蒼穹

SOU建築設計室の徒然なるブログ

近隣住民とのトラブルを回避するために内装の工夫できる防音対策とは NO14

2020年03月11日 12時50分01秒 | 保育園


保育園を新たに建築しようとしたところ、建設反対の近隣住民の理解を得られず中止になってしまうニュースを目にすることがあります。
どうして保育園建設に否定的な人が多いのでしょうか?原因や解決策などについて見ていきましょう。


大阪府「子ども施設と地域との共生に向けてー子ども施設環境配慮手引書ー」より抜粋

騒音だけではない近隣住民とのトラブルの例 
保育園建設に反対する人の多くの理由は騒音です。

「子どもの騒がしい声が一日中聞こえる」「お迎えの保護者の声がうるさい」など音に対して不安を持つ人が多いのが現状です。
今まで平穏に日常を過ごしてきたのに、施設ができることで騒がしくなり「これまでのように静かに暮らしていけないのでは…?」と不安視するのも無理はないかもしれません。

しかし、保育園建設反対する人の理由は騒音だけではないのです。実際にあった近隣住民とのトラブルの例をご紹介します。

【保護者の車が違法駐車】

保護者が車を保育園の敷地内ではないところに違法駐車したことで、近隣住民とトラブルになったケース。

車を利用して子どもの送迎をする保護者もいますが、当然保育園の敷地内に停めるべきです。
しかし、空きスペースがないからといって駐車禁止のスペースや、他人の私道へ駐車することでトラブルに発展してしまいます。

【子どもの行動を見ていない】

送り迎えの際は、他の保護者との情報交換や世間話に花が咲くこともあります。
しかし、保育園の外で親同士が夢中になっておしゃべりに興じているあいだに、子どもが危ない行動をしたり、他の人に迷惑をかけたりして近隣住民が嫌な思いをすることもあります。

【交通量の増加】
保育園建設で確実に交通量が増えます。車だけでなく、自転車が猛スピードで走ってくることで、近隣住民が危険に感じることもあるようです。

交通ルールを守らず、他人への配慮を欠くことで、古くから住む住人とトラブルになりがちです。

内装の工夫でできる防音対策 
保育園建設で一番懸念されるのが騒音ですが、内装を工夫することである程度の防音対策になります。
防音対策にはどのようなものがあるのかをご紹介します。

【窓の二重化・二重サッシにする】
一般的に窓に使われるアルミサッシは、値段が安い点ではメリットですが、防音効果が低く、暖房効率も悪い点がデメリットです。

防音効果が高く、暖房効率が良いのが窓の二重化です。
比較的安く、しかも簡単に設置することができ、既存の設備にも追加の設置が可能です。幹線道路沿い、線路沿い、
空港の近くの建物など騒音が激しい住居や公の施設でも、防音対策として二重窓や二重サッシが使われています。

【吸音材を入れる】

音を吸収してくれる特殊な吸音材を天井や壁の内装に使用することで、子どもたちの騒ぐ声が響くのを和らげたり、
逆に外から聞こえる交通騒音も抑えたりすることができます。費用も比較的安価なので、負担は大きくないところが魅力だと言えます。

【ジョイントマット+防音カーペットを敷く】
保育園で多いフローリングはとても音が響きます。小さな子どもの足音でも響くので、ジョイントマットや防音カーペットを敷くことで緩和されます。

マット、防音カーペットのどちらかを使用するよりも、二つを組み合わせて使うことでより効果が得られます。

【遮音カーテンを設置】
カーテンは光を遮る効果だけでなく、音も遮ることができます。遮音カーテンを設置することで外に漏れる音を軽減することができます。

保育園建設を反対する人が増えた一因は「社会の変化」
人はみんな赤ちゃんとしてこの世に生まれ幼少期を経て大人になります。そして実際に自分の子どもを育てた子育て経験のある人でも、
保育園建設に反対している人がたくさんいます。どうしてそのようなトラブルになるのでしょうか?

【時代の変化】
一昔前と比べると劇的に日本の環境が変化しています。子どもを成人まで育て上げた世代の方々が子育てしていたころは、
「父親が外で働いて、母親は家で家事や子育てをする」といった家が大半でした。

しかし、高度成長期と比べると今の日本の経済は厳しくなっており、共働きしなければならない家庭が増えています。
また、女性が会社で男性と同じように活躍できる時代になったことも、共働き世代が増えた背景にあります。

経済や社会の変化とともに核家族化も進み、おじいちゃん、おばあちゃんといった上の世代と同居する世帯が減り、
保育園に預けなければ働けない家庭も多いのです。

そのため少子化ではあるものの待機児童が増え、社会問題にもなっています。保育園の増設が望まれているため、
今までなら候補に挙がらなかったような土地までが建設候補地になりトラブルになるケースがあります。

【地域コミュニティーの希薄化】
昔は悪いことをしたら近所の人が怒ってくれた、隣近所との付き合いが深く、家族同然の付き合いあった、
というように地域のコミュニティーが強い時代がありました。

しかし、現代は子どもへの犯罪も多く、近所の人でもあいさつをしない、仕事が忙しく近所づきあいが一切ない
という家庭も増え、地域コミュニティーの希薄化が進んでいます。

子どもと社会が分断されることで、子どもを地域全体で受け入れようという意識が少なくなりつつあります。

保育園を受け入れてもらうために住民との交流を 
保育園を建設したい人、反対する人、どちらが正しくどちらが間違っているということではありません。
受け入れてもらうために、話し合いの場をしっかりと持ち、反対の理由を1つずつ吟味する。
そのように真摯な対応を続けることで、近隣住民の理解を得られたケースもあります。

すべての人が幸せに暮らせる地域にするために、「お互いが納得するまでコミュニケーションをとり、
お互いの耳を傾けること」、それをなくして解決することは難しいでしょう。

参考資料



 

SOU建築の保育園特設サイトはこちら↓

 
清水義文 (株)SOU建築設計室
E-maily.s-soukyu-arc@tbr.t-com.ne.jp
品川区西五反田5-24-10K・オフイィス2階



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