思います。

1日研修のインストラクターをすると、ほんとうに疲れます。でも、達成感もひとしおです。

参加された皆さん、お疲れ様でした。

(社労士T)

平成19年10月改正 雇用保険法のポイント

2007年09月28日 17時01分27秒 | Weblog
今回は今年10月に改正される雇用保険法のお話です。

1.基本手当(失業手当)の受給資格要件の一本化
  会社を退職し、失業している間に受給できる基本手当の受給要件が一本化されます。

失業手当を受給するためには在職中に、
 【旧】 一般加入 (週所定労働時間が30時間以上) 
      → 各月に14日以上出勤している月数が6ヵ月以上必要
     短時間加入(週所定労働時間が30時間未満)  
      → 各月に11日以上出勤している月数が1年以上必要

 【新】 各月に11日以上出勤している月数が12ヵ月以上必要
   (倒産・解雇等により退職された方は、各月に11日以上出勤している月数が6ヵ月以上必要)

※平成19年10月1日以降に退職された方が対象となります。


2.育児休業給付の給付率の引き上げ
  1歳未満の子を養育するための育児休業をし、職場復帰後6ヵ月以上在職した場合に休業前の給与の一部が支給される育児休業給付の給付率が引き上げられます。

 【旧】 育児休業期間中 給与の約30% + 職場復帰後6ヵ月 給与の約10%


 【新】 育児休業期間中 給与の約30% + 職場復帰後6ヵ月 給与の約20%
 
※平成19年3月31日以降に職場復帰された方から平成22年3月31日までに育児休業を開始された方までが対象となります。


3.教育訓練給付の支給要件・内容の変更
  国が指定する講座を受講し、修了した場合、修了時点までに実際に支払った学費の一部が支給される教育訓練給付の支給要件・内容が変更されます。

 【旧】 加入期間が3年以上5年未満  支払った学費の20%(上限10万円)
      加入期間が5年以上        支払った学費の40%(上限20万円)
 
 【新】 加入期間が3年以上      支払った学費の20%(上限10万円)
    (当分の間、初回に限り加入期間が1年以上で受給可能)

※平成19年10月1日以降に指定講座の受講を開始された方が対象となります。

 (社労士F)

出産日が出産予定日より遅れた場合の出産手当金の支給日数は?

2007年09月18日 13時51分37秒 | Weblog
出産手当金とは、健康保険より、出産のため会社を休んだ期間につき、賃金のおよそ3分の2が支給されるものです。

具体的には、出産予定日の6週間前(出産予定日を含む、双子などの多胎妊娠の場合は14週間前)から、出産後の8週間までの期間支給されます。

例えば、9月18日が出産予定日の場合、産前については6週間前の8月8日から支給されます。
産後については9月18日に出産した場合、8週間後の11月13日まで支給されます。

しかし、出産予定日どおりに出産するとは限らないですよね。

出産予定日と出産日が違う場合、出産手当金の支給日数はどうなるのでしょうか?

出産予定日より前に出産した場合、
産前の支給は出産予定日の6週前から実際の出産日までとなり、
産後は出産日の翌日から8週間の支給となりますので、
(残念ながら?)支給日数は短くなります。

逆に、出産が出産予定日より後になった場合は、実際の出産日までが産前の支給となり、遅くなった日数分産前の支給日数が長くなります。
産後は変わらず、出産日の翌日から8週間支給となります。

但し、出産手当金の支給対象となる期間中であっても、出勤した場合や、有休などで賃金が支給される場合は、出産手当金は支給されません。

なお、出産手当金の1日あたりの支給額は標準報酬日額(※)の3分の2です。

※標準報酬日額=標準報酬月額÷30

(この内容は、政府管掌の健康保険を基に作成しておりますので、組合健保の場合は異なる場合があります。)


TOPICS

各都道府県の最低賃金の改定が来月、予定されています。
(東京では719円から739円に20円アップします。)
今回の上げ幅は従来になく大きいもので、以前からあがっていた、
最低賃金で働くより生活保護をもらった方が良いという逆転現象への批判に対応したものです。

各都道府県の改定後の最低賃金額は→
平成19年度地域別最低賃金改正の答申状況


(社労士T)



育児休業子育て支援助成金

2007年09月06日 17時23分42秒 | Weblog
前々回に引き続き育児休業関係の助成金のお話です。

育児休業子育て支援助成金とは?
 育児休業子育て支援助成金とは、育児休業取得者又は短時間勤務制度の適用者が初めて出た場合に一定の要件を備えた育児休業・短時間勤務制度を実施する中小企業(従業員数100人以下)に支給される助成金です。

【受給要件】

 次の1~5すべてに該当していることが必要です。
  
  1.常時雇用する従業員数が100人以下であること。

  2.一般事業主行動計画を都道府県労働局長に届け出ていること。

  3.労働協約又は就業規則に育児休業等についての規定があること。

  4.平成18年4月1日以降、初めて育児休業取得者等が出たこと。

  5.対象となる従業員は、以下のA又はBの要件を満たし、雇用保険に継続して1年以上加入していること。

   A 対象となる育児休業の要件
    ①休業期間:1才までの子を養育するため平成18年4月1日以降、6ヵ月以上育児休業を取得したこと。
    ②復職後 :職場復帰後6ヵ月以上継続して雇用されていること。

   B 対象となる短時間勤務適用者の要件
    ①平成18年4月1日以降、3才未満の子について6ヵ月以上次のいずれかの制度を利用したこと。
    ②対象となる短時間勤務制度は、次の a~c のいずれかであり、いずれも在宅で就労する場合を除く。
a 1日の所定労働時間を短縮する制度
      b 週又は月の所定労働時間を短縮する制度
      c 週又は月の所定労働日数を短縮する制度

【受給額】
       育児休業    短時間勤務(利用期間に応じて)
 1人目  100万円      60万円~100万円
 2人目   60万円      20万円~ 60万円
  
  対象者が初めて出た場合に、2人目まで支給されます。
  
 例えば、初めての育児休業取得者Aさん、2人目の育児休業取得者Bさんがいた場合(平成18年4月1日以降)

 1人目Aさん 100万円 + 2人目Bさん 60万円 = 160万円


今回も前々回と同じように、助成金を受給するポイントは、育児休業規定を事前に整備しておくことです。(社労士F

Q&A 出向者の労災保険料は出向元・出向先どちらで支払うの?

