olatissimo

この島で生まれた息子はなんと中学生。ほぼ育児日記です。

『チョンキンマンションのボスは知っている』(1)

2020-12-02 | 読書メモ
 
これまで私が読む人類学系の本は、
大抵、
農業漁業採集を主な生業とし、
けっこうプリミティブな生活様式を維持する
小さなコミュニティ・・・といった風情の地、
つまり「遠い世界の、かなりの田舎」
舞台であることが多かったのですが、
この本のフィールドワークの舞台は香港です。

チョンキンマンションという「魔窟」
そこで、アングラ経済に従事する
在香港タンザニア人たちが主人公。

・・・私にとっては、ある意味、
「遠い世界の、かなりの田舎」よりも
ずっと「遠い世界」の話のような気がする。


彼らの価値観は、
私にとっては「目から鱗」でした。

自分が「当たり前」だと思っていた
常識が大きく揺さぶられ、
違う角度からの光で見ることができた、
という感じがします。



日本社会の長所は、
そのまま短所にもなる。

コロナが広がり始めてすぐの頃から、
罰金などの強制措置がなくとも
きちんとマスクをし、外出を控え、
子どもも外に出さず、
自主的にがっちり行動を制限していた日本人。

中には自己中心的で迷惑な行動をとる人もいて
ニュースになっていましたが、
その程度は、おそらく他国の比ではないと思う。

素晴らしいことですが、
しかしそれは、
エビデンスをもとに自分の頭で考え、
理性的な自己決定ができる
「民度の高い人」が多いからではなく
(いたねぇ、そんな放言をした政治家!)、
ただひたすら
「白い目で見られたくない」という、
同調圧力村八分を恐れる心理から
常に周りの様子を窺って
勝手に強い自己規制をかけていた人が
大勢いたからではないかと
思えてならない。

判断の基準は、
「他の人からどう見られるか」

だからこそ、
その裏返しとして、
自分とは違う行動をとる人、
自分が正しいと信じる「~すべき」という
行動規範から少しでもズレた人がいると、
すぐに正義を振りかざして攻撃する
自称「常識人」が跋扈する事態も
引き起こしていましたよね。

(自粛警察、マスク警察とか、
公園にいる子どもを怒鳴る老人とか。
嫌なニュース、ありましたね・・・)

統制はとりやすいけれど、
一方で息苦しい社会を
作り出すことにもなるわけです。



私は、
生まれも育ちも日本なのに、
同調圧力などは
感じれば感じるほど
意図的に無視したくなる天邪鬼で、
いくぶん個人主義的な傾向があり、
昔から…思えば、幼稚園の頃から
少なくとも自分では
「周りの考え方とはちょっと違う」
と感じながら生きてきました。

私は、そういう日本人的特性からは、
ちょっと距離がある、と。


・・・のはずなのに、
この本を読んで、
私、実は、自覚がないほどに
日本的価値観を内面化しちゃってる・・・!
ということに気付かされました。

特に、贈与返礼の件。

この気付きは、自分としては
けっこう衝撃的でした。


もう少し、視野を広げ、
頭を柔らかくしよう
と思いました。はい。


長くなったので、実際の内容については次回。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。