蒼穹

SOU建築設計室の徒然なるブログ

保育事業の現状と将来性 NO7

2019年09月24日 10時00分00秒 | 保育園
少子化が叫ばれているなか、保育事業の将来性に不安を感じている方もいらっしゃることでしょう。
 
しかし、必ずしも保育事業が先細りしているとは言えません。むしろ保育園へのニーズは高まりを見せています。
保育事業に関わる現状について知り、保育園に求められていることをしっかりと理解することが大切です。
 
 
少子化なのに保育園は足りていない
保育事業には、課題があります。それは、少子化の傾向が強まっていること、そしてなおかつ保育園が足りていないということです。
 
1971~1974年の第2次ベビーブームを境に、日本における出生率は下降し続けています。
2018年に厚生労働所が発表したデータによると、一人の女性が生涯で産む子どもの数を示した合計特殊出生率は1.43と、2年連続で低下しています。
 
2005年の1.26と比較すると、やや持ち直しているようにも感じますが、それでも第2次ベビーブームの頃の2.14には及びません。
 
そして、単純に言えば、子どもの数が減少している状況であるにもかかわらず、数年前から社会問題となっているのが、待機児童問題です。
 
待機児童とは、認可保育園への入園を申し込んだのに、入所できずに順番待ちをしている児童のことです。
2017年に待機児童の定義が改められたこともあり、2018年には前年比で減少に転じたと厚生労働省から発表されているものの、
待機児童としてカウントされない、いわゆる「隠れ待機児童」が全国に7万人以上いると朝日新聞では分析しています。
 
少子化にもかかわらず保育所の数が足りていないのは、共働き世代が増加し、保育ニーズが高まっているためと考えらます。
また、規制緩和による「詰め込み保育」により、園が抱える子どもの数が増え保育士の負担が増えたこと、
労働待遇が改善されないことから、保育士の数が圧倒的に足りないことも新たな保育所を開設しにくい要因の一つとされています。
 
共働きの割合は増加し続けている
少子化問題と待機児童問題、この両方に大きく関わっているのが、共働き家庭の増加といわれています。
 
共働き世帯が専業主婦世帯を初めて上回ったのは、バブル経済が崩壊した1990年代初頭。それ以降は増加の一途をたどっています。
 
統計局が発表している「労働力調査」によれば、2016年には夫が雇用者である1890万世帯のうち、およそ61%の1150万世帯が共働きであったとされています。
 
特に特筆すべき点は、妻が35~44歳である共働き世帯の増加。2000年から約20%も増加して、371万世帯となっています。
厚生労働省の発表によれば、第一子を出産する女性の平均年齢が30歳となっていますので、小学校入学前の子どもがいる可能性が高いといえます。
 
実際、子どもがいる家庭での共働きの割合は、2016年には690万世帯となり、2000年と比較して約25%増加しています。
子持ちであっても共働きで家庭を支えるという意識が、もはや一般的になりつつあり、保育ニーズが高まりを見せるのも無理はないといえるでしょう。
 
女性の社会進出がますます増加していくことが見込まれていることから、保育所を利用したいと考える共働き世帯の数も、
今以上に増えていくのではないでしょうか。
 
保育事業に求められているもの
このような状況を踏まえたうえで、保育事業には何が求められているのでしょうか?
 
まずは、単純に保育施設の数が増えることです。少子化が進む日本で待機児童数が解消されていない以上、保育所を利用したい人は一定数いると考えられます。
また、今後保育所の利用を希望する人は、さらに増加していくことが見込まれます。
 
現在では、社会的にニーズに応えるため、認可保育園や認可外保育園以外にもさまざまな保育施設が開設され、
民間・個人での保育事業への参入も活発になっています。
 
また、保育事業は単なるビジネスではなく、大切な子どもを預かり、成長著しい保育期の教育に関わる責任の重い事業です。
そのため、保育事業者には責任感やモラル、保育に対する使命感などが求められることになります。
 
さらに、保育事業にはポリシーやコンセプトといった、軸となる考え方も重要になります。どんな保育サービスを提供し、どんな教育をしていくのか。
これらが明確にされていないと、保護者から預けたいと感じてもらえる保育園にはならないでしょう。
 
子どもの健やかな成長を支援すると同時に、安心して子どもを預けられる受け皿として保護者も支援していく。そんな保育園を運営することが大切なのです。
 
 
保育事業の現状は、少子化や待機児童問題、保育士の不足など問題が山積されています。しかし、
それでも子どもたちの健やかな成長を支える保育所を求める声は増え続けています。
地域社会に貢献できるビジネスでもある保育事業は、始める価値も広める価値も十分にあるといえるのではないでしょうか。
 

 

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清水義文 (株)SOU建築設計室
E-maily.s-soukyu-arc@tbr.t-com.ne.jp
品川区西五反田5-24-10K・オフイィス2階

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