2007年08月30日 18時41分10秒 | Weblog
Anser  在籍出向者の労災保険の保険料は出向先で支払います。

在籍出向者の賃金は出向元が支払っていることが多いので、出向元で計算してしまっている場合も多いようですが、
正しくは、実際に勤務している事業所で労災に加入することになりますので、出向先で労災保険料を支払うこととなります。

出向先の事業所は5月の労働保険料の納付の際に、その出向者の賃金を労災保険の保険料の計算の基礎額に含めて保険料を計算します。
通常、その時期に4月~3月までの1年間の賃金を出向元が出向先に報告する形をとっているケースが多いようです。
出向先から支払われている賃金がある場合はその分も含めて計算してください。

雇用保険については、原則として主たる賃金を受けるほうで加入し、保険料を支払うことになります。
出向元から全額賃金が支払われている場合は、出向元で雇用保険に加入することとなります。


今週のトピックス

年金問題で話題となっている総務省の「年金記録確認第三者委員会」の委員の中に社労士が入っているのをご存知ですか?
私はもちろん委員ではないですが、年金問題の専門家として社労士が活躍しているのはうれしいです。
この隠された?事実、マスコミでもっともっと取り上げてもらいたいです。

総務省「年金記録確認第三者委員会」

(社労士T)

育児休業代替要員確保助成金

2007年08月22日 21時02分04秒 | Weblog
今回は、育児休業に関係する助成金についてのお話です。

育児休業代替要員確保助成金とは?
育児休業取得者が、育児休業終了後は原職等に復帰する旨の取扱いを就業規則等に規定した上で育児休業取得者の代わりとなる人を雇用し、かつ、育児休業取得者を原職等に復帰させた会社に支給されます。


以下の1~6のすべてに該当する会社に支給されます。

 1 育児休業取得者の原職等への復帰について就業規則等に規定していること。

 2 育児休業取得者を育児休業終了後に原職等に復帰させていること。

 3 原職等に復帰した育児休業取得者の育児休業期間が3か月以上あり、この育児休業期間中において代わりとなる人を雇用した期間が同じく3か月以上あること。

 4 育児休業取得者を、育児休業終了後引き続き雇用保険の被保険者として6か月以上雇用していること。

 5 育児休業取得者を、育児休業を開始する日まで雇用保険の被保険者として1年以上継続して雇用していること。

 6 現在の育児・介護休業法に沿った形で育児介護休業規定が整備されていること。

※301人以上の労働者を常時雇用する会社は、一般事業主行動計画を都道府県労働局長に届け出ていることが必要です。

【支給額】

 (1)原職等復帰について、平成12年4月1日以降、新たに就業規則等に規定した事業主の場合
   対象労働者が最初に生じた場合     
     中小企業 50万円~40万円
      大企業  40万円~30万円
   2人目以降の対象労働者が生じた場合、1人当たり
     中小企業 15万円
       大企業 10万円

 (2)原職等復帰について、平成12年3月31日までに既に就業規則等に規定している事業主の場合
   平成12年4月1日以降対象労働者が生じた場合、1人当たり
     中小企業 15万円
       大企業 10万円


受給するためのポイントは、育児・介護休業規程を作成し、現在の法律に沿った形になっていることです。
(社労士F)


「出産育児一時金」事前申請の方法

2007年08月09日 09時21分59秒 | Weblog
今回は前々回のブログで紹介した
「出産育児一時金」の事前申請の手続き方法について、具体的に説明したいと思います。

まず、出産を予定している病院に事前申請を受け付けてもらえるか確認してください。
(早くすべての病院に対応してもらいたいのですが・・・)

OKでしたら、「出産育児一時金申請書」の事前申請用の用紙を入手してください。
(通常の用紙とは違うので注意!)

必要事項を記入したら、病院に用紙を渡し、押印等をもらってください。

そして、母子手帳のコピーと共に、社会保険事務所(政府管掌健保の場合)に提出すれば手続き完了です。
(会社で手続きをしてくれるところが多いと思います。)

但し、申請は出産予定日1ヶ月前を切らないと受け付けてくれませんので気をつけてください。

入院費用が35万円以上だった場合は(入院費用-35万円)を支払うだけで済みます。
入院費用が35万円未満だった場合は(35万円-入院費用)が後日振り込まれます。

ご本人または被扶養者が出産予定の方、是非チャレンジしてください。


独りごと・・・
 
 人材派遣会社「フルキャスト」が派遣の認められていない業種に人材を派遣したとして、
事業停止処分を受けることとなりました。
このような違法行為が行われていたことはほぼ公然の秘密だったのではないでしょうか。
(単発派遣バイト経験者として)
そこに目を向けず急成長企業としてもてはやしていた世間が今度は徹底して叩く・・・。
何か違和感を覚えます。

(社労士T)