今回は『照明計画』について、
今夏、完工したリノベーション現場を参考事例として
お話させていただきます!
今回のLDKは、いわゆるシーリングライトのような「1灯照明」ではなく、間接照明やスポットライトを使用した「多灯照明」で計画しました。
その中で、大変重要な役割を果たしてくれたのが
こちらの「ライトコントローラー」です。

こちらを使って実現できたことを中心に、
今回実践した照明計画の3つのポイントについて
ご説明させていただきたいと思います。
*照明計画のポイント*
①簡単操作
②器具選定の自由度
③非居室にはセンサー
ポイント①『簡単操作』
実生活の中では、「簡単操作」がとっても重要です。
まず、「多灯照明」で設計すると、
おのずと増えてしまうのがスイッチです💦
こんなにたくさんのスイッチを毎回操作するなんて絶対ムリですよね・・
最近はLEDの普及で一般的になった調光操作ですら、実生活の中ではほとんど行わない、それが現実だと思います😅
スイッチはワンアクション・一括操作でできるといいですよね。
ホテルの部屋のようにON/OFFが入口の1か所のみ、
本当はそんなシンプル操作が理想的ではないでしょうか・・
そんな簡単操作を家庭でも実現してくれるのが
こちらの「ライトコントローラー」です。
これを使うことで、スイッチを触る必要は一切なくなります。
こちらのリモコンには4つのボタンがあり、ここでシーン切替ができます。
シーンとは、例えば下記のようなことです。
こちらの2つはどちらも夜の写真ですが、違いがおわかりになるでしょうか。
点灯させている照明器具の数や色、明るさを変えてます👇
「多灯照明」の場合、このような照明器具の強弱・配置により
空間演出が容易に可能で、これを「シーン」と呼びます。
ライトコントローラーに
各器具のON-OFFや調光設定を登録すれば、
あとはそのシーンボタンを押すだけで
登録した照明点灯状態にできるのです。
例えば一例としてこんなシーンを想定して登録します。
A:食事の時
B:勉強や仕事の時
C:TVを見る時
D:お酒を飲む時
ただ、
『日常生活でこんなシーン分けなんて必要ないよ』
という意見もごもっともだと思います。(^-^;
しかしながら、それが簡単操作で実現できて、
気軽に最適な雰囲気にできるのであれば、
意外と日常がより良くなるのではないかと思うのです。
逆に言えば、せっかく照明計画を行っても、操作が面倒であれば、それは使われることのないものになってしまいます。
普通に電気を点けるような当たり前の感覚で、
気軽にシーン分けを実現できることに大きな意味があるのです。
👇お引渡し後、F様と相談しながらシーン設定
今回採用したのは
オーデリックのBluetoothシステム
接続できる台数・回路数が多いことや、
他メーカーの器具も連携できたりと、
組合せや配線の自由度が高いことが主な選定理由です!
ポイント②『器具選定の自由度』
・好きな照明を使える
・高額な器具でなくても実現できる
・自分で調整、変更、メンテナンスできる
全てが完璧とはいきませんが、こういった要素は照明計画上、とても重要だと考えてます。
同じ空間にあるライトである以上、どんな照明器具であろうと同じ一括操作に組み込みたいですよね。
今回採用したBluetoothシステムはそれを可能にしてくれます。
キッチンに浮かぶ大きな月、
お客様が気に入って購入したムーンライトです♪
おしゃれなペンダント、
思い入れのあるブラケット、
存在感のあるシャンデリア、、
「このライトを使いたい!!」
というご要望はぜひ実現したい!
そして存在感を示す「見せる器具」以外は、
できるだけ「見せない器具」としたい。
私はそう考えてます。
「建築」「空間」「素材」「家具」「置物」などを
演出するための脇役として、
器具としての存在感は極力無くしたいと考えてます。
今回脇役として多用したのは「テープライト」。
間接照明として素材感を強調したり、
ほのかな光をラインで入れたり、
また、場所によってはメインの光源としても使いました。
テープライトは、お客様がネットで見つけた安価な器具を採用。
安価とは言っても、調光・調色・リモコン操作、など十分に多機能です。
良し悪しの判断は分かれるところかもしれませんが、
前提として「消耗品」と考え、今後のメンテナンスも
お客様ご自身でも無理なくできるように設計しました。
「DIY」を前提とした設計のため、
まずはそのデモとして、
テープライトの設置は本職の電気屋さんではなく、
お客様の了承の下、全て当社スタッフで行ってみました。
DIYといっても、当然仕上がりはプロ仕様(❛ᴗ❛人)✧
電源や配線は見えないように美しく!
そして、勾配天井の間接照明をバックにして、
リビング空間の手元の明るさは、
小型スポットライトで確保。
「ライティングレール✕スポットライト」
最もシンプルで、王道の方法ですが、
必要な場所に必要な光を自由に配置可能です。

今回はグリーンや流木のハンギングディスプレイも兼ねた設計としてます!
このように自由度高く様々な器具を使用してますが、
これら全ての照明器具の一括操作を可能にし、
ボタン1つで自在に空間演出ができる、
それが今回のBluetoothシステムです。
ポイント③『非居室にはセンサー』
トイレ、洗面室、玄関、廊下、階段室、
こういった「非居室」ではセンサースイッチを採用。
人が来れば自動で点灯、居なくなれば消灯、
スムーズで快適、且つ、省エネであり、とても好評です!
センサー化をすることで意匠照明も確実に生きてきます✧
またリビング入口には、入退室時にセンサーで点灯するやわらかな間接照明を設けました。

それにより、入室時のライトを点けるまでの数歩や、
退出時の消灯後の一瞬の暗がりもなくし、
常夜灯に近い感覚で安全な動線を実現しました。
ということで、
①簡単操作
②器具選定の自由度
③非居室はセンサー
以上3つが、今回実践した照明計画の大きなポイントです。
照明計画においては、
「ストレスを感じないこと」
が良い設計だと私は考えてます。
・暗い、眩しい、落ち着かない、
・欲しいところにない
(照明、スイッチ、コンセント・・)
・スイッチがわかりにくい
(探す、迷う、押し間違える・・)
こういったストレスを感じることなく、
シンプルで迷いがない、違和感のないことが
「良い設計」ではないかと思います。
その条件を満たした上で、
「素敵な空間演出」をしてくれるのが照明です。
何のためにそこに光を入れるのか、それは常に考え抜くべきだと思います。
シンプルにすることも一つの選択肢だと思いますが
私は敢えて多灯照明での空間つくりに挑戦したいと考えてます。
『建築は光』
もとは、安藤忠雄さんの言葉だったと記憶してます。
自然光をいかに取り込むか、そんなニュアンスだったか・・
私はそれを照明計画に於ける重要な要素として解釈してます。
いかに快適で気持ちよく、いかに素敵に美しく、
そしていかに自然に違和感なく、
たったわずか一筋だけだとしても、光によって物体がその存在を現します。
建築がどう見えるかを決めるのはやはり光だと思うのです。
家は人が住んでこそ、生活してこそ、のものです。
照明もその存在意義を持つものとして使ってこそ意味があります。
人の生活を軸にして、ひとつひとつを考え抜いて設計したいと強く思います。
